佐世保市が「国民保護」図上訓練
ありえない想定・不可能な計画

 2月15日、佐世保市は「国民保護」計画に基づいた市民の避難誘導方法を検討する図上訓練が市役所で行ない、市と県、陸上・海上自衛隊、県警、海上保安部、米海軍佐世保基地から計約60人が参加しました。全国で4例目、九州では初めてといいます。

 今回の図上訓練の目的は「一定の想定に基づいて、市民を武力攻撃から保護し、安全な場所に避難誘導させるための『避難実施要領』を作成する方法、手順を考察するとともに、課題、問題点をあきらかにする。この作業を通じて、国民保護に対する意識の啓発をはかる」こと。

 今回の想定は「ある国が艦隊を編成して、九州北西部(平戸市)に着上陸侵攻するという情報があり、この事態を、日本政府は武力攻撃事態と認定し、国民保護対策本部の設置について長崎県及び佐世保市を指定。これを受けて県は、佐世保市に対して全市民の避難を指示し、避難先として島原市、南島原市、雲仙市を指定。着上陸までの余裕としては10日間」というもの。

 訓練では、佐世保市が国民保護対策本部を設置し、対策本部は25万6000人の市民を避難させるために市バスと西肥バス(約300台)を提供させる。中学校区ごとの集合場所や交通手段などを決め、避難実施要領を作成し、二つの経路で5日間で島原半島へ誘導する。また黒島住民をフェリーで輸送させるためにK業者に協力を求めが故障で応えられない。そこでS業者に依頼するが定期航路使用中で協力できない。そのため県に支援を要請し、県知事から防衛大臣に海上自衛隊に協力を求め、その許可の下で海自輸送艦派遣が決まる。さらには、避難中の生活物資支援や残留者への対応などの検討。その一方、米海軍とは、基地内の約1500人の日本人従業員をゲートまで誘導後、市に避難を引き継ぐことを確認。訓練実施にあたっての体制

 「ある国の艦隊が10日後に着上陸侵攻」するという、全く現実性のないシナリオ。全市民を避難させるということになれば近隣自治体も同様のことをおこなうわけで、道路は大渋滞で5日間で完了などありえないこと。荒唐無稽な図上訓練を真剣に行なうさまは極めて異様としか言いようがありません。こうして敵愾心をあおり、日常的に米軍・自衛隊へ協力・服従させる体制をつくりあげようというのでしょう。