“海自倉島基地を観光地に”
強まる経済の基地依存

 5月24日付け朝日新聞は「海上自衛隊は6月から、佐世保市にある海自基地の倉島岸壁で、護衛艦などを一般公開する方針を固めた」と報道しています。

 もともと一般公開は、佐世保市が自衛隊基地や艦艇を新たな観光資源として活用しようとしたものです。最近の佐世保市は「ハウステンボスの入場者数の低迷で、04年には観光客が前年より34万人減の429万人にとどまっている」といいます。同様な旧軍港都市の京都府舞鶴市では、週末や祝日に定期的に観光客らが自衛艦に乗艦できるほか、広島県呉市でも潜水艦と記念撮影できる観光スポットがあります。

 この構想は3月議会でも取り上げられ、倉島岸壁の整備工事が完成した4月上旬、佐世保市は海自佐世保地方総監部に要請しました。同総監部も検討を進める中、ゴールデンウィーク期間中の4月29日から5月7日には、倉島岸壁で係留中の護衛艦を毎日1隻ずつ公開しました。期間中の入場者は約1万人で、市内ではハウステンボスや西海パールシーリゾート、亜熱帯動植物園に次ぐ人出だったといいます。

 佐世保地方総監部は6月中旬以降、土日や祝日、市内のイベントなどの際に艦艇を公開する方針ですが、自衛隊としては広報として大きな利点があり願ったりかなったりです。

 佐世保商工会議所は軍事施設の増強によって地域経済の振興を図るという活動方針を打ち出しています。程度の差はあれ行政も「すみわけ」路線のもと、経済の基地依存を強めようとしています。しかし米軍・自衛隊の施設が一等地を独占し、地域振興の発展を阻害しているのです。しかも米軍だけでなく「自衛隊の施設は警戒レベルが上がれば立ち入りが制限される」状況が「観光資源」にふさわしいのか。このまま未来永劫、基地依存体制でいいのか、その点が行政にも問われているのではないでしょうか?

【関連記事】
倉島岸壁の整備終了 係船能力が大幅強化
佐世保の海上自衛隊の経済効果〜684億円の試算
佐世保市長が「軍港一本化案」批判 国の打診も拒否と明言
とんでもない軍港増強への道 佐世保商工会議所が活動方針