あげは蝶 羽をたたんで 寄り添い二つ

湯本河原 恋路の旅か

ふんわり かわしてきたか 世間の風も急流も…

浸した素足が 貴方を欲しがる

頭の芯まで 蝶の羽つけて 

貴方へと 飛び立ちそう

忘れようと やってきたのに

羽は ぐんぐん広がって

あの滝さえも 超えて行きそう

あじさい橋 たもと 夕暮れ 鐘鳴り ひびく

灰色雲(くも)を破って うっすら夕陽

日傘で すっぽり 貌も心も 透明人間…

瀬音がかき消す 湯の街 賑わい

滝の階段登って 跳ねあがる

鮎のよう くっきり浮かぶ 

あの日 吐息 甘い口づけ

羽は ぐんぐん広がって

あの滝さえも 超えて行きそう

一匹 飛び立つと 後追って飛び立った

ああ あれは 貴方と私そのもの

戻りくれば 羽をたたんで 寄り添っている

別れるなんて 出来ない 出来ないわ