赤ん坊の眼差し


雪どけ水から 生まれた せせらぎ

オギャー オギャー 

赤ちゃんが 産声をあげているよう 

ごぼごぼ さらさら 時に渦巻き

小さな村の はずれ 

小学生だった 同級生たちと てんでに

まんまる眼をして じっと のぞいていた 

清らな赤ん坊の眼差(まなざ)しだったなー

根雪が溶けて 集まる せせらぎ

オギャー オギャー 

赤ちゃんが 産声をあげているよう 

ごぼごぼ さらさら 時に渦巻き

先生に ついて行った 

散歩の道すがら 春まだ浅かった あぜ道 

つましい 縞のもんぺ はなたれ小僧

清らな赤ん坊の眼差(まなざ)しだったなー

 

キラキラ ひざし 踊った せせらぎ

オギャー オギャー 

赤ちゃんが 産声をあげているよう 

ごぼごぼ さらさら 時に渦巻き

訴える メロディーだった

あれから六十年 終戦直後(せんご)の生まれ 田舎っこ

誰もが生きることに 精一杯

清らな赤ん坊の眼差(まなざ)しだったなー

けれども 今は 恥ずかしい 悲しい

汚れちゃった 置いてきちゃった 赤ん坊の眼差(まなざ)

でも あの産声 あのシーンは永遠(とわ)に 消えないよ

赤ん坊の眼差(まなざ)し 宝物