vol 11 : 来客者


こうやって日々を過ごしていると、あの世での噂も流れ、
来客者が増えていく。
ただ増えるだけではなく、体調にも変化が起こる。
気持ち悪くなったり、頭痛、肩の痛み、重い、怠い。
それらは、中途半端な時もあれば、激痛や起きられない程にもなる。
霊と話が出来るようになっても、これらは霊の今の気持ちのあらわれなので、
霊が心を静めなければ治まらんのや。

今日は誰やろか・・・気持ち悪い。
クッキーの食べすぎ?
いやいや・・・コレは違う。

(誰?誰かおるんやろ。)

毎回始めの言葉。

気持ち悪さに目を閉じる。
すると、緑と黄色の綺麗な衣が見えてきた。
ちょっと前までは、映像見るんも必死やったのに、回数をこなす度に、
早く解る。
その人は若い男で象に乗って、象の上で片膝を曲げて座ってる。

(アナタは誰ですか?)

(私はインドの象の神。)

インドって・・・インドの神さんて・・・スゴっ!

(なんでそんなに気分悪いんでしょう?)

(お前の事を聞いて来た。)

噂や。

(お前・・・人と神が友達とか言ってるらしいな。)

俺はニコニコさんの事や、今まで出会った霊達を友達と思ってる。
それがなんなんやろ?

(確かに友達になれたらって思ってる。)

すると、神の気持ちはとても重い空気に変った。

(人間は弱い。そして神は人間を守る為に存在する。
守られている人間が守る神を友達など、失礼に値する。)

俺は考えた。確かに、俺ら人間は守られてばっかりで、
霊はたまに救ったりできても、神を救うなんて有りえるんやろか。
この神さんの言うてる事は正しいとは思う。
せやけど、ニコニコさんはまた考えが違う。

その後、インドの神はいつの間にか消えてた。
言うたらスッキリしはったんやろか?

(ニコニコさん・・・来て。)

俺はニコニコさんを呼んだ。

(カン、悩む事もなかろうに。)

ニコニコさんは言う。

(せやけど、確かに象さんの言う通りかもしれへん。)

俺は悩んだ。でも、実際、友達じゃなく、平伏すような仲になったとして、
そう想像したら悲しくて胸が苦しくなった。

(いいか?ワシは修行してきて、それなりの力を持って人間の力になりたい、
そう思って此処におる。だがな、平伏されたいとは思わん。
友達や家族と言うとても大切な存在でいたい。
神と言えど、人と感情は変わりない。
ガネーシャの考えも間違っているわけではなく、この件に正しいはない。)

難しい。

(生きている人も考え方は人其々。筋も人其々。
神もまた其々なんじゃ。)

(でも、神さんは守ってるやん。せやから、頼み事とか、呼んだりして、
助けてもらった時は何かせなアカンってことやろ?)

(ワシらはな、助けるために存在するんじゃ。ある意味、助けたいと、
ワシらが勝手に思っているところもある。例えば・・・、
ワシも、カンに頼み事をされても、ワシにも出来ない事もあってな、
その場合、その頼み事の内容に適した友人や教わった神々に相談したり、
ワシからお願いしたりもする。それに対して、その神が行動をし、
叶っても叶わないとしても、力を貸してくれた神にワシは、
心から感謝する。カンなら、この後何をする?)

 俺の為にしてくれたら、ありがとうって言うのが普通。

(そうだ。ありがとう。口から出た言葉じゃなく、心から感謝する。
我々にとって、それ程、素晴らしい贈り物はない。)

俺の回りが暖かくなった。

(そんなんでええの?)

やはり物を供えるとか、普通は義理でもそうしがちやのに。

(供え物をされても、気持ちがない、ただ叶えてもらったからと言う、
その気持ちでは感謝にならんじゃろ。)

俺の頭に手のひらの様な感覚が乗っかる。

(考えるもんじゃない。その時の気持ちじゃよ。カン。
カンは今のままでいいんだ。考えは其々。自信を持ちなさい。)

そしてニコニコさんは消えた。

多分、供え物はするにこした事はない。
ただ、そこにどんだけの思いがあるかや。

神に対してだけと違う。人に対しても同じで、
感謝の意味をもっと解れば、この答も出る。

その後も、霊と関わりたいと思う俺を珍しい人間がおる言うて来たり、
お前みたいな人間が・・・とか言う奴が来たり。
その度に自分の気持ちに考えさせられ、いろいろ体験する度に、
ニコニコさんや他の関わった神さん達への偉大差と友情や家族愛が芽生え、
毎日、俺は心からありがとうを自然に思い、自然に言いたくなる。

(カン・・・それでいいんだ。)

いつも陰でニコニコさんに言われてる気がする。
今、インドの神さんが来て、同じ事言うてきたらちゃんと答えれる。

神の考えも其々。




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