担当司祭から:2017年4月

川上栄治神父の写真
川上栄治神父

 2009年10月~2010年3月 協力司祭
 2010年4月~2013年3月、2014年4月~ 道後教会担当司祭

 1975年8月16日生。大阪出身。ドミニコ会司祭。
 2006年9月に司祭叙階。2006年~2009年、ローマで勉強。2009年8月に帰国後、松山へ。
 松山教会に在住。

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聖週間

(「道後教会だより」2017年4月号より)

 カトリック教会は4月9日から15日まで聖週間を迎えます。聖週間とはイエス・キリストの死を特に記念する教会の中で最も大切な時です。その始まりの日曜日にあたる受難の主日のミサには聖週間の意義が凝縮されています。受難の主日のミサは棕櫚の枝を持ってイエスのエルサレム入城を記念することから始まり、福音朗読でイエスの裁判から死までの場面が読まれるのです。棕櫚の枝
 受難の主日の翌日の月曜日から水曜日までは特別な典礼がありませんが、木曜日から土曜日までは聖週間の中でも「聖なる三日間」と呼ばれる教会の典礼の頂点となる時です。この三日間はそれぞれの日の固有の典礼以外の祭儀 ― 結婚式や葬儀など ― は、特別な事情がない限り小教区で行うことができません。
 聖木曜日は二つの違った意向のミサがささげられます。一つは、「聖香油のミサ」であり、もう一つは「主の晩さんの夕べのミサ」です。「聖香油のミサ」は「聖香油のミサ」では、「聖香油」「洗礼志願者の油」「病者の油」がミサにおいて聖別されます。「聖香油」は洗礼・堅信・叙階の秘跡の時に用いられる油であり、「洗礼志願者の油」は洗礼志願式の時に用いられる油であり、「病者の油」は「病者の塗油」の秘跡の際に用いられる油です。このミサを行うことができるのは司教のみです。それとともに、「聖香油のミサ」において司祭の約束の更新が行われます。司教とともに「聖香油のミサ」を共同司式する司祭は、司祭職がイエス・キリストの死と復活に結ばれていることを思い起こし、自分の職務を忠実に果たすと司教に誓います。高松教区で「聖香油のミサ」は水曜日に行われますが、これは司牧上の理由によるものであり、本来は聖木曜日に行われます。
 聖木曜日の日没後、「主の晩さんの夕べのミサ」が行われます。このミサは、イエス・キリストが聖体の秘跡を制定したことを特に記念します。このミサの中で洗足式が行われます。それは「弟子の足を洗うまで弟子を愛したイエスの謙遜」を記念し、わたしたちがそれに倣うためです。この日のミサの後、聖体は聖櫃から出され、教会で定めた場所に安置されます。この日から翌日の聖金曜日の祭儀の前まで教会に行き、聖体礼拝をすることが勧められます。
 聖金曜日は教会の典礼暦の中でミサを行わない唯一の日です。この日は秘跡の根源であるイエスの死を記念することに集中します。聖金曜日の祭儀はカトリック教国においてはイエスが亡くなったとされる昼の3時に行われますが、日本では夜に祭儀が行われます。ゴルゴタの丘(十字架上のキリスト)
 聖金曜日の祭儀は主の受難朗読と盛式共同祈願と十字架礼拝と交わりの儀から構成されます。主の受難朗読はヨハネ福音書の18章~19章が読まれます。この朗読によって、わたしたちはイエスの死をしっかり心に刻みます。
 それから、盛式共同祈願が唱えられます。これは普段の主日のミサとは違い、あらかじめ定められた意向をもとに荘厳に唱えられます。その意向は教会・教皇・司教・司祭をはじめ、キリスト者の一致や他宗教、さらには神を信じない人、不慮の事故に遭った人などに向けられた幅広いものです。それから、十字架が司祭によって祭壇の前に運ばれ、十字架の礼拝が行われます。
 その後に、聖体拝領が行われますが、それはイエスの死を記念した「しるし」として教会に集まった人々が受けるものであり、祭儀の本質ではありません。そして、翌日の聖土曜日を過ごし、日没後復活徹夜祭を祝うのです。
 以上、聖週間、特に受難の主日と聖木曜日、聖金曜日について説明しました。現在、道後教会が所属する中予ブロックは聖木曜日と聖金曜日の典礼を松山教会で行っているのでなかなか参加しづらいと思います。しかし、聖なる三日間は教会の根幹であるイエスの死と復活を記念する儀式なので、多くの方に参加していただきたいと思います。