完全武装の陸自隊員
佐世保の国道を行進
10月13日、佐世保の陸自相浦駐屯地に配備されている西部方面普通科連隊(有事即応の対テロ特殊部隊)の隊員約250人が佐世保市の国道を完全武装で行進しました。武装自衛隊による市中パレードは佐世保では初めてのことです。区間は松浦交差点から島瀬交差点まで、距離にして300メートル。時間はわずか10分間でしたが、片側3車線のうち歩道側の1車線を通行止めにし、5列の隊列で車の流れとは逆向きに歩きました。軍歌『抜刀隊』(*)を流しながら、迷彩服をまとい、小銃を肩に、拳銃を腰に行進する姿はさながらイラク派兵の壮行会の予行演習。沿道の市民には(陸上自衛隊なのに)海上自衛隊の「旭日旗」をあしらった小旗が配られ、隊員が通ると拍手する姿も見られました。
表向きは自衛隊創立を記念行事のひとつとして行われ、「部隊の真の姿を知ってもらうために銃器を携行することにした」としていますが、自衛隊の本格的海外派兵の認知を佐世保市民に迫るデモンストレーションと見るべきでしょう。
(*)軍歌『抜刀隊』
明治初期にシャルル・ルルーが作曲した軍歌に、西南戦争で活躍した「抜刀隊」をたたえる歌詞をつけたもの。中央観閲式など正式な場で陸上自衛隊の代表的行進曲として演奏される。海上自衛隊の『軍艦マーチ』に相当するもの。驚くべき時代錯誤の歌詞はここ→
佐世保市平和委員会と佐世保原水協は行進の終点付近で横断幕を掲げて宣伝行動をし、「この部隊がイラク派兵の候補とされている。命を失うかもしれない。イラクの人の命を奪うかもしれない。世界に誇るべき日本国憲法を守り、イラク派兵を中止させよう」と、隊員や市民に呼びかけました。
西部方面普通科連隊は昨年3月に創設され、直後に佐世保市制百周年のイベントのひとつとしてアーケード街でパレードを行なっています。このときは市側の要望で小銃を携行せずに行われましたが、アーケードの端から端まで約1キロを行進しています。ところが今回の行進がわずか10分間だというのは、へたをするとこれまでに培った市民の「信頼感」を失う危惧、つまり完全武装での行進が市民に与える影響を考えたからではないでしょうか。同時に市民の反応を探りながら次のステップへ進む戦略ともみることができます。
相浦駐屯地では創隊記念パレードを来年以降も継続するとしています。自衛隊の大規模海外派兵と憲法9条を変えようという動きが出てきている中、有事をあおる市中パレードなどには大きな反対の声を集中させましょう。
[関連記事]
○大村で自衛隊が市中パレード 市街戦制圧の模擬演習も
○創設4ヶ月で3人の自殺者 共産党が相浦基地を調査
○ゲリラ対応特殊部隊が市中パレード
○ゲリラ即応部隊が発足
『抜刀隊』(外山正一作詞・シャルル・ルルー作曲)
- 我は官軍我が敵は 天地容れざる朝敵ぞ 敵の大将たる者は 古今無双の英雄で これに従うつわものは 共に剽悍決死の士 鬼神に恥じぬ勇あるも 天の許さぬ反逆を 起こせし者は昔より 栄しためしあらざるぞ 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし
- 御国の風ともののふは その身を守る魂の 維新このかた廃れたる 日本刀の今更に また世に出ずる身の誉れ 敵も味方も諸共に 刃の下に死すべきに 大和魂あるものの 死すべき時は今なるぞ 人に後れて恥かくな 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし
- 前を望めば剣なり 右も左もまた剣 剣の山に登らんは 未来の事と聞きつるに この世において目の当たり 剣の山に登るのも 我が身のなせる罪業を 滅ぼすためにあらずして 賊を征伐するがため 剣の山も何のその 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし
- 剣の光りひらめくは 雲間に見ゆる稲妻か 四方に撃ち出す砲声は 天に轟く雷か 敵の刃に伏すものや 弾に砕けて玉の緒の 絶えてはかなく失する身の 屍は積んで山を成し その血は流れて川を成す 死地に入るのも君がため 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし
- 弾丸飛雨の間にも 二つ無き身を惜しまずに 進む我が身は野嵐に 吹かれて消ゆる白露の はかなき最期を遂ぐるとも 忠義のために死する身の 死して甲斐あるものたれば 死ぬるも更に怨みなし 我と思わん人たちは 一歩も後へ退く勿れ 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし
- 吾今ここに死なん身は 君のためなり国のため 捨つべき物は命なり たとえ屍は朽ちるとも 忠義のために死する身の 名は芳しく後の世に 永く伝えて残るらん 武士と生まれし甲斐も無く 義の無き犬と言わるるな 卑怯者とな謗られそ 敵の亡ぶるそれまでは 進めや進め諸共に 玉散る剣抜き連れて 死する覚悟で進むべし