私達弁護団は、2013年12月7日に電話相談を実施し、また2014年2月22日に被害者説明会を実施しておりますが、この間、この問題につきまして、
カネボウに対し、皆様のために、どのように対応していくべきか、全国各地に存在する弁護団とも情報交換をしつつ検討を続けてまいりました。
現時点で、私達は、これからご説明させていただく考え方に従って、皆様からご依頼を受け、委任契約を結ばせていただく予定ですので、宜しくお願い申し上げます。
(1)皆様がカネボウに対し、どのような理由で損害の賠償を請求できるかです
が、これには、交通事故による損害賠償の考え方が参考になります。もとよ
り、カネボウの問題と交通事故を同じと考えるわけにはいきませんが、交通
事故による損害賠償は、歴史も古く、賠償の基準についてもある程度できあ
がっていますので、カネボウの問題についても参考とすることができます。
(2)交通事故による損害賠償においては、以下の項目毎に損害額を算定し、そ
れを合算して、最終的な賠償額としております。
①治療費、交通費など
治療のために支出したお金や、病院に通うための交通費、診断書をもら
うために病院に払ったお金、カバーメイクのために支出したお金など、今
回の被害と関係のあるお金を実際に支払っている場合には、それらを損害
とみることができます。
②休業損害
今回の件で、仕事に出ることができず、その結果、給与や収入が減った
方については、その分の損害を払わせることが可能です。
③傷害慰謝料
皆様は、治療法が不明であると言われ、日々不安な中生活されていると
思われれます。
交通事故の場合は、事故から治療が終了するまでの期間に応じ一定額の慰謝料が認められています。これは交通事故がなければ、通院し治療を受
けるという苦痛を味わう必要はなかったと考えられることから認められる
ものです。
カネボウに対しては、傷害慰謝料について次のように請求しようと考え
ております。
最重症の方
顔や手などに広範囲にわたり、明らかな白斑が認められる方
1ヶ月23万6000円
重症の方
3箇所以上に白斑が認められる方、5cm以上の白斑が認められる方
1ヶ月19万3000円
それ以外の方 1ヶ月12万6000円
この金額は、一応交通事故における賠償基準を参考としておりますが、
そのままではなく、あくまで一般論ですが、交通事故における賠償基準よ
り高めに設定しています。
私達がこのように考えたのは、カネボウ問題の被害の深刻さと、交通事
故は、車社会にあって誰もが加害者になりうる可能性があることから損害
額も低くおさえられる傾向がありますが、この問題は、そうではないとい
う考えからです。
そして②で説明した休業損害が認められない方々については、上記金額
をさらに1.5倍した金額を傷害慰謝料とすべきと考えております。
④後遺症の認定を受けた方の逸失利益
交通事故で負傷し、後遺症が発生した場合、労働能力が低下し、収入も減ると考えられることから、収入の減少分をカバーするために、逸失利益というものが損害として賠償の中に含まれることになります。
逸失利益の計算は、専門的で難しいので、ここでは説明しません。
白斑被害の場合は、②の休業損害のところで書いたように、それだけでは労働能力が低下することは考えられていないので、原則は認められないということになります。
しかし、例えば、白斑のために、職場を変えざるを得なくなり、その結果、収入が減ってしまったという場合には、この逸失利益が認められる可能性があります。
⑤後遺症に基づく慰謝料
③の傷害慰謝料と異なり、後遺症が残ってしまった場合、そのこと自体に対して認められるものです。これは、後遺症の程度に応じて、慰謝料額の基準があります。
あくまで交通事故の場合を例としてあげておきます。詳しくは本書面の最後に等級表を抜粋して載せましたのでご参考にして下さい。
第7級 ~ 外貌に著しい醜状を残すもの 1000万円
第9級 ~ 外貌に相当程度の醜状を残すもの 690万円
第12級
~ 外貌に醜状を残すもの 290万円
第14級
~ 顔以外の手足の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを
残すもの 110万円
あくまで交通事故の場合ですが、怪我をして、白斑が後遺症として残った場合は、原則として第12級と認定されています。
交通事故の場合は、第三者機関が後遺障害の等級を認定しましたが、本件の場合は、我々の方で、主張して認めてもらう必要もあります。
傷害慰謝料の場合と同様に、④の逸失利益が認められない方々については、上記金額の1.5倍を後遺症慰謝料とすべきと考えております。
(3)さて、交通事故の場合ですと、治療が終了した時点で、上記①~⑤それぞ
れの金額を算定して、その合算したものを賠償額として、相手方と交渉して
いくことになります。
しかし、皆さんの場合は、現在の症状が今後どうなっていくのか、どこで
回復していくのかいかないのか不明な状態で不安ばかりが積もっていくとい
う状態にあると思います。
そこで私達弁護団としては、日々発生している①から③までの損害につい
ては、現時点においても、カネボウは皆様に支払うべきではないかというこ
とになりました。
もちろん、最終的な賠償額とくに後遺症の程度については、皆さんの治療
が終了したと医師が認めた時点にならないとわかりません。
ですので、今回カネボウに対し請求するのは、賠償額の一部ということに
なります。もし、現時点で発生している損害について、カネボウと交渉する
ことを希望されるのでしたら、私達弁護団と委任契約を結んでいただくよう
お願い申し上げます。
委任契約に際していただくお金(着手金)は、一律税込みで3万2400円
としています。
2 カネボウから被害者と認められておらず、何の手当ても受けていない 方々へ |
皆さんの中には、カネボウに対し被害の申告をしたにもかかわらず、カネボウの商品を購入した記録がないために、被害者と認められていない方々がいらっしゃると思います。
私達は、こうした方々の代理人として、カネボウに対し、被害者と認めさせる活動をしようと考えております。そのためには、カネボウの商品を使用し、白斑が生じたことについて詳しく聞き取りをさせていただくとともに、病院で受診していただいて、白斑が生じている原因が、カネボウの商品を使用したこと以外には考えられないという診断をしてもらうことが必要だと考えています。
損害賠償についての考え方は、1で書いたものと全く同じです。
私達から、皆様にご連絡をして、面談させていただき、委任契約をしたいと考えております。契約した後、私達がしようとしている活動をまとめますと、次のとおりとなります。
① 現時点で既に発生している損害(治療費や交通費のうち、自己負担されてい
る分、休業損害、傷害慰謝料)について、カネボウと交渉する。最終的に、治
療が終わったと医師から判断されれば、その時点で、後遺障害等級の何級に該
当するかを判断して、損害全てについて、賠償するようカネボウと交渉し、話
がまとまらなければ、訴訟の提起をします。
② カネボウから被害者と認められていない方々については、被害者と認めさせ
るよう、カネボウと交渉します。カネボウが被害者と認めれば、①と同様に、
損害の一部についてカネボウとの交渉を始めます。
この事件は、全国に弁護団ができており、情報交換をしています。ですので
賠償額の考え方や、交渉の過程、そして訴訟提起の時期等について、全国の弁
護団と歩調を合わせる可能性もあります。その時は、ご説明する予定ですので
予めご了承下さい。
① 病院に行かれている方の中には、写真を撮影してもらっている方もいると思
いますが、撮影していない方は、今からでも良いので、1ヶ月に1枚程度で結
構ですので、写真を撮って記録しておいて下さい。
② カネボウから被害者と認められていない方で、病院に行かれていない方は、
必ず皮膚科の医師の診察を受けて下さい。その際カネボウの美白化粧品を使用
したところ白斑が生じたと明確に医師に説明して下さい。
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