寿都鉄道・DC512

 昭和3040年代の寿都沖はニシンの大群が押し寄せ、連日浜は大漁の賑わいであった各家の勝手口では、毎日のように七輪から舞い上がるニシン焼きの煙と臭いが立ち込め、それが夕飯時間を知らしめる合図になっていました。
 豊漁のニシン運搬手段として利用したのが寿都鉄道でした。早朝の始発列車は、背負える限度一杯のニシンを担ぎ小樽、札幌方面に出かける行商人で溢れていた。
 一方当鉄道は、多くの古典車輌を保有していたことから、工作派にとってはプロトタイプ選びに事欠かない魅力的な存在であり、模型製作意欲を与えてくれました。
その寿都を舞台に活躍した車輌たちの小編成を再現してみた。
◆8108号機  蒸機8108号客車オハ8518ワ204ト103レム892給水塔
 

●ボイラー回りの製作: 
 空制化に伴って延長した前部ボイラー部分と煙室妻板部分を共に04.mm真鍮板で造り替えた。リベットは、ボイラーには0.28mm線で煙室妻板には0.4mm線で、間隔に注意しながら植込みました。煙室扉は、1.0mm厚板に旋盤でテーパーを付けた後、ヒンジ、取付ステ、時計形ハンドルを新調し取り付けた
 煙突台座に0.28mm線でボルトを植え込み、ネジ止めでボイラーに固定する。

●コンプレッサー加工:
 ロスト製コンプレッサーに0.25mm隣青銅線で配管を施した。
 チリコシと調圧弁の間に細密パイプで管継手を設ける。コンプレッサー底部配管受けは、既存の底部を削った後0.2mm厚板に0.28mm線でリベットを植え込み、更に前部に配管受となる0.5mmパイプを取り付け、0.25mm隣青銅線を通した。
この結果パーツに動きが生じ、静から動への変化に自己満足している。
●オイルポンプ・補助タンク:
 次は、オイルポンプと補助タンクです。8100形のオイルポンプは機種毎に形が異なり、前作の8105号機同様泣かされるところで、実物写真を参考にした工作になりました。

 ビヤ樽こと補助タンクも自作になりました。3.5mmパイプの両側を塞ぎ2箇所に帯材を巻き台座に固定、下部に細パイプで配管したのでビールが注ぐことか出来そうになりました。

 
●砂撒元栓・作用管:
 サンドドームの砂撒元栓と空気作用管を取り付けたが、8100形カマはどれを見ても独特な形をしており、各種パイプを駆使し仕上げた。
砂撒元栓管は0.5mm線を使用し、管継手は1.0mmパイプに外形0.7mm、内径0.5mmのパイプを通している。

 空気作用管は、0.25mm隣青銅線とT形管継ぎ手により砂撒元栓に配管、実車の形状とは異なり直線で取り付けた。

フロントデッキ・フロントビームの製作:
 デッキとビームは一体で製作し、台枠にネジで固定する。
 デッキにはボイラー支え棒を0.5mm線で新調し、先を平らに0.28mm線を植え込み取り付ける。
右支え棒につかみ棒を兼ねたは

カプラー解放テコ受について、中央の受けは、0.4mm帯板を90度ねじりデッキ床板に半田し0.28mm線でリベット2個を植え込み、また端の受けは0.4mm帯板をコ形に成形し、その上部に長穴を開けた帯板を取り付けた。
 床板上にエアー管を配管し、ビームにロスト製エアーホースを取り付け、ホース先をチエーンで吊り下げた。

 カプラーボックスは、フロント及びエンドビームの寂しさを補うためには欠かせません。
特に古典機には是非取り付けたいものです。

KDカプラー対応になるよう幅広とし、厚板から切り出しました。

●スノープラオ:
 
8108号機のスノープラオは、カウキャッチャーのような先が斜めに突き出て、通常の蒸気に見慣れる垂直に近いタイプと異なります。

 羽は、曲げやすいことで0.3mm厚真鍮板を使用し、0.6mm真鍮片を挟んでV状に繋ぎ合わせ、内側は0.4mm真鍮板で補強してあります。
両翼の角度は、見た目に不自然にならないように格好良く決めることを心懸けました。また、羽の取り付けステ位置と補強板の位置にリベットを0.3mm線で植え込みアクセントを付けました。

 スノープラオは、フロントビームに取り付けたステに半田で固定し、冬姿としました。なお、KDカプラーの腕は、予め切断し接触に対処してあります。ついでに、カプラー解放テコとカプラーをチエーンで繋いでみました。
●キャブの組立:
 キャブは、基本的にはキットそのまま組み立てたが、追加した点を上げると、屋根は新調、窓枠の新設、窓上の庇、屋根天窓の改造、所属名札入れです。
後妻面の手すりは実車とおりの形状とし、0.4mm線の両端をつぶし、そこに0.28mm線を植え込み取り付けた。
屋根は、バックボードにインテリアを付したので、取付対応のため嵌め込み式とし、キャブ後妻位置でネジ固定する方式をとした。


 
●バックプレート:
 バックプレートですが、キャブをボイラーに固定してしまったことで、最後まで取付方で悩んでいたカ所です。いろいろ検討の末、ボイラー尻にバックプレートを填め込むこととし、ボイラーとネジで固定することにした。
バックプレートは、ボイラー内径が合致するウイストジャパン製8620用を流用し加工することとした。0.4mm厚、0.6mm幅の帯材で縁取りしてボイラー径に合わせる。更に、ボイラーに填め込むため枠を取り付け後、ネジ止め用穴を一段下げて開ける。

 また、ブレーキ弁脚台、逆転テコもネジ止めとし、バックプレート取り付けに支障ないようにした。
●キャブ下:
 キャブ下の配管は、台枠に取り付けた。0.4mm0.5mm線を使用、管継ぎ手もパイプ類から自作、ラッパ状の排水吐き口もパイプ類からの自作しアクセントをつけた
●下回りの製作:
 下回りは、特に加工した所はありませんが、ブレーキ回りなど見え隠れする部分の加工と配管類を追加した。いずれも、蒸機の下回り詳細図などを参考にした工作です。
 ブレーキシュは、押さえ板のシュ取付け部分を両側へ1.0mm広げた。加工後、ブレーキ棒パーツセット(エコー製)と0.4mm線の引き棒により製作し、リベットは0.28mm線を植え込んだ。

●テンダーの組立:
 エンドビームは、フロントビームに準じ製作、カプラーボックスと排障器にはリベット植込み、カプラー解放テコも同規格、エアーホースはチエーン吊とした。
 テンダーのポイントの一つはハシゴです。0.8mm厚さ0.2mm洋白帯材に0.3mmステンレスバネ線を通し、シャープな仕上がりになるよう製作した。
ハシゴ横の手摺は、安全対策として後から付けたようだが、当機もそれに見習い表現してみた。

●テンダー前妻:
 前部は、手動ブレーキ棒とハンドル、引っ掻き棒、スコップ(エコー)とその隣は、習字の筆のように見えますが、竹ホーキのつもりです。この程度の工作でも多少賑々しくなりました。
塗装など:
 いつものとおり念入りな洗浄、乾燥を経てマッハのシールプライマー処理後、艶消し黒を吹き付けた。
乾燥後、最後に通常の倍以上に薄めた液でタレ寸の仕上げを行います。たれる寸前で止めることがコツで、たれてしまっては元も子もありません。多分、息を止めながらの作業をしている筈です。

 乾燥後ボイラーから下部に軽くドロ色を薄く吹き付けでのウエーザリングを施してあります。