担当司祭から:2024年1月

川上栄治神父の写真
川上栄治神父

 2009年10月~2010年3月 協力司祭
 2010年4月~2013年3月、2014年4月~ 道後教会担当司祭

 1975年8月16日生。大阪出身。ドミニコ会司祭。
 2006年9月に司祭叙階。2006年~2009年、ローマで勉強。2009年8月に帰国後、松山へ。
 松山教会に在住。

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幼稚園児の聖誕劇を見て

(「道後教会だより」2024年1月号より)

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 先月号に書きましたが、昨年1月で松山教会の担当司祭を退き、道後教会のために働く時間が増えたので、わたしとしては2023年は良い年だったと言えます。もちろん、愛光学園での授業や幼稚園の仕事など使徒職があり、「こじか」の執筆も今年1年残っているので、まだまだ忙しい日々が続きますが、皆様のために少しでも働けるように努めていきたいと思います。
馬小屋プレゼピオ(カトリック道後教会) さて、表題のことですが、わたしは昨年の12月15日に自分がチャプレンをしている海の星幼稚園で年長児によって行われた聖誕劇を初めて見ることができました。わたしは今治の若葉幼稚園のチャプレンを5年務め、海の星幼稚園のチャプレンになって6年目を迎えていますが、これまで一度も聖誕劇を見ることができませんでした。若葉幼稚園の時は、聖誕劇が土曜日に行われていたので、教会の使徒職のために、聖誕劇を見に行くことができませんでした。そして、海の星のチャプレンになって、聖誕劇を見ることができるかと期待していたら、海の星幼稚園の聖誕劇は平日に行われ、それも愛光学園の授業日に重なったり、試験の採点の追い込み期間だったりして、行くことができませんでした。しかし、運よく今年は聖誕劇の日に愛光学園の授業がなく、試験の採点が終わった後だったので、ようやくチャプレンになって11年目にして初めて聖誕劇を見に行きました。
 いつもはやんちゃな園児たちもこの日ばかりは緊張した表情で聖誕劇を演じていました。なかなかセリフが出てこない子どももいましたが、それでも一生懸命頑張っていました。そんな中でひときわ目を引いたのがヘロデ王を演じていた園児でした。ヘロデ王がイエスを皆殺しにせよと言う聖書の箇所が聖誕劇で取り入れられていましたが、役を演じていた園児は刀を抜きながら、周りを圧するハリのある声でそのセリフを言ったので、わたしは驚き、思わず見入ってしまいました。あとで幼稚園の先生にヘロデ役を演じた園児について聞いたら、先生から「あの子は自分で『僕はこうやりたい』と劇の演じ方に自分から希望を出してきたのですよ」と言われたので「なるほど」と納得しました。
 聖誕劇は6幕に分かれ、それぞれの幕の間に少し準備の時間がありながらも、全体としてはスムーズに進行し、40分ぐらいで劇は終了しました。終わった時、わたしは長年見たかったものをようやく見ることができた喜びでいっぱいでした。そうしたら、劇の後にわたしの知り合いでお子さんが海の星幼稚園にいる方があいさつに来られました。その方から「息子が神父様のお話の日に幼稚園に行けなかったら『すごく残念だ』と言うんですよ」と言われた時、わたしの話が園児たちの楽しみになっていると実感できました。
 司祭の減少のため、使徒職を掛け持ちするのが当たり前の時代なので、色々なことに十分関われないことが多いのは仕方ないことです。それは頭で分かっているけれども、自分のやっていることが本当に意味があるのか、とわたしはしばしば悩むのです。
 しかし、知り合いの方の言葉を聞き、聖誕劇が終わって園児たちが「神父さま〜」と寄ってきた姿を見て、「自分のやっていることに意味があるのだ」と思うことができました。それが聖誕劇を見たわたしにとって最大の喜びでした。この出来事を励みにこれからも司祭としての務めを続けていく決意を新たにしました。