担当司祭から:2020年3月
エキュメニズム
(「道後教会だより」2020年3月号より)
去る1月25日に道後教会においてキリスト教一致祈祷集会が行われました。キリスト教一致祈祷集会は年によってカトリック教会(司祭)とプロテスタント諸教派(牧師)が交替で会場と奨励を担当するのですが、今年度はわたしが奨励を担当しました。
長い間、カトリック教会はプロテスタントを「異端」と批判してきました。それはつい100年ほど前まで続きました。しかし、第二バチカン公会議の時にカトリック教会はキリスト教の分裂が「しばしば両陣営の相当な数の人が責めを負うべきであった」という言葉によってカトリック教会にも責任があったと正式に認めました。実際ルターの宗教改革が起こった時代、カトリック教会は説教のできない司祭が大勢おり、司教や教皇が世俗的な権力を握っていたので、多くの人が不信感を抱いていました。それを認めず、カトリック教会はプロテスタント諸教派を受け入れなかったのです。これは画期的なことでした。
けれども、カトリック教会とプロテスタント諸教派の分裂から長い時が経ったため、その違いは大きく、お互いに交わることはなかなか難しい状況でした。その状況で「エキュメニズム」という「キリスト教一致運動」が始まりました。この運動は1908年にポール・ワトソンによって提唱されて始まりました。1月18日から25日を「キリスト教一致祈祷週間」と定め、その間にキリスト教の諸教派が集まって、互いに祈りを捧げるのです。毎年配布されるパンフレットはそのために用意されています。「8日間の聖書の黙想と祈り」をキリスト教諸教派が集まって全部行うところもあります。
しかし、松山地区では一致祈祷集会を1月18日から25日までの間か、あるいはそれに近い日に行うようにしてきました。わたしがこの一致祈祷集会の準備会のカトリック側の責任者となったのが3年ほど前のことでした。きっかけは長年一致祈祷集会を準備されてきたプロテスタントの信徒の方が急逝されたことです。それから、カトリック教会とプロテスタントの間で代表者を出して、一致祈祷集会を準備しようという動きが生まれ、カトリックの代表者としてわたしが選ばれました。
今年の奨励でも話しましたが、五島のキリスト信者の子として生まれ、プロテスタントのことを何も知らなかったわたしが一致祈祷集会の準備委員になることを想像もしていませんでした。最初は戸惑いが大きかったのですが、今は大変やりがいを感じています。
今年の一致祈祷集会は75名の参加者があり、うちカトリック教会の信者が49名参加しました。このことを一致祈祷集会の準備委員会のプロテスタント側の代表者は大変喜んでくださいました。わたしとしても、今年の参加者の多さには驚きました。それとともに、礼拝の雰囲気の素晴らしさに感謝しかありません。
一致祈祷集会は素晴らしい実りをもたらすことは事実です。けれども、カトリック教会とプロテスタント諸教派の違いは大きいことは認めなければいけません。代表的なものは、ローマ教皇の権威に関する見解の相違、聖母マリアに対する見解の相違、何よりもミサという儀式を大半のプロテスタント諸教派は行なっていないことです。
このような違いがある限り、キリスト教は一つであると安易に考えることは認められません。わたしたちにできるのは、キリスト教諸教派が互いの違いを認めながら、共に集まって祈り、交わることによって、少しずつ関係を築くことです。どうか、皆さんも1月18日から25日までのキリスト教一致祈祷週間の大切さを知っていただき、一致祈祷集会に参加していただきたいと思います。