長崎港ウォッチング


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三菱長崎造船所で建造された護衛艦

 晴れた日、松が枝埠頭からのぞむ稲佐山、浦上方面の眺めはそれなりに美しいものがある。この街が再び戦火で焼かれることなど誰も考えないし望んではいないだろう。

 1999年の周辺事態法成立以降、「戦争をする国」への体制整備が着々と進められる中で、ながさき平和委員会は2000年12月より、長崎港への自衛隊艦艇の出入りをウォッチングしている。

 この間の監視行動で、三菱長崎造船所は海自佐世保基地にとって不可欠な護衛艦の修理・点検基地となっていることがわかってきた。約5年に一度の定期検査(武器などの分解、修理や総点検)、毎年行う年次検査(点検、部品交換)等のために接岸する護衛艦は年間10隻ほどになる。通常、定期検査は年1隻だが、04年度は4隻もの定期検査を行っている。これは04年に竣工した豪華客船ダイヤモンドプリンセス、サファイアプリンセスの赤字を埋めるために急きょ行なったものといわれている。

 三菱長崎造船所に接岸する護衛艦のほとんどは佐世保の護衛艦隊群所属のものである。「テロ特措法」で佐世保基地からインド洋へ戦時派遣された護衛艦の検査・修理もすべて長崎造船所で行なっており、事実上、佐世保の補完基地となっている。他の基地配備であっても長崎造船所で建造された護衛艦の初年度点検だけはここで行なっている。また佐世保の補給艦や掃海艇、佐世保地方隊所属の護衛艦はSSK(佐世保重工業)で検査・修理が行われている。

 さらにイージス艦を「ミサイル防衛」用に改造する工事が始まり、日米一体化した軍事政策推進にいっそう加担を強めつつある。

 三菱造船所への護衛艦の接岸場所(バース)は立神第2ドック、立神岸壁、八軒家岸壁、立神第3ドック、向島岸壁及び飽の浦岸壁に限られ、修理内容によって場所を頻繁に移動する。大型民間船舶の建造などでバースが手狭なとき、あるいはイージス艦のレーダーの試験の際には港の真ん中の中央錨地に停泊することもしばしばある。
 一方、公共埠頭へ接岸(長崎港寄港)した艦船は年によって大きく異なるが、艦種は多岐にわたり、長崎港の軍事利用が進められるとともに、「平和の港」への軍艦慣らしが進んでいることもわかってきた。

 三菱長崎造船所は、2015年10月、大型商船事業を香焼工場に一本化し、船舶建造と船体ブロック製造の2子会社に分社化した。立神工場は艦艇の建造に特化することになった。今度は大型客船建造を凍結すると発表した。液化天然ガス(LNG)船などに注力し、同業他社との提携でコストダウンを探るとともに、設計部門を分社化させるという。軍事部門のウェイトがさらに増していく。