米ミサイル駆逐艦ステザム
長崎寄港に断固抗議する!

 2月10日、核トマホーク搭載可能な米イージスミサイル駆逐艦ステザムが長崎入港を強行し、午前8時半過ぎに小ケ倉柳埠頭西岸壁に接岸しました。

 有事法制に反対する長崎県連絡会、憲法改悪反対ながさき連絡会と長崎県平和センターは共同して抗議集会を開き、「米艦船は出て行け」「長崎市民は怒っているぞ」「民間港の軍事利用反対」「政府は非核三原則を守れ」などと抗議のシュプレヒコールをあげました。
 集会では平和委員会を代表して山下千秋さんがあいさつ。今回の入港が在日米軍再編の動きに沿ったものであり、事態は「核ならし」から「米軍基地化」に進んでいる。県知事にそんな認識をもたせるだけの世論と運動を広げようと呼びかけました。


テロ対策として市民の立入を拒むフェンス その中はまるで「米軍基地」

 これまで自由に入れた埠頭には有刺鉄線付きの頑丈なフェンスが固く閉じられ、ものものしい警備体勢が敷かれていました。フェンスの中はさらながら「米軍長崎基地」の様相です。
 米同時多発テロ事件を契機として02年12月にソーラス条約(海上人命安全条約)が改定され、外国船や外航船が寄港する重要港湾の管理者に、フェンス、監視カメラ、 警備員の配置などの保安対策が義務付けられたのです。テロ対策を名目に外国艦船が入港しているときは許可なく立ち入ることはできなくなりました。

 回避要請を断られた県ですが、その一方でテロ対策のためとして立入を禁止、抗議集会は埠頭から100m離れたフェンス越しで開催せざるを得ませんでした。

 ステザムはミサイル防衛に対応するため、昨年6月に米海軍横須賀基地に配備されたものです。甲板で記者会見したロバート・ゴンザレス艦長は「今回の訪問は作戦と関係したものではなく、乗組員の休養と親善交流が目的」と述べました。乗員は328人で、1日最大255人が上陸して 県内の養護施設訪問やランタン・フェスティバル見学などを予定しているといいます。出港は13日午前9時。


終日警備が続く

 県民・市民の代表から全く歓迎されずに、多くの警備のもとで親善交流などできるわけなどありません。伊藤長崎市長は「繰り返し入港回避を要請していたにもかかわらず、強行されたことは誠に遺憾。61年前の凄惨な被爆の記憶は今も鮮烈に被爆者、市民の心に刻まれており、市民感情を考慮しなかったことが残念でならない」とコメントしています。(長崎新聞)


【山下千秋さんのあいさつ】
 この集会は大切な意味を持っている。それは今回の米艦船の入港は在日米軍再編の一環だからだ。在日米軍再編は世界のどこであってもアメリカが戦争を起こした時に自衛隊と一体となって戦争できる能力態勢をつくりあげていくことだ。例えて言うならイラク戦争が起こった時に長崎港を補給基地に、出撃基地にしていくこと。これまでの軍艦馴らしの段階を超えて、今や米軍基地化という「実行」の段階に突入したと捉えなくてはならない。
 県知事・市長は入港回避を求めたが「県の条例を盾に入港を認めない」という態度までは取っていない。いま再編の動きの中で相模原市長は「戦車に轢かれても反対する」、座間市長は「ミサイルをぶち込まれても食い止める」という態度を取っている。もし金子知事が長崎港が米軍基地になるという認識があったら、「仕方ない」という態度を取るだろうか? 今進められているこのリアルな実態をしっかりとらえていくことで。首長がわれわれの立場に立ったしっかりとした態度を取れるような世論と運動を大きく広げていくことが極めて大事になっている。
 佐世保の特殊部隊が米国本土までいって敵前上陸訓練をLCACを使って行っている。昨日沼津では佐世保の米揚陸艦とLCACが日本の自衛隊と演習を行っている。これらの実態というのは憲法9条と両立できない。そこで支配層は憲法9条を無くしていこうとしている。その根源にある日米共同作戦体勢の実態というものを広く知らせていくことの大切さを強調したい。共に頑張ろう。