症例集B
症例 21 糖尿病
60代男性 糖尿病の数値が下がった例
所見
糖尿病で通院。数値が悪く、医者には人工透析寸前だよと言われている。透析は避けたいので、病院の治療と並行して、漢方薬も服用してみたいと来局。
体格は巨体。若いころから大食漢で、飲み食いし放題の結果今に至る。たくさんの薬を服用しているようだが、血糖コントロールがこれ以上難しいと言われている。
のどが渇き、よく水を飲む。頻尿。夜間に3回トイレに起きる。前立腺も肥大気味。
易疲労でいつもだるい。足の先がたまにしびれる。
2型糖尿病の典型である。漢方薬は、清熱利湿薬、化痰薬を使用。本人も人工透析の辛さは分かっているようで、真剣に取り組むという。
2週間に一度の来局で、薬はほぼ同じものを継続。3カ月後にHbA1Cが6.5から6へ減。
食生活も気をつけている様子。のどの渇きがなくなり、夜中にトイレに行く回数も減ったという。
その後も生活習慣を気をつけた結果、体重も減り、あきらかにシャープな体型になった。(あくまでも以前に比してだが…)
ひとまず人工透析は避けることが出来たようで、引き続き食生活等を頑張っていくとのご報告をいただいた。
高血圧や糖尿病は、漢方治療だけでなく、生活習慣の改善が必須である。
蒔かない種が芽を出すことはない。
病気になったら、あれこれ治療に頼るばかりではなく、何がいけなかったのか、どんな間違った生き方をしたのか、それをしっかり反省し、正すことが何よりである。
症例 22 高血圧 便秘
60代女性 高血圧と便秘の改善例
所見
血圧190/110 45歳の時に子宮がん手術で全摘。その後便秘になった。3日に一度の排便。のどが渇く。血糖値は正常。たまに睡眠導入剤を服用する。
舌質は胖大で歯根。舌苔は白厚粘膩。脈結代。
平肝、滋陰、潤腸通便薬を使用。
1カ月後に来局。血圧170/100まで下がる。便通は毎日になったが、まだ量が少ないとのこと。気持ちが落ち着かず、緊張感が強い。基本の処方は変えず、疏肝薬を追加。
1カ月後に再来。服用後、気持ちは落ち着いたとのこと。便通も良い。夜寝付けない。血圧170/100 薬は継続。
その1カ月後に来局。血圧150/100まで下がる。健康診断の結果も良好で、尿酸値が6.0から3.7へ、中性脂肪99が74へ下がったとの報告をいただいた。
夜の寝付きは相変わらず悪いが、ひとまず良い結果が出たとみていいであろう。
薬は引き続き継続し、今後も食生活等気をつけていくとのこと。
症例 23 高血圧
59歳男性 高血圧の数値が下がった例
所見
1年前に離婚してから高血圧になった。体重も6キロ近く増えた。
血圧220/120とかなり高い。のどが渇き、痰が絡む。痰は粘っこく少量。眼が乾燥し、たまにめまいがする。首は凝り固まっていて、ほとんど回せない。夜中にトイレに1回起きる。
舌は胖大で裂紋あり。肝腎陰虚の肝陽上亢と判断。
補腎陰、清熱利湿薬を投与。数値がかなり高いので、すぐに数値が下がらなければ病院に行くように勧める。
1カ月後に来局。血圧165/91まで下がる。
頭が重く、眼がしょぼつく。首は相変わらず硬直している様子。薬は同じものを継続。
1カ月後に再来局。血圧168/98だったが、家で測ると150/80くらいで、体調も良いとのこと。舌の状態もかなり改善した。
薬は継続して、もう少し様子を見ることとなった。
症例 24 高血圧
49歳女性 高血圧と睡眠の改善例
所見
10年前より、甲状腺機能亢進。現在も治療中。汗をよくかく。疲れやすい。二年前より体重5キロ増加。血圧170/100
月経はまだ正常に来る。あまりよく眠れない。大便正常。
滋陰潜陽、安神清熱薬を投与。
2週間後に来局。血圧は下がらず。180/110
ただし、睡眠はよくとれるようになった。薬は継続。
2週間後に再来局。血圧170/100
体調にさほど変化はない。睡眠は良い。汗をかく。
2週間後に来局。血圧変わらず。胸部に少し湿疹が出たとのこと。それ以外に大きな変化は見られず。
変化がないので、処方変更。
平肝熄風薬、補腎薬に変更。
これがよく効き、血圧150/100まで下がり、発汗も治まり、食欲が出て、体調良好となった。
症例 25 全身の湿疹
32歳女性 全身湿疹の改善例
所見
小さい頃より過敏症。ぜんそくもある。全身に赤い湿疹。痒い。汗がよく出る。よく寒気がして、風邪を引きやすい。二便は正常。
体質的には気陰両虚だが、湿疹と痒みの治療を優先に処方。
1カ月後に来局。首以外の湿疹が治癒。薬は継続。
その2週間後に来局。湿疹はほとんど良く、汗もかかなくなった。湿疹は良いので体質を強める薬に変更。
甲状腺機能亢進。現在も治療中。汗をよくかく。疲れやすい。二年前より体重5キロ増加。血圧170/100
月経はまだ正常に来る。あまりよく眠れない。大便正常。
1カ月後に来局。最近また顔に湿疹が出るとのこと。ただし、疲れにくくなり、悪寒や発汗はなくなったとのこと。
薬は以前のものに戻す。
その1カ月後に来局。顔の湿疹はなくなった。首に少し赤みあり。薬は継続。
1カ月後に再来。湿疹は良いが、最近風邪を引いて辛かったとのこと。体力をつけて風邪を引かない体質を目指したいとのことで、湿疹とともに引き続き治療を続けていくこととなった。
症例 26 疲れ
60歳女性 疲れと不眠の改善例
所見
疲れて気力がない。疲れがたまるとじんましんが出ることもある。血圧は正常。食欲はある。便秘気味。両眼が乾燥する。体格は普通。
舌質は胖大。色紅降。気陰両虚、肝腎不足と判断し薬を投与。
2週間後に来局。あまり変わらない。便秘気味。便意はあるがなかなか出ない。通便薬を追加。
その2週間後に来局。便通は良くなった。疲労感は変わらず。
あまり話してくれなかったが、ストレスで結構食べている様子。お腹が張っている。睡眠が良くない。
疏肝薬、理気薬に変更。食事の量も指導。
2週間後に来局。腹部の張りは取れた。便通も良い。睡眠の質が悪く、不安感がある。
消化薬、養心安神薬に変更。
2週間後、睡眠の質が少し改善。以前より疲れにくくなったと思うと本人。
結局、ストレスからの多食 → 内熱からの不眠だったようである。
疲れの改善は、胃腸のケアと不眠の改善が基本であろう。
症例 27 虚弱体質
35歳女性 低血圧、虚弱体質の改善例
所見
血圧はいつも低い。汗をかきやすい。胸が張って疲れやすく短気。腰痛、腹痛がある。睡眠もしっかり取れなくて、眠れて5時間くらい。気力が続かない。
気血両虚と判断し、加味帰脾湯を使用。甘い物を控え、野菜を積極的に取るよう指示。
1カ月後に来局。腰痛、腹痛が減り、汗もかかなくなった。血圧100/60
薬が合っていると判断し、このまま継続することとなった。
一般に、虚証の体質改善は時間がかかる。今回の例は割と短期間で効果が出たケースである。
本人が自分の症状をよく観察し、体質改善に積極的であったためと言える。
症例 28 冷え症
30歳女性 冷えと下痢の改善
所見
手足が冷たく、風邪を引きやすい。よく下痢をする。生理はきちんと来るがいつも量が少なく、生理痛は重たい。食欲はあまりない。睡眠の質も悪い。五年前に子宮内膜症と貧血の診断を受けている。口が渇く。トイレも近い。
気血不足と判断し、八味地黄丸と加味帰脾湯を投与。
1カ月後に来局。手足の冷えはまだあるが、以前より良いとのこと。睡眠の質も良くなり、便通も改善。生理も来たが、生理痛がほとんどなかったとのこと。
このまま継続して、さらに体質改善に努めることとなった。
症例 29 生理不順
17歳女性 3か月以上来なかった生理が来るように…
所見
3か月以上生理が来ない。正式にはいつ来たか覚えていないくらい。
このままではと思い、漢方薬の桂枝茯苓丸を服用している。
色白で体格は細い。股関節が痛い。部活でバトミントンをしていて、練習は結構ハードとのこと。
オ血はみられない。脈は弦。筋肉の疲労がみられ、ハードな練習でストレス気味の様子。血虚に肝気欝結と判断。
桂枝茯苓丸は中止して、加味逍遙散加芍薬附子を投与。
服用開始から3週間で生理が来る。
股関節はまだ痛むそうであるが、このまま継続で様子を見ることとなった。
症例 30 尿もれ
40歳女性 頻尿と尿もれの改善例
所見
トイレがやたらに近い。たまに間に合わずに少し漏れてしまう。睡眠の質も悪く、眠りが浅い。ペットボトルの水を良く飲む。足がむくむ。
猪苓湯を投与し、ペットボトルの水の摂り過ぎを止めさせ、水分は野菜、果物から摂取するよう指示。
服用3週間くらいで尿漏れは完全になくなった。トイレの回数も減り、むくみも取れた。
睡眠の質は相変わらず悪いので、それを改善する薬に切り替えて、現在も治療中である。
漢方薬局 <癒しと元気> 048-940-7634 