米イージス駆逐艦マスティン長崎寄港へ
県と市の回避要請を無視して強行


イージスミサイル駆逐艦マスティン(米海軍ホームページ)

 2月19日、長崎県は米海軍イージスミサイル駆逐艦マスティンが3月1日午前9時に、長崎港に入港することを発表しました。接岸場所は小ケ倉柳西岸壁、入港目的は「通常入港(友好と親善のため)」。乗組員数波225名、出港は5日午前9時。

 マスティンは03年に就役した最新鋭のイージス艦で06年に横須賀に配備となりました。核弾頭を搭載可能なトマホーク巡航ミサイルの発射能力を持ちます。今年1月のブッシュ米大統領の一般教書演説では「米国は依然、戦時国家だ」と述べているように、核弾頭搭載の疑いは濃厚です。

 長崎港への米イージスミサイル駆逐艦の寄港は00年のディケーター、02年のカーティス・ウィルバー、06年にステザムに次ぐものです。これら3隻とも「ミサイル防衛」用に改造され、迎撃ミサイルSM3を搭載しています。現在、駆逐艦でSM3搭載はこの3隻だけです。

 1月31日、日米地位協定にもとづく通告手順に従い、長崎海上保安部から港湾管理者である県にマスティン入港の連絡が入りました。立石暁副知事や長崎市の担当者が外務省や在福岡米領事館を訪ね、被爆都市としての米艦船に対する市民感情を考慮し、在日米大使館や外務省などに入港回避を要請していました。しかし米側には入港を取りやめる考えがないと判断し、県が公表に踏み切りました。

 2月19日、長崎市の伊藤一長市長はトーマス・シーファー米駐日大使、麻生外務相らに対し再度、入港回避の要請文を郵送。「先端兵器を搭載するミサイル駆逐艦の入港は、被爆者を始めとする市民の不安をかき立てることとなり、断じて受け入れることはできない」などとするコメントを発表しました。

 一方、長崎市は20日、伊藤一長市長の入港回避要請をしたことに対し、同大使から13日付の返書が届いたことを明らかにしました。返書では、入港の目的を「友好親善を図ること」と強調。さらに「日本の安全保障への米国のコミットメントをはっきり示すこと」と記述していました。