寿都鉄道・DC512

ニシン輸送に無くてはならない冷蔵車を配備することにしました。使われていた車輌は、レム400で然も410以降と推測され、写真資料からレム829号といたしました。
この車輌の扉は引き戸となっており、往路は冷蔵品を積み復路は一般貨物を積むよう使い分けています。
図面など詳細資料は、模型仲間から提供頂きそれを基に製作開始しました。
(その7)◆レム829  蒸機8108号客車オハ8518ワ204ト103レム892給水塔
●車体の製作:
部材は、側板、妻板、屋根、床板とも0.3mm 厚洋白板を利用し、サイズは側板975mm×33.5mm、屋根は1000mm×30mm、床板は960mm×()27mmとし引き戸を開閉式にした。

側板両端、屋根の周囲はリベットを打ち出し、側板には0.8mm間隔で約40個を、屋根には1.0mm間隔で約260個を打ち出しました。
側板にT形の縦補強桟を取り付けた。1.0mm幅×0.1mm厚洋白板の中央に0.5mm真鍮角線を貼り付けて表現した。
下部は、矢尻のような形状なので、同厚の洋白板を別途製作し張り付ける。
また、予め手摺を車体側板、引き戸に取り付けた。
 
屋根材は、当初中央を折り曲げて縦桟を貼り付けてみましたが、折り曲げの角はシャープさに欠け見苦しくなったので張り合わせにより施工しました。
補強材は、車体同仕様とした。

引き戸の開け閉めは、上部戸袋に0.8mmパイプを取付け、0.4mmステンレスバネ線を案内にスライドさせています。2箇所の取手は、0.35mm洋白線を使用しています。

実車詳細図を参考に貨車引戸錠図面と一日中睨めっこ、如何に模型化できるかを検討した。形状は製作可能な範囲まで簡略化するが、機能は省けないのである。
まず、戸側に留め金を付けます。
錠取手は、取手、掛金、取手受の3点からなります。
掛金は、0.2mm厚洋白板から切り出し、取手に通した0.4mm線に半田留め。
取手と取手受の繋ぎは、それぞれに開けた穴に0.4mm線を通し蝶番の役目とした。
掛金の支点は、取手受の支点より1.5mm後方にあるため、取手レバーを引き上げると引戸側のフックが外れる仕組みです。

次に下回りに入ります。ブレーキシリンダーは、バラバラな状態のパーツを組み立てましたが、ロスト製のため改造に適し加工が容易です。
手動ブレーキの繋ぎ関節は0.4mm線、0.2mm帯材などを使いカシメ代わりに0.4mm線でリベットを植え込みます。

床板に仮止めした、手動ブレーキテコの一部です。

床板は、0.6mm厚洋白板を使用、縦梁は3.0mm×1.0mmチャンネルを2.5mm幅のアングル状にカットして取り付け、更に両端にはエアーホース受座を取り付けます。
エアー配管は台車の箇所で途切れることになります

●組立・塗装:
車体は、側板、妻板、屋根の3体を歪みなく組立る。

塗装は、車体、屋根共にタミヤの白を艶ありで吹き付けた。
台枠、床下は黒の艶消しです。
乾燥後、レターリングを施して、最後に軽くウエーザリングを施し完成としました。

●寿都鉄道車輌たちシリーズの終わりにあたって:
古典車輌の宝庫として、忘れることが出来ない寿都鉄道の車輌たちの出現を願い、ボールドウィン製モーガル機の8108をはじめ客車、貨車を製作してきました。そして今、朝一番吐く息も白く冷気が漂う中、大勢の行商人を乗せ寿都駅を発車する行商列車編成を見ることが出来ました。
ニシン魚が盛んだった当時の雰囲気と思いが甦えってきたのです。