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エンジンの種類               


@ピストン・エンジン
1903年12月17日、ライト兄弟がライトフライヤー号により初の動力飛行に成功し
ました。その際のエンジンは自ら製作した「直列・水冷エンジン」でした。
偉大な兄弟の考えたエンジンを知りたくて、敬意を持って機能を主にしたモデルを
.製作しました。(RE-06参照)
さらに、ライト兄弟の進歩性を説明するために、エンジン、プロペラ、減速ドライブ・
チェーンおよびシステム(燃料、水、電気、計器、および制御)をパワープラントの
機能モデルを製作しました。(RE-06PP参照)
加えて「たわみ翼」機構を含めて「特集F」に纏めたので参照ください。
   


黎明期を迎えるきっかけの一つになった「ドーバー海峡横断」に成功したブレリオ
11機に搭載されたエンジンは星型3気筒(W3)エンジンでした。そのモデルを製作し
ました。(
RE-08参照)

航空機の実用化が本格化した1910年代(黎明期)には、次の3種類のエンジンが
使

用されました。
(A) 直列・水冷エンジン (RE-03参照)
(B) 星型ロータリー・空冷エンジン (RE-02及びRE-05参照)
(C) 星型・水冷エンジン (RE-04参照)

とくに(B), (C) は、100年以上も前の先人達の知恵が詰まった興味深い構造をして
います。
また(B) には、動弁機構、コネクティング・ロッドに異なる構造のものがあります。
その「特徴的事例」を 「こちら」にまとめましたので参照ください。


1927.5.21 チャールズ・リンドバーグが"スピリット・オブ・セントルイス号"により単
独大西洋横断飛行に成功しました。エンジンは星型・空冷・9気筒でした。(
RE-09
参照)

その後、材料(軽合金)、加工技術の進歩とともに
(A) は、V型配置等に進化しました。
(B),(C) は、一般的な星型・空冷エンジンに進化しました。(RE-01参照)
そして出力向上のため、シリンダは多列化されました。(RE-10参照)

航空用ピストン・エンジンには、茸型(ポペット)バルブ方式 (カム、タペット、プッシュ
ロッド、ロッカーアーム、バルブスプリング、バルブ)を用いるものが殆どですが、
1930〜1940年代に全く異なる
スリーブバルブ方式を持つエンジンが開発されたこと
を知りました。スリーブバルブの特徴は、吸気・排気バルブの形状・大きさ・数を理
想的に設計出来ることと、茸型バルブの打音解消と言われています。この特徴を活
かすべく世界各国の多くの会社が開発に挑戦したのですが、実用化までこぎ着け
たのは英国のB社のみだったようです。第二次大戦には間に合わなかったようです
が、朝鮮戦争まで使用されたようです。最近でもエアレースに参加していると知りま
した。このエンジンの歴史的背景等は下記の著書に詳しく記されています。(
RE-07
参照)
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「20世紀のエンジン史」(スリーブバルブと航空ディーゼルの興亡)
工学博士 鈴木 孝 著 2001.12.10 発行
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私も非常に興味を持ち、機能的モデルに挑戦してみました。製作してみて、もしジェ
ット化が遅れていれば、ピストン・エンジンの主役に躍り出ていたかもしれないと感
じました。


世界の名機と呼ばれる第二次大戦で活躍したスタイリッシュな戦闘機(スピットファ
イア、P-51ムスタング)には、V型・水冷・12気筒エンジンが使用されました。(
RE-
11
参照) V型にはこの正立型の他、BF109、飛燕に使用された倒立型(RE-12)が
存在します。

推進方式はプロペラが使用されます。
重量、燃料費、公害、寿命等の理由でジェツト・エンジンに代わりました。
ただし、小型機では現在でも、星型以外のピストン・エンジンが使われています。
メカニズムの勉強には興味深いエンジンです。

戦後、ジェット機が登場する間、DC-7、コンステレーション、P2V-7等大型機に、排
気エネルギー出力をタービンによって回収するターボコンパウンド・エンジンという
形式のエンジンが使用されました。 この形式では、カーチスライト R3350 エンジン
が有名で、数々の当時の最新機能が組み込まれていました。 その主要機能を説
明するための教材
(RE-13)として作成しました。

同時期に、C-124グローブマスター、B-50スーパーフォートレス、H-4スプルースク
ース等に、7気筒x4列=28気筒という最大排気量のエンジンが使用されました。そ
れはP&W R4360 エンジンでした。その特徴を説明するための教材(
RE-14)として
作成しました。














A ジェット・エンジン
(純ジェット、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフト)
この形式は現在の主流エンジンですが、多くの形式、方式があ
ります。
先に述べた羽根の形式により分類されます。
ジェット・エンジンの排気のみを利用・・・・・ 純ジェット
世界初のジェット推進による飛行は、1939年8月27日、オハイン博士による
「HeS3B」エンジンを搭載した「He178」にて達成されました。

TJE-05」はそのイメージモデルです。
ホイットル卿の「W1」エンジンを搭載した「E28/39」は、1941年5月15日に初
飛行しました。

TJE-06」はそのイメージモデルです。
ホイットル卿は、オハイン博士と共に「ジェット・エンジン開拓者」と呼ばれ、
その後のジェット機の発展に多大の貢献をしました。

両エンジンの比較は「特集C」を参照ください。

日本最初の国産ジェット・エンジンは、終戦直前(1945年夏)に製造されまし
たが実用化前に不幸にして終了しました。
「TJE-03」はそのイメージモデル
です。ドイツのエンジンを参考にして製作されたようです。

終戦後、初めての国産ジェット・エンジンは、共同出資会社「日本ジェットエ
ンジン株式会社(NJE)」が開発したものです。「
TJE-04」はそのイメージモデ
ルです。蒸発管式燃焼器が特徴的です。


1940〜50年代に誕生した第一世代のジェット・エンジンには、遠心式圧縮
機が用いられました。中には両側吸込式のものがあり、半世紀にわたりジェ
ット練習機に使用されました。[TJE-02]はそのイメージモデルです。

その後は、軸流圧縮機が主流となりました。一部の戦闘機に現存します。
[TJE-01]はコンプレッサとタービンが1本の軸で結合され次のようによばれ
ます。
1970年代にマッハ3を超える世界最速実用機が誕生します。それはジェッ
ト・エンジンとラムジェットを組合わせて達成されました。

詳細は「TJE-07INLET」「TJE-07」を参照ください。
   -(1軸 (スプール) エンジン)







ファン (エンジン・ケース内)を回す・・・・・ ターボファン
これは現在の旅客機、ビジネス機に使用される主流エンジンで、最新の戦
闘機にも使用されています。用途が広いため、様々な形式、方式、種類が
あります。
ジェットエンジンの効率化と騒音対策等を含めて吸入空気をエンジン内部(コ
ア)とエンジン外部(ファン)に分け排出部で混合させる型式のターボアァン・
エンジンが開発されました。これによりジェット旅客機時代が急速に発展す
ることとなります。





ファンとコア空気量の比率をバイパス比といいます。
第一世代(1960年代)はバイパス比は1: 1程度でした。(TFE-05)(TFE-06)

その後さらなる効率化を求めてバイパス比は大きくなり現在旅客機に使用さ
れているエンジンのバイパスは4: 1以上となっています。
(TFE-01)は中型旅客機用で (TFE-01-1)は大型用です。
最近では10:1近いエンジンもあります。
  (2軸(スプール)エンジン) (TFE-05,TFE-01,TFE-01-1参照)
     主軸受(ベアリング)構成については (JEC-15参照)

さらにコンプレッサの駆動を2軸に分割したエンジンもあります。
このタイプでは、バイパス比が11: 1のエンジンもあります。
     − (3軸(スプール)エンジン)  (TFE-02参照)

最近ではファンとタービン軸の間に減速歯車を取付け、ファンとタービンを
それぞれ効率的な回転数を得るエンジンもあります。
このタイプでは、バイパス比が12: 1のエンジンもあります。
- (ギアード式ターボファン(GTF)) (TFE-03参照)
このエンジンの特徴であるLPタービンとファンの回転差を目視できるように
モーター駆動の大きいモデル(10 インチ・ファン)を再設計製作しました。 
(TFE-03-1参照)



現用の旅客機用ターボファンについて、ファン
径を基準に画像処理して、各型式の特徴・相
違点を読み取れる画像を追加しました。参考
にしてください。

第一世代のターボファン・エンジン及びビジネス機用の小型エンジンはファ
ン・エア・ダクトが後部まで延長されているものがあります。
- (フル・ダクト・ターボファン) (TFE-04,TFE-05,TFE-06参照)
プロペラを回す・・・・・ ターボプロップ
速度、騒音等の理由で、民間大型機には使われなくなりましたが、軍用輸
送機には、現在でも使用されています。ビジネス機には現在でも多数使用
されています。

「直結式」と「フリータービン式」があります。
タービン、コンプレッサとプロペラが機械的につながっているエンジンを「
結式
」といいます。(TPE-01,TPE-02参照)
その内、減速器を分離した型式があります。4000馬力を超える軍用輸送
機に現在でも使用されています。(
TPE-06参照)




プロペラ駆動用タービンを独立させたエンジンを「フリータービン式」といいま
す。 (
TPE-03参照)
ビジネス機には両型式が使用されます。

未来型エンジン
ターボプロップ・エンジンの燃費の良さを生かしながら、速度をターボファン
・エンジン並みに上げる研究が始まっています。
プロペラに後退角をもたせ、二重反転させる方式で、プロップファン、
オープン・ローター、アンダクテッド・ファン、ウルトラ・ハイ・バイパス・
エンジンと呼ばれています。 
その駆動方法として「タービン式(TPE-04)」と「遊星歯車式(TPE-05)」があ
ります。

「遊星歯車式」のプロップファン構造一例は「JEC-16」を
「タービン式」のプロップファン構造一例は「JEC-17」を参照ください。
これらのエンジンには課題が多く実用化にはまだ時間が掛かるようです。
モデル製作を通じての感じた課題は・・・
 ・プロップファンの形状・材質  
 ・10+枚ファン用ピッチ変更機構・・・フェザー←→リバースが必須
 ・高出力減速歯車機構
 ・二重反転ファンによる騒音軽減・・・・等
持続的世界を目指している現在、私が希望する未来型旅客機エンジンのモ
デルを製作しました。「
JPE-07
上記の一連のモデルを整理しました。「特集E




ローターを回す・・・・・ ターボシャフト
エンジンとしては回転出力を目的としていますが、ギアボックス経由
ローターを回すために主にヘリコプターに使用されます。
右のモデルはコンプレッサ、タービン共ラジアル式で「TSE-01」が回転モデ
ルで「TSE-01-1」がそのカットモデルです。
その他、軸流式、フリータービン式のエンジンもあります。
TSE-02」は、フリータービン式の例です。

ヘリコプターでは、異物や塵埃の吸入を避けるための装置が必要です。 
それらはヘリコプター構造の一部として設置されますが、まれにエンジン構
造の一部としてターボシャフトエンジンに組み込まれます。 これは「統合イ
ンレット・パーティクル・セパレータ(IPS)」と呼ばれ、複雑な構造を持ってい
ます。 「TSE-02」は、それをモデル化したものです。

1960年代から今日まで世界中の多くの小型ヘリコプタに使用され続けてい
る画期的なエンジンがあります。その理由は、高性能に加え、モジュール及
び逆流構造による高い整備性と機体への装着自由度にあると思います。実
際に45度上向きに装着したヘリコプタがあります。

TSE-03」は、それをモデル化したものです。

ローターを回す以外に航空機の発電機、コンプレッサーを回す目的のみに
使用されるエンジンもあります。これは補助動力装置(APU)と呼ばれます。
この装置は大型機に主に搭載され、地上電源車を必要としません。





・他産業への転用
航空エンジンの高性能、軽量、短起動等の特徴を生かし、
基本ジェット・エンジン (ガス・ゼネレータ又はコア) 部を利用し、
前述のターボプロップ、ターボファン・エンジン用に限らず、
ターボシャフト・エンジンとして、産業用エンジンに転用されています。
[例] 
高速船(ジェットフォイル、巡視船)、 非常用発電機