Copyright (c)2006 成田眞澄

See also
司馬遼太郎『梟の城』
        『最後の伊賀者』
(新潮文庫)


天正8年。伊賀国霧生のくノ一(れん)は、
主君である百川弥九郎の寵を拒んだために、その御前で決死の真剣試合をさせられる
ことになる…。

一 霧生


二 百川館


三 四条河原



四 安土山


五 疏水


六 蜉蝣の城

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  (傀儡(くぐつ)であるのに)漣は、泣き面を拭うこともせずに風に嬲らせながら思った。
(なぜ、こんなにも涙が出るのか)


―国境までの道程は、わずか四里である。