症例集
症例 @ 不妊症
30代女性 冷えの改善からの懐妊
所見
結婚後3年以上懐妊がない。手足が異常なくらい冷たい。加えて足にかなりのむくみ。
体重は標準より少し上。生理は順調に来るが、痛みが少し。
出血色は暗紫。
子宮筋腫5センチ程度のものあり。舌診によりオ血確認。
痩せたい一心で、テレビの情報をうのみにして、水1リットル
以上服用。これが下半身のむくみと冷えに影響していると思われる。
水の大量服用をすぐ中止させ、補陽、活血、利水系の漢方薬を服用させる。2週間後むくみは消失。冷えは以前ほどではないがまだ手足は冷たい。→補陽系の薬を増量。
1ヶ月後、手がぽかぽかして温かくなったと報告あり。
足はまだ冷えるが、以前より良いとのこと。→漢方薬は継続。
3ヶ月後、見た目がすっきりした感じになり、血色よい。
むくみが改善されたからであろう。足の冷えはまだあるが、手の冷えはほとんどなくなったとのこと。→薬は継続。
半年後、無事懐妊したとの喜びの声をいただいた。
症例 A 不妊症
30代女性 人工授精と漢方の併用で無事出産
所見
夫の精子の活力不足で、自然妊娠は難しいと言われ、人工授精を試みるも、なかなか育たない。人工授精は数回に1回くらいしか、受胎しても成長しないそうである。
ダメでもともとという気持ちで、自分で色々調べて、針治療、中国式整体、漢方などいいものはなんでもやっていきたいとのご相談であった。
推拿(中国式整体でスイナと読む)で身体のバランスを整え、妊娠中でも飲める漢方薬を服用することとなった。。
少し水毒様の症状が見られたが、彼女にもともと大きな問題はなかった。
人工授精前に推拿で身体を整え、授精後に漢方薬で栄養を与える方針を取った。
1回、2回目の授精は育たず。
3回目の授精で無事成長。10日目くらいに少し腹痛があり、安静にしていた程度で、その後は大きく成長し、無事出産。
元気な女の子を見せに来ていただいた。
妊婦やお腹の子供の成長の為に飲む生薬が色々あり、元来中国では幅広く用いられているのだが、このことを日本ではほとんど知られていないのが残念である。
症例 B 慢性頭痛
30代女性 水湿の頭痛が1カ月で改善
所見
たまに頭痛がする。10代のころからとのこと。その時は鎮痛剤の服用は欠かせない。
むくみがひどいと軽い気持ちで相談に来られた。水湿と判断し、質問しているうちに頭痛に悩んでいることが判明。
天気が悪い日は特に調子が良くないとのこと。
典型的な水湿体質と判断し、五苓散の服用を勧める。
服用後2週間でむくみが消失。4週間後に、頭痛がまったくなくなった。鎮痛剤もあれ以来服用していないと喜びの報告をいただいた。
顔のむくみがとれたせいか、痩せた?と良く聞かれるようになったと喜んでいた。実際体重は変わらないそうである。
症例 C 偏頭痛
30代女性 偏頭痛が漢方薬で改善
所見
生理後2,3日後に、偏頭痛に悩まされる。一度痛みだすと全く動けなくなる。鎮痛剤は欠かせない。
特に忙しいときやストレスが溜まっている時に生理がくると、決まって偏頭痛の発作に襲われる。
偏頭痛は激しく痛むが、治まってしまうと何事もなかったように正常人と変わらなくなる。
東洋医学では偏頭痛を肝陽化風、肝の風火と捉える。分かりやすく言うと、頭内の血管がけいれんを起こしているのであり、平肝熄風、清熱薬を用いる。
生理後2,3日に起こるということで、生理前に活血薬を服用させる。すると、発作が起きないケースが多くなった。
鎮痛剤の服用回数が明らかに減り、発作の回数も劇的に減った。
このように、漢方薬で回復するケースも多いが、オ血による慢性頭痛は、鍼灸による瀉血がもっとも効果があると私は考えている。
日本では全部別に行われているが、漢方薬、鍼灸、気功、整体すべてを含めたものが東洋医学であり、中国では当然すべて同時に行われている。
日本でもいつかそのような時が来ることを願ってやまない。
症例 D にきび
17歳 男性 思春期のにきびが半年で軽減
所見
顔と背中に多量のにきび。赤にきびと黄色のにきびが両方。 少し膿んでいて痛みもある。なんとか修学旅行までに治したいとのご相談。
荊芥蓮翹湯を投与。2週間で改善がみられ、本人もがぜんやる気に。
ある程度は良くなったが、背中のにきびがなかなか治らず。
膿みは完全に消える。
活血系の薬と清熱利湿の薬に変更。これが良く効き、背中のにきびもすっかり良くなり、半年後、無事に修学旅行を迎えられた。
症例 E 線維筋痛症
50代男性 全身の痛みの改善例
所見
全身の痛みで夜も眠れない。特に冬場にひどく、気を失うこともある。病院に通っているが、治療法がないと言われ、痛みに耐えながら生活する毎日。ダメもとで漢方薬を試してみようと思ったとのこと。
東洋医学的には肝臓系の疾患と判断。平肝、補血、補陰薬を投与。服用したその夜から痛みが軽減。本人もびっくりして、次の日に気になる症状を全部伝えてくる。
効果が早く出たのは良いが、簡単な病気ではないことを説明。食生活等、日常の注意点をお話した。薬は継続。
痛みはどんどん軽減。以前は立ちくらみやめまいもあったが、それも良くなっているとのこと。
良い時と悪い時を繰り返しながら、3カ月が経過。とくに寒い日は痛みが激しく出る。補陽系の薬と利水系の薬を追加。
良い悪いを繰り返す。それでも去年の冬とは比較にならないと本人は感謝しきり。痛みで仕事も思うように出来なかったのが、今ではフルタイムの勤務が可能となった。
温かくなり、痛みがさらに軽減。薬は以前のものに戻す。
夏になり、薬の服用なしで生活出来るまでに回復。
ただし、完治はまだであろう。冬場はまた痛みが出るだろうと見ている。
本人の希望もあり、温かいうちは薬を飲まずに様子をみることとした。
症例 F 慢性の咳
40代男性 1か月続いた咳が数日で回復
所見
風邪をひいた後、咳だけが残り、それがぜんぜん治らない。
渇いたカラ咳がコンコンと続き、時にむせる。
医者の薬はぜんぜん効かないと本人。ドラッグストアで勧められた栄養ドリンクとか色々飲んでいるが、一向に良くならない。咳だけのためにもう7、8千円使っている。なんとかならないかとのご相談。
肺陰虚と判断。麦門冬湯を使用。3日後に再来局。今までで一番良いとのご報告。ほとんど良いが、もう少し薬が欲しいとのこと。その後来局がないので様子が分からないが、効果が合ったと判断してよいであろう。
症例 G 激しく出る咳
20代 女性 夜中の咳に清熱薬
所見
激しく出る咳。特に夜中に出て、夜眠れない。小さな子供がいるので、早く治したいが、薬局でもらった薬は効かないとのご相談。
夜中に激しく出る咳とのことで、布団に入り、体が温まると出る咳とみて、麻杏甘石湯を勧める。
2日飲んだだけですっかり良くなったと、わざわざお礼を言いに来局。
漢方に習熟した者なら、簡単な症例なのだが、薬店ではまだまだ、この手の漢方を勧める薬剤師は少ないのが現状である。
症例 H ドライアイ
40代 女性 ドライアイと眼の充血の改善例
所見
いつも眼が渇いていて、時に充血。抗アレルギーの目薬とドライアイ用の目薬は欠かせない。ただし、目薬は指したときくらいしか効かないらしい。
他にめまいと頭痛がたまにあるとのこと。視診でむくみもある様子。酒好きでほぼ毎日飲酒。
肝陽上亢の肝腎陰虚、水湿と判断。杞菊地黄丸を勧めた。
服用すると調子良いとのこと。めまいや頭痛もなくなったとのこと。調子良い日が続くと、薬を飲むのを忘れてしまうようだ。
しばらく服用しないと、ドライアイが再発し、思い出したように薬の服用を開始する。服用中はやはり調子が良いのを本人も理解している様子。
ただし、本格的に体質を変えるには、毎日の飲酒を改める必要がある。本人に伝えてはいるが、なかなか理解が得られないまま、現在に至る。
飲酒が肝腎に負担をかけ、体内の水分代謝に影響し、ドライアイや充血を引き起こしているケースは、最近では珍しくない。
症例 I 摂食障害
40代 女性 食事、水も取れないケースが改善
所見
食事がほとんど取れない。水も飲めない。無理やり取ると、吐き気が込み上げて、気持ち悪くなる。強いストレスをずっと受け続け、胃腸がほとんど働いていない。
腹部が硬直して動きがほとんどない。水分を無理やり取ると、それが溜まり、グルグル音がする。
腹部の強い緊張がずっと続いている状態である。
肝剋脾、肝脾不和と判断。
茯苓飲、平胃散を使用。
これが良く効き、服用すると本人も調子が良いのが分かるとのこと。特にキジツが良く効く様子で、食事もおにぎり一個程度なら取れるようになり、水もコップ半分くらいは飲めるまでに回復。
ただし、ちょっと仕事が忙しいくなったり、ストレスを感じると、とたんに食欲がなくなり、つい食べるのがおっくうになる様子。
食事をまともに取れないため、冬場は陽気不足でとても寒がる。陽虚、血虚、陰虚と困った体質である。
まずは食事が取れるようにならなければどうにもならない。
理気剤を服用すると調子が良いようなので、漢方薬とともに、無理やりにでも食事を取らせ続ける。
これを続けていくうちに“寒い”と発言する機会が減ってきた。顔色も多少は良い。
だが、お腹の硬直は相変わらずであり、理気剤の服用はまだ当分必要であろう。
「頑張って食べないと…」と言い続けないとすぐに食事を取ることを止めてしまう。
漢方薬は良く効くが、しっかり体質を変えるには、まだまだ時間がかかるであろう。
漢方薬局 <癒しと元気> 048-940-7634 