担当司祭から:2017年1月
降誕節について
(「道後教会だより」2017年1月号より)
11月の最後の日曜日から、カトリック教会は待降節が始まりました。この待降節からカトリック教会は新しい年度が始まります。それは会社や学校が4月に新年度が始まるのと同じようなものです。
主イエスの降誕のお祝いを申し上げます。キリスト信者は先月の末から1ヶ月近くかけて主イエスの降誕を待降節において準備してきました。先月の教会だよりにおいては待降節が単に過去に起こったイエスの誕生を祝うだけでなく、やがて来られるイエスが来るのを待ち望むという側面があることも書きました。また、先月の教会だよりには書きませんでしたが、「今」キリストを信じている人々のうちにキリストが来られるという側面もあるのです。つまりイエス・キリストの誕生は「過去」「今」「未来」という線として理解される必要があるのです。
ところで、主の降誕が終わってから教会は降誕節に入りますが、この時期は年末年始の多忙な時期であり、降誕節をお祝いするという実感が強くないかもしれません。実際降誕節がいつまで続くのかご存知ない方もいるでしょう。
そこで、降誕節がいつまで続くかという基本的なことを説明します。降誕節は主の降誕から主の洗礼の祝日までの期間です。主の洗礼はだいたい1月の第二日曜日になりますが、教会の暦の関係で1月の第二月曜日になることもあります。ですから、降誕節は期間としては12月25日から1月10日前後までです。期間としては2週間と短いですが、実はこの間に聖人の祝日があることを知っていただきたいのです。
例えば、主の降誕の翌日はキリスト教最初の殉教者として有名な聖ステファノの祝日ですし、その翌日は福音記者聖ヨハネの祝日です。その翌日はイエスの誕生の知らせを聞いたヘロデ大王がイエスを殺そうとしてベツレヘムにいた幼子を殺したという記述に基づき、幼子殉教者の祝日が祝われます。そして、主の降誕の次の日曜日は聖家族の祝日です(今年は主の降誕が日曜日に祝われるため、聖家族の祝日は12月30日になります)。聖家族とはヨセフ・マリア・イエスのことであり、この家族がキリスト信者の家族の模範であるとして祝うのです。
そして、年が明けると元旦には神の母聖マリアの祭日があります。1月の最初の日曜日には主の公現がお祝いされます。主の公現では有名な占星術の学者がイエスを訪ねてくる箇所が読まれます。日本では12月24日の晩にサンタクロースがプレゼントをもってきますが、ヨーロッパではこの主の公現にサンタクロースがお祝いを持ってきます。わたしがイタリアにいた時、主の公現の日に部屋の前に大きなチョコレートや飴が入った袋がドアのノブにかけてありました。それがあまりにも大きかったので、ローマにいた他の日本人のシスターに渡したことを今も覚えています。そして、その翌週の日曜日に主の洗礼を祝います。これはイエスが洗礼を受けて公に活動を始められたことを記念し、降誕節が終わるのです。
ですから降誕節には、主の降誕から主の洗礼の祝日までに教会で祝われる祝祭日がたくさんあるのです。年末年始の忙しい時期ではありますが、教会の中で重要な聖人や大切な祝日があることを皆さんには知っていただきたいのです。
上に挙げた祝祭日の中で日本で守るべき祝日(ミサに行かなければならない日)は元旦の神の母聖マリアの祭日だけですが、その他の祝日も心に留めていただきたいと思います。降誕節は主イエス・キリストが幼子として生まれ成長した過程を記念する大切な時期です。それと共に初代キリスト教の形成に大きな役割を果たした聖ステファノと福音記者聖ヨハネの祝日もあることを知っていただきたいと思います。
この記事を読まれた皆様が降誕節を実り豊かに過ごし、2017年がより良い年になるように心よりお祈り申しあげます。