@ 空気 - 空気には配慮すべき性質があります。 それは音速で衝撃波を発生することで、機体は飛行速度により それを避けることが出来ますが、エンジンには、プロペラ、ファ ン、コンプレッサ/タービン・ブレードといった回転する羽根が あります。 そこで衝撃波の発生を遅らせるため、翼全体及び断面形状等 の研究が日々行われています。 標準状態に於ける音速に達する回転体直径と回転数の関係を 右のグラフにまとめましたので参照ください。 |
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音速により流路ダクト形状と空気/ガスの状態が逆転します。(表参照) この変化を考慮しエンジン・インレット、コンプレッサ・ディフューザー及び排気ダクトが設計されます。 |
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また圧縮すると温度が上がります。 特に軸流コンプレッサでは、機体の主翼と同じく羽根の迎え角を大きくすると剥離(乱れ)を生じます。 この現象の対策として、コンプレッサでは抽気及び/又は可変ベーン機構が採用されます。 |
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A 燃料 - 今後「地球温暖化」対策として、新しい燃料の開発及び実用化への努力が始まっています。 |
B 回転対策 エンジンはアイドル状態から最高出力まで、大気条件により燃料を調節しながら回転数が変化します。
回転体は多くの部品の結合から成り立っており、振動対策が重要になります。 剛性が高く、遠心力や熱膨張に対して回転軸がずれない構造が採用されます。 その代表例を基本構成要素として紹介しています。 軸受(ベアリング)、 カービック(R)カップリング、 インボリュート・スプライン
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C 温度対策 エンジンでは燃料と空気を混合して燃焼させるのですが、完全燃焼すると温度が2000℃にも達するので すべての金属は溶けてしまいます。エンジン種類毎の高温対策を表にまとめました。 |
D 整備 (LCF, EHM方式) 航空機及びエンジンは、一般民生製品に比較し、大幅に軽量化が図られている上、圧倒的に永く使用されます。そのため整備が重要になって来ます。
飛行場で行われる飛行毎点検、格納庫での定時点検、専門工場で行われる分解整備等があります。 それらは、ピストン・エンジン、自家用ジェット・エンジンは「使用時間」を基に管理されます。 エアライン等で使用されるジェット・エンジンは「使用時間」の他に「サイクル」を基に管理されます。 「サイクル」とは、始動から停止までを、1サイクルとしてカウントします。 その理由は、常温から高出力温度まで大幅な温度変化の繰り返しが、避けがたい金属疲労を発生させるからです。これを「低サイクル疲労 (Low Cycle Fatigue: LCF)」といい、特にタービン・ディスクが大きく影響を受けます。それらに対しては「サイクル制限」が設定され、そのサイクルに達する前に交換されます。 以前は、「オーバーホール」という方式が採用されていましたが、モニタリング等整備技術の進歩に伴い、エアライン毎、エンジン毎、部位毎に実績を反映した整備方式が採用されることになっています。これを「エンジン・ヘビー・メンテナンス(EHM方式)」といいます。 |