担当司祭から:2022年12月

川上栄治神父の写真
川上栄治神父

 2009年10月~2010年3月 協力司祭
 2010年4月~2013年3月、2014年4月~ 道後教会担当司祭

 1975年8月16日生。大阪出身。ドミニコ会司祭。
 2006年9月に司祭叙階。2006年~2009年、ローマで勉強。2009年8月に帰国後、松山へ。
 松山教会に在住。

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出会い

(「道後教会だより」2022年12月号より)

 コロナウイルスの感染が拡大して2年半が経ちました。その間、わたしたちは行動を制限しながら、生活してきました。旅行はもちろん、外食を控え、感染者の数が多い時は外出さえも制限してきました。
 今、世界の多くの国で「ウィズコロナ」という言葉のもと、そういった制限を取り払って生活するようになりました。つい最近、日本でも外国人旅行者の受け入れの制限を緩和しました。
 わたしは先日それを実感する出来事がありました。松山教会でミサをする前に外国人観光客夫婦らしき二人が聖堂で祈っていたのです。お祈りが終わって帰ろうとする前に、わたしは声をかけて、少し話をしました。聞けば、その夫婦は香港から3週間半の予定で日本に旅行でやってきたとのことで、外国人旅行者の受け入れが緩和されたから嬉しいと話されました。
 わたしはドミニコ会のロザリオ管区に所属しています。ロザリオ管区というのは、スペインやイタリア、日本、フィリピン、ベネズエラなどが属していますが、本部は香港という珍しい管区です。そのことを話すと大変喜んでおられました。最後に「香港人は日本にたくさん来たいと思っているから、これから多くの香港人が来ますよ」と言われて、別れました。その後、わたしは外国人の旅行者に教会で会うのは久しぶりであることに気づきました。
 あと、これは新しい出会いではないのですが、プロテスタント側から来年に一致祈祷集会を行おうではないかという提案があり、カトリック側の代表であるわたしも同意して先日集まりを持ちました。一昨年コロナの流行が落ち着いた時期に全国朝祷会を松山で行うという話があり、何回か集まりを持ちました。しかし、その時は全国朝祷会という大規模な行事のために10名近くの人が準備委員として参加していたので、それぞれの教会の現状を話す機会は限られていました。結局、その全国朝祷会はコロナの感染者が増加したため、中止になりました。ですから、コロナウイルス感染が拡大する前の2020年1月に集まって以来、久しぶりにお互いが顔を合わせ、話をしたことになります。来年の1月に一致祈祷集会を行う方向性で決まったのですが、当然コロナウイルスの感染が拡大すれば中止するということも決めました。
 しかし、わたしにとって朝祷会の再開は喜ばしいことですが、それよりもまずプロテスタント諸教派の方々と顔を合わせて、話し合ったことが何よりの喜びでした。話し合いの中で、プロテスタント諸教派がカトリック教会と同じように色々苦労されていたことを知りました。そして、参加者が全員口を揃えて「礼拝に参加される信者の数が減っている」と言われました。そこでわたしは「やはり、どこも同じなのだ」と実感しました。
 わたしはもちろん、教会の担当司祭として、ミサに参加する信者の数が減少していることは分かっていました。特に高齢の方が来るのが難しくなったと感じています。けれども、それをプロテスタントの方たちと話して、カトリック教会の現状を客観的に見ることができました。
 コロナウイルスの感染はまだまだ続き、いつ終わるか分からない状況です。その中で、それぞれの人が最大限の注意を払いながら、新しい出会いや今まで築き上げてきた人たちとのつながりを取り戻していくことが必要だとわたしは思います。コロナの感染期間でわたしたちの生活空間はかなり狭まったため、わたしたちの心は閉塞感に包まれていると言えましょう。
 もうすぐ、教会は待降節に入り、主の降誕を迎えます。主の降誕はキリスト教の信者でない人が教会を訪れる最も良い機会です。今はまだ以前のように無制限に人を受け入れることはできないでしょうが、新しく教会に来る人は増えることでしょう。なぜなら、多くの人が何かしら心の拠り所を求めているからです。わたしは教会の担当司祭として、そういった人々が一人でもミサに参加され、主の降誕を祝えるよう願っています。