担当司祭から:2016年11月

川上栄治神父の写真
川上栄治神父

 2009年10月~2010年3月 協力司祭
 2010年4月~2013年3月、2014年4月~ 道後教会担当司祭

 1975年8月16日生。大阪出身。ドミニコ会司祭。
 2006年9月に司祭叙階。2006年~2009年、ローマで勉強。2009年8月に帰国後、松山へ。
 松山教会に在住。

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死者のための祈り

(「道後教会だより」2016年11月号より)

手を合わせて祈る 先月の教会だよりで10月がロザリオの月であるという記事を書きました。その翌月にあたる11月はカトリック教会で「死者の月」であるとされています。それはカトリック教会において11月2日を「死者の日」として記念することに基づいています。
 死者の日というのは、教会の暦において「記念日」の扱いです。カトリック教会の暦において「記念日」というのは「祭日」「祝日」の次にあたります。「祭日」とは三つの聖書の朗読があり、栄光の賛歌を唱え、信仰宣言を唱える日であり、これはイエスの死と復活を記念する主日と同じです。祝日は栄光の賛歌を唱えます。記念日はその日に記念する聖人の祈願が唱えられるだけです。これらの日が日曜日に重なれば、「祭日」以外はほとんどの場合、日曜日のミサが優先されます。しかし、死者の日は例外で日曜日に重なっても、死者の日のミサは行われます。このことから、カトリック教会が死者のための祈りをどれほど大切にしているかが分かります。
 死者のための祈りで最も大切なのは「葬儀」です。この世を去った人との最後の別れの儀式である葬儀は、キリスト教において一つの大きな特徴を持っています。それは告別式の最後の祈りに表れています。「いつくしみ深い神よ、キリストを信じてこの世を去った兄弟姉妹をあなたにゆだねます。私たちはキリストの言葉に希望と慰めをおき、互いに励まし合い、約束された復活の日、キリストのうちに集まることを心から待ち望みます。」キリスト教においては、キリストを信じて亡くなった人はキリストが復活する日に再び復活するという強い信仰があります。この「希望」がキリスト教の葬儀の大きな特徴です。「亡くなった人が神のもとで永遠に生き、そして復活する」というメッセージは、故人を亡くして悲しみに沈む遺族にとっての助けとなるのです。
 けれども、葬儀だけが死者のための祈りをする場ではありません。カトリック教会においては、ミサの奉献文において亡くなった人に対する祈りがあります。「また、復活の希望を眠りについたわたしたちの兄弟とすべての死者を心に留め、あなたの光の中に受け入れてください。」ですから、毎週の日曜日ごとに死者に対する祈りが行われていると言えます。もちろん、日曜日はイエスの死と復活を記念するための日ですが、亡くなった人に祈りを捧げるという要素がミサの中にあることを知っていただきたいと思います。
 『葬儀』の儀式書には次の言葉があります。「教会の伝統によれば年ごとの命日を死者のための記念日とした。しかし、日本の習慣に従って、地域社会との関連から三日、七日、三十日、四十九日、あるいは月ごと、年ごとの命日などに死者を祈念してミサを行ってもよい」(『葬儀』43)。わたしの経験では、四十九日に納骨式でミサをご依頼される方が時々いらっしゃいます。しかし、それ以外にも例えば一周忌や三回忌で親族と共にミサを捧げたいという希望があれば、教会で「追悼ミサ」を行うことができます。それは原則として日曜日に行うことができませんので、平日で親族が集まりやすい土曜日などに依頼されるのが望ましいでしょう。
 それ以外にもミサの中で故人の名前を読み上げて、追悼することもできます。この際は故人が未信者であっても可能です。自分の親しい人が亡くなったのでお祈りしてほしいという場合は、ご自身が所属しておられる教会の担当司祭か教会の事務局にお問い合わせください。
 「死者の月」にあたる今月は特に、皆さんの周りで亡くなった方のことを思い起こし、その方々のために祈りを捧げてください。そして必要であれば、ミサを捧げてください。死者のための祈りはわたしたちの信仰にとって大切であると、死者の月にあたって改めて思い起こしていただきたいと思います。