前畑弾薬庫返還条件に住宅不足の解消も

 6月15日、在日米軍司令部(横田基地)で「佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等に関する第3回施設調査部会」が開かれ、日米間で前畑弾薬庫を日本側に返還することを基本合意しました。

 前畑弾薬庫返還は切実な住民要求ですが、米軍はこれを逆手にとり、針尾弾薬庫の機能強化と家族住宅不足(約400戸?)の解消を返還条件にあげていました。総計1000億円を超える費用はすべて日本国民の税金でまかなわれ、米軍にとっては願ったりかなったりの合意となりました。

 針尾弾薬庫に前畑弾薬庫の機能を集約・強化する基本構想は3月に防衛施設庁が佐世保市に示した構想案とほぼ同じです。
・トンネル式弾薬庫は安久ノ浦湾南側に位置する山側に移設
・地上覆土式弾薬庫は安久ノ浦湾を埋め立てて移設(埋立範囲は保管量により決定)
・埠頭は、安久ノ浦・牛ノ浦間に移設
・作業施設及び管理施設は、牛ノ浦に移設
・牛ノ浦における漁業権の消滅補償を検討
・安久ノ浦側の弾薬庫敷地境界の外側に保安緩衝地帯整備を検討

 防衛施設庁と佐世保市は住民説明会を各地で開き、地元の同意を得られれば、来年度概算要求に基本設計費を計上することを目論んでいます。

 西日本新聞は弾薬庫の集約移転先の針尾、江上地区の住民の反対の声を次のように紹介しています。「軍事施設の増強にすぎず、新たな危険を押しつけられる」「どこの地域も嫌がる弾薬庫の拡大は国策とはいえ、容易には賛同できない」。また前畑弾薬庫に近接する天神地区の住民の声として「念願はかなったが、同じ市内への移転はもろ手を挙げて喜べない」と複雑な市民感情があることも紹介しています。

(防衛施設庁が公表した移設概念図)

(防衛施設庁が公表した会議概要)

  1.  平成17年12月19日に開催された「佐世保地区における在日米軍施設・区域の整理等」に関する第2回会合においては、日本側の要請である佐世保弾薬補給所(以下「前畑弾薬庫」という。)の移設・返還の検討及び米側の要請である佐世保地区の米海軍住宅不足の解消について集中的に議論を行ったところである。
  2.  第2回会合で両政府が提示した要請を踏まえ、今回の第3回会合では、前畑弾薬庫の移設・返還及び佐世保地区における米海軍家族住宅の不足(関連する住宅支援施設を含む)の解消に関する基本的考え方について集中的に議論を行なったところであり、その結果は以下のとおりである。
  3.  前畑弾薬庫の移設については、次のような内容による移設とすることについて、日米間の認識の一致を見た。
    1.  前畑弾薬庫の既設の弾薬庫については、安久ノ浦湾南側に位置する山側にトンネル式弾薬庫、安久ノ浦湾を埋め立てて地上覆土式を移設
    2.  前畑弾薬庫の既設の埠頭は、安久ノ浦・牛ノ浦間に移設
    3.  前畑弾薬庫の既設の作業施設及び管理施設は、牛ノ浦に移設
    4.  前畑弾薬庫の既設の弾薬庫等の移設により保安距離が保てなくなる等の影響を受ける針尾島弾薬集積所の弾薬庫等の各施設(埠頭、弾薬取り扱い施設等)は、それぞれ施設毎の移設先に施設・集約
    5.  移設規模は、前畑弾薬庫及び針尾島弾薬集積所の現状の能力及び現状の可能能力の範囲内とするが、施設の建設に当たっては、保安距離の確保等、安全基準を最優先とする必要があり、日米双方の現在の基準を満たすよう建設される。
    6.  佐世保市等の地元からの要望を踏まえ、現在の針尾島弾薬集積所としての施設・区域の一部の周辺地域について保安・緩衝地帯の整備を検討
    7.  埋立地の前面及び牛ノ浦の水域について、弾薬庫の集約による基地機能の管理強化等を理由として、制限水域の設定の必要性を検討
  4.  米側は、前畑弾薬庫の代替施設が建設されるとともに、佐世保地区における家族住宅不足が解消されることが確認された場合に、迅速に返還してほしいという日本側要請について理解を示した。
  5.  今後、これらの内容を検討のため合同委員会に提示し、日米間の合意(合同委員会合意)を得るためには、前畑弾薬庫の移設について、地元関係自治体からの同意を得ることが求められる。

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