抗議行動に立ちはだかる自衛隊
国民を守らない自衛隊の姿浮き彫りに

 10月18日、佐世保市の繁華街で陸上自衛隊相浦駐屯地の有事即応部隊(西部方面普通科連隊)の隊員約200名が武装軍事パレードを行ないました。迷彩服姿で、実弾は装填しないものの長さ1メートルもある小銃を抱えた「正装」で、松浦公園脇からアーケード内の約1キロを、約30名の音楽隊に先導されて行進しました。

 佐世保平和委員会と原水協は10時半頃から島瀬公園前で抗議の横断を掲げて宣伝を始めました。ところが11時前になると制服姿の自衛官が抗議する市民の前に50センチ程の間隔でいっせいにたちはだかるという異様な事態となりました。

 佐世保原水協の山下千秋理事長は国民を敵視して対峙する自衛官らに抗議、「市民に『自衛隊のありのままの姿を見てもらいたい』として軍事パレードを行う自衛隊は、われわれの抗議行動を妨害しようとしている。いざという時には、国民を守るのではなく、弾圧するのがいまの自衛隊の本当の姿だ」と道行く市民に訴えました。この反撃が効いたようで、制服自衛官は抗議する市民の前から去っていきました。

 07年12月、佐世保ではスポーツクラブで散弾銃乱射事件が起こりました。二度とこんな命を奪う事件など起こしてもらいたくない、これが市民の願いです。なのに銃を持ったまま、のどかな平穏な市民生活のど真ん中を行進するとはどういう神経をしているのでしょうか。

 しかも防衛省は「海外での活動」を自衛隊の主任務に格上げして、国際貢献の名のもと、米軍の起こす戦争への支援を公然化しました。「自衛隊のありのままの姿」を理解せよとは、日本を守るためではなく、憲法9条を投げ捨て、アフガン報復戦争、イラク侵略戦争などのアメリカの起こす戦争に一緒に戦う自衛隊を認めろというのです。現に、西部方面普通科は06年から3年連続、米海兵隊基地で強襲揚陸の手ほどきを米海兵隊から受けているのです。

 抗議に駆けつけた市民は、行進中の隊員に向け「子供に銃を見せるな」「軍事パレード反対」とシュプレヒコールを上げました。

 武装軍事パレードは西部方面普通科連隊の創設時の02年に始まり、翌年からは相浦駐屯地の創立記念行事の一環として行われるようになりました。当初は市民感情を配慮して、武器を持たずに迷彩服姿でアーケード内を行進、03年から「市民に自衛隊の普通の姿を見てもらいたい」と武器を持ち、国道を通行止めにして行進。時間はわずかに10分でした。ところが05年からはアーケードに商店街に場所を移して武装パレード。時間は約25分。06年は台風接近にともなう部隊出動のために中止となりましたが、アーケード内での武装パレードは3回目、徐々に市民を慣れさせ、恒常化させてきました。 

(2008年10月18日)

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