寿都鉄道・DC512

3軸客車のオハ8518は、寿都鉄道の編成に欠かすことが出来ない存在感のある車輌であり、この度の編成列車のメーン車輌として製作しました。詳細図面などなく概略寸法図と数枚の写真のみの製作開始となりました。車体構成は、屋根、車体、台枠の3分割とし各々ネジ止めで一体化を図る計画です。
●車体側板:
外板は、窓上1.0mmで上下分割して切り出す。上部は真鍮板、下部は真鍮0.8mm筋目板を使用している。
下部板の窓抜きから始める。
板裏から窓をケガキ、糸ノコで切り抜きヤスリ成形する。
窓枠材は、0.2mm厚隣青銅板を使用し、窓より0.6mm内側を車体同様に切り抜く。
室内板は、0.3mm厚真鍮板で窓枠に合わせて抜き、上部を長めにカットした窓枠材を裏打材として継ぎ足す。

シルは、1.2mm×0.2mm帯板の上に0.5mm×0.3mm帯板を重ね2段シルとしています。
車体縦桟は、0.6mm×0.3mmと0.7mm×0.3mmの帯板を使い分け、ヘッター、窓の縦桟、窓上部の模様と室内側の横桟は共に0.5mm×0.3mmの帯板を使用しました。

車体は、外板と室内板の二重構造、窓ガラスは間に挿入する。内外板間に0.6mmの隙間を作る。
 

●車体妻板製作:
妻板は、0.4mm厚筋目板を主体に0.1mm厚隣青銅板、0.5〜0.7mm幅帯板で構成、手摺は0.4mm線とハンドレールノブの頭を利用、ランプ掛けは、0.1mm厚隣青銅板に0.28mm真鍮線をリベットし古典風に仕上げました。
渡り板は、0.2mm厚隣青銅板を使い固定式とし、幌枠は帯板と薄板で表現した。ドアーは開閉式になる。

●仕切り板の製作:
客車室内の製作を念頭に車内・デッキ間の仕切板を製作しました。
壁間に開閉可能なドアーを填め込むため、仕切り板は二重構造にした。
デッキ側は、車体同等の0.4mm厚筋目板を、車内側は0.2mm厚隣青銅板を、またドアーを挿入する隙間は1.0mm角線を使用した。
これにより、仕切り板の厚さは1.6mmになった。

●各ドアーの製作:
仕切壁引き戸、客ドアー、貫通ドアーともに窓ガラス挿入可能な二重構造にする。
0.2mm厚隣青銅板をドアー骨格のみを残して裏表2枚切り抜き、中身は0.4mm厚板材からガラス挿入部分を切り抜き組立てる。
各ドアーの完成後は、形状保持のため切り取った板材を作業終了まで挿入しておく。
客ドアーは、0.2mm×0.8mmの洋白帯板でドアー枠を造り開閉対応とした。
  客ドアー装着は、ドアー枠ごとデッキ部上から挿入する。
貫通ドアーについて、ドアー下部には0.4mm線を埋込み、上部には0.4mmの穴を開けピン受けとし開閉可能とした。(1)
●Wルーフの加工
Wルーフは、自作する自信がありませんので、アダチ製パーツを流用することとし、マロネとマイネの2形式を取り寄せた。
マロネを加工することにしたが、いずれの形式も両端が窄まり、側面にベンチレータ用の長穴が開いている。孔は2.5mmドリルで開け直した後、同径の真鍮棒を挿入し平面処理した。
●明かり窓の製作:
0.2mm厚隣青銅板を4枚重ねで切り抜く。17.0mm×3.0mm中桟入りが20枚、8.5mm×3.0mmが2枚、集中力が持続している間に一気に切り抜くのがコツ。
これを左右の窓板に張り付けた後、枠間にロスト製トルペート形ベンチレータを取り付けます。
●裾窄まり補正・両端延長:
4角を真鍮片で窄まり補正を施し、また同時に両端を各々2.0mm延長する。
●Wルーフ加工終了:
加工修正が済みWルーフの組立です。
屋根底部、窓枠部、上覆部を半田で固定し一体とする。
仕切壁用引き戸
客ドアー
客ドアー装着例
●車体組立:
車体側板、仕切板の製作が完了したので組立を行う。

  デッキ部分を残して車体の組立が終わる。
屋根を填め込み式にするため、床下取付支持金具用ステを取り付ける。
完成済の屋根をかぶせると車体外形が現れる。
車体前後に製作済の妻板を取付る。

●3軸台車の加工:
台車は、TR71というが、市販されているのは軸間22.0mmであり、当客車は18.1mmのため残念ながら使用出来ません。
そこで、東京在住の仲間を頼るのが一番と、お願いしたところ目的のブツを見事に探し当ててくれました。(感謝!感謝!)
枕梁は、左右の軸受けをイコライズさせるため、左右両軸受と中間を分割し、軸受側に2.0mmパイプ、中央ボルスター側に1.0mmピアノ線を取付ることで回転動を与えております。動き幅は。0.5mmになるようストッパーを付けました。

3軸の関係で、ボルスターネジが使えません。台車枕梁のセンターに突起状ステを取付けることにした。
左台車のボルスター受けは日光製を加工し、右は自作で対処しております。給電のために一方を絶縁し、取付けはいずれも室内側からネジ止めします。車輪は、珊瑚の松葉スポークを奢りました。

●台枠の製作:
台枠は、0.6mm厚真鍮板の床板に3.0mm×2.0mmのアングルで構成しており、ブレーキシリンダー等床下機器を配置しています。

 

●エンドビーム:
両側エンドビームの胴受は、ジャンクBOXから探したロスト製を加工修正し、エアーホース、カプラー解放テコ、オイルボックスを取り付け、チエーンでエアーホースを吊り下げました。
 

座席造り:
オハ8518の座席は、木製であり正しく昭和であります。天賞堂の普通車用シートを分解することにした。

座席シートから背当部分をカットし、座椅子と肘掛けのみ使用する。カットは、やはり糸鋸の使用が効率よい。
背当は、薄板材を台にし縁はエコーのSTウッドを木工ボンドで貼り付ける。これをカットした座椅子にサントイッチする。

完成した背当て及び台座は茶、座席シート及び肘掛けは青を手塗りで色付けした。
4人掛け座席シート1組を外しタコストーブ設置場所に、ストーブ台未完成のため仮置きしてる。

●天井造り:
天井の天板は、1.0mm厚プラ板に電灯用6個(3.0mm)、煙突用2個(4.0mm)、支柱用1個(2.6mm)穴開ける。取り付け台座を、それぞれの穴に会わせパイプで造る。
電球は、白色LED(径3.0mm)が丁度電灯を覆っているケースに見えることから使うことになった。明るさのことも考え、数は6個とした。

●塗装・仕上げ:
資料不足がたたり、製作途中には幾度無く休止を余儀なくされました。生地完成を迎えいざ吹き付け段階で友人の皆さんにお知恵を拝借したところ、車体はモスグリーンだったと言う文章を読んだことがあるとの情報を得て、モスグリーンに決めました。
色は、種類が多いタミヤカラーから選ぶことにし、グリーン系の濃いいろを中心に3〜4種類買い求め、直ちに調合を始めました。濃いグリーンであっても流石プラ用、鮮やか過ぎますのでグレーを混ぜて少し鮮度を落とし、結局オリジナルグリーンとなってしまった。
屋根は無難なグレーに決め、このグレーにも黒を混ぜて暗くし、堅調に吹き付けましたのでスエード調に似た仕上がりになりました。
床下は、車輌全体の落ち着きと色の調子を求め黒に決定しました。
また、窓枠は、室内と同色のウッド色を吹き付け表現しております。はじめに窓枠から吹き付けます。乾燥後、各窓枠をマスキングし車体のグリーンを塗りました。手間が掛かりますが、手塗りが不得意なため一番安全な良い方法でストレスになりません。
ウエーザリングは、下部を中心に軽く施した。
こうして、寿都鉄道の3軸客車は、オリジナル化されたオハ8518に変身いたしました。

◆客車オハ8518  蒸機8108号客車オハ8518ワ204ト103レム892給水塔