本当のYAMAの家

家にはやっぱり自分のこだわりを盛り込みたい。また、自分らの生活スタイルに家を合わせたらどんなにか生活し易くなるでしょう。
YAMAの家の設計を進めていく中での主な考え方、こだわった点、また、そのこだわりがどれだけ現実の物となったのかについて語ります。


基本コンセプト

自宅を建てるにあたっては、コンセプトを持って統一した意識でもって計画を進めていきたいと考えていました。
YAMAの家で考えたコンセプトとは、和洋・新旧にとらわれない個性的でシンプルな家です。
基本的には日本の伝統工法である木造軸組工法で、壁は漆喰を使用したものです。これをベースに私達の色を出したいと考えました。
木造の場合、使用する木材が大切となります。受け売りではあるのですが、使用する木材はその土地の木材を使うのが良い!!
壁に使う漆喰においても、高知県には全国的にも有名で優れた特性を持つ土佐漆喰があるので、昔からある地元の良い物を使わない手はありません。


希望

YAMAの家のコンセプトに基づき、希望として多数挙げ文書にして設計依頼先にお願いしました。大まかには次のような事です。
  1.木と漆喰で造る家。
  2.土間を設ける。
  3.吹き抜け空間を設ける。
  4.あまり仕切りを設けない。
  5.対面キッチンとし、カウンターを設ける。
  6.洗濯機をキッチンに置き、その周囲に作業ができる収納と兼用の台を設ける。
  7.洗面台は大きめの物を作りつけする。
  8.薪ストーブ、もしくは囲炉裏を設置する。
  9.丸窓とガラスブロックを意匠的に設置する。
 10.トップライトを設置する。
 11.ガレージを設置し、リビングから車を眺められるようにする。
 12.ロフトを設ける。


希望はどこまで現実の物となるか?!

いろいろと希望を出したわけですが、その希望は予算を無視して言いたいだけ言ってます。(笑)
設計を進めるに当たり現実に直面するわけです。そこで、希望の中でもこだわるとこ、切り捨てるとこなどが出てきます。
さあ、どんな風になったのでしょうか。

1.木と漆喰で造る家。
木造となりました。もちろん依頼先にそういう所を選択しました。さらに、高知県は馬路村産の木材を使用します。柱などはもちろんですが、フローリングにいおいても無垢の木材になり、まったり木の家です。
壁に至っては、私どもの予算では本格的な漆喰を用いた家というのはできませんでした。(自分が左官でもしていれば別の話だったかもしれませんが..。)また、外回りも羽目板を用いたものにあこがれていたのですが、これも予算的に無理ということが分かりました。
薄塗り漆喰の壁に手形をいれました そこで、一般的なプラスターボード(内壁)やサインディング(外壁)などを用いた壁になるのですが、その雰囲気は残したいということで、内壁に関しては薄塗り漆喰(商品名:タナクリーム)という物を用いることにしました。(設計依頼先の取り扱い商品)
これは、プラスターボードなどに下処理をして、その上にさらっと塗るタイプの漆喰です。通常の漆喰と違って、施行が簡単で短期間に終了します。よってコストダウンになる訳です。
この漆喰には表情が出ると考えてスサを入れました。
また、薄塗り漆喰だけでなく、一部は和紙を貼るということにしました。一応これは最近の流れにはなってます。この和紙についても漆喰と同様にスサ入りの物を選択して雰囲気を統一しています。
漆喰については施行が簡単だという事で、コストダウンと今後の事を考えて、自分達で塗ってみました。通常の1.5倍の量を使いながらも自分達で塗った壁はいろんな表情が出ています。また、話のネタになりますし良い経験になりました。
外壁については、どのようにもしようがなく、結局通常の吹き付けになりました。
吹き付け塗装の質感から極力土壁風の色とか吹き付け具合にしたいと考えました。また、ある程度の大きさのボードを貼っていくので継ぎ目が出てくるのですが、それが土壁風をスポイルすると考え、大壁工法(目地にパテを入れ継ぎ目を目立ちにくくする工法。)を施行することにしました。
この中で特に悩んだのが色です。より土らしい色をと何度もサンプルを作っていただいてできたのがこの色です。
それから大壁工法については、少しは継ぎ目が出てしまう形となりました。これは構造上仕方の無い事ですが、無理にすればそれなりにできない事もないようです。(塗装が割れると言われ止めました。)

2.土間を設ける。
玄関ドアを開けると、幅1.6m、奥行き3.8m程度の土間になります。流石に土ではなくてモルタル砂利洗い出しの土間になりますが、一応土間として機能します。土間については細かなこだわりがあったりしたのですが、細かい部分は捨てました。

3.吹き抜け空間を設ける。
頭上に広がる大空間 土間からそのままリビングへと上がるようになっています。その頭上8畳分位を5m〜6mの吹き抜けとしました。これでかなりの空間的な広がりが生まれました。気持ち良いです。冷暖房に不安が残りますが..。

4.あまり仕切りを設けない。
2階子供部屋からフリースペースまでの見通し 子供部屋ロフトから1階が見えます
2階建てになるのですが、きちんと仕切った部屋とした場合、1階2部屋、2階2部屋になります。これ以外にトイレ、洗面所、バスがあることになります。
ですがYAMAの家では2階は仕切ってません。吹き抜けともつながってますので、1部屋というのも微妙です。
実際に部屋として仕切る事ができるのは1階の和室1部屋だけになります。
さらに冷暖房に不安が残ります。(壁やドアの減少によって建築コストの削減にはなりますが。)

5.対面キッチンとし、カウンターを設ける。
設計ができあがって自分達も実寸で確認してみてびっくりしたのですが、2.7m〜2.8m位のカウンターを設ける事になりました。もちろん対面キッチンとなります。
カウンターの高さが1mあるので椅子に困りました。カタログを見てもお店用の物とかで仰々しかったり価格が高かったりで困っていたところ、偶然丁度良いスツールを発見し購入することができました。

6.洗濯機をキッチンに置き、その周囲に作業ができる収納と兼用の台を設ける。
造り付けの棚 最近の流れというか、基本的には使い勝手を考えての事ですが、ドラム式洗濯機をキッチンに設置し、一種組み込みのような感じになるように、造りつけの収納棚兼作業棚を設けました。
一部収納にメタルラックを使用する事にしましたが、YAMA.Sの希望を十分に反映したものになりました。

7.洗面台は大きめの物を造りつけする。
YAMA.Sのこだわりの1つです。メーカーの物の中に気に入る物はあったのですが、値段が高い為にそれは断念せざるおえませんでした。
そこで、洗面ボールを決めそのボールに合わせて台を造りつけしてもらうようにしました。
問題は洗面ボールだったのですが、YAMA.Sの希望する物がなかなか見つからずどうしようかと思っていたところ、カタログのマイナーな部分で偶然発見しました。
実験流しという仰々しい名前が付いてますが、ようは大きくて(65cm×45cm)四角くて深めのボールで、しかも値段が安いという物でした。見てくれは無骨なのですが、造りつけの台に上手く組み込んで良い洗面台ができました。

8.薪ストーブ、もしくは囲炉裏を設置する。
囲炉裏 当初、リビングに薪ストーブ、和室に囲炉裏を設置したいと考えていました。
ですが、薪ストーブは煙突のメンテナンスが大変だと思われる、値段が高いなどの理由で導入を断念し、囲炉裏だけを設置する事にしました。
ただ、当初考えていた和室に設置するのではなく、リビングの真中に設置し、蓋を設ける事にしてフルフラットな床としても使えるようにしました。

9.丸窓とガラスブロックを意匠的に設置する。
頭上に広がる大空間 1箇所は丸窓を設けたい、ガラスブロックを上手く設置してちょっと変わった外観を実現したいというYAMA.Sの希望です。
まず、丸窓は色々とあるのですが通常のサッシの丸窓は今一つ気に入りません。そこで探していたところ、船舶用の丸窓で網戸付きの物があったのでそれにする事にしました。
これは設置してみると、室内ならはっきりと船舶用と分かるのですが、外からはただの丸い穴が開いているだけのような感じになりました。
次にガラスブロックですが、壁の部分、部分にちょこっと設置したいという希望です。
通常のガラスブロックだけだと木造の場合施行が大変な事になるので、スクリットパネルという、アルミサッシにガラスブロックをはめ込んだタイプの物があるということでそれを設置しました。

10.トップライトを設置する。
キッチントップライト 設計段階で、場所を検討した結果、北側になるキッチンに設置する事にしました。
明るさを確保すると同時に、作業台付近でふと見上げれば、空を観ることができるという位置に設置しました。
これは気持ち良さ、明るさの面から非常に良かったと思います。

11.ガレージを設置し、リビングから車を眺められるようにする。
土地の形状上、リビングから眺める位置への設置は無理となりました。予算的にも厳しかったので諦めています。(別途考えてはいますが。)

12.ロフトを設ける。
子供部屋からロフトを ロフトには
YAMA.Rが希望したのですが、なにかと重宝しそうなので設置する事にしました。狭い(2畳程度)ですけど。

以上この様な感じです。


他にこだわりは無いの?

こんな窓を設置しました 設計を進める中で当初予定してなかった事も希望に出てきたりします。それがYAMAの家の場合は”窓”でした。
窓はトップライトや丸窓、ガラスブロックなどですでにこだわりの片鱗が見えるのですが、さらに力を入れたのはリビングの南側に設置される事になる窓です。
最初に出て来た図面だと一般的な引き違い窓でした。これでもいいんでしょうけど、なんだか芸がありません。
そこで、いろいろと考えた結果、1階には折れ戸を設置、吹き抜け部分となる2階にはFIX窓7枚とジャロジー窓2枚の計9枚を組み合わせた、1階窓と同じ横幅の窓を設置することにしました。
これによって、光を取り込め、外空間とつながりを持てるようになると考えました。(夏場は暑くなると思われます。)
ウッドデッキも折れ戸の外側に設置しましたので、土間があるとはいえ、折れ戸を開け放つとウッドデッキもリビングに早代わりです。

トイレは緑色で 和室ふすまも緑色で
次に色です。HPを見ていただくと分かると思いますが、YAMAの家では、緑色が好きなもので、緑色をアクセントに使用しようと考えました。浴槽、洗面ボール、便器等々。
その他にもトイレや洗面所の戸、ふすまの和室内側、畳の縁などを緑色にしました。どれも微妙に色が違うのですが、特に和室のふすま内側の緑色は綺麗な色になっていると思います。

システムキッチン そしてシステムキッチンです。設計業者から提示された物があるのですが、開き戸だったり予算的に食器洗浄機が付けられなかったりでなんとかならないかと考えていました。 そうした所、偶然買い物に行った先で見つけたのが今回導入したシステムキッチンです。
YAMA.Sには以前から業務用のステンレスの物が良いという思いがありました。ですが業務用の物は価格が高いのでとても購入する事は無理です。それがこのシステムキッチンは、ステンレス貼りでも一般家屋向けの物で、なおかつ引き出しになった使い勝手の良さそうな物でした。さらに、そこのお店ではこのシステムキッチンを大変安く販売しており、当初無理かと思われた問題があったのですが、粘った結果なんとかクリアでき、食器洗浄機まで付けて予算から少しだけオーバーな価格で導入ができました。
木の家にどうかと思われるかもしれませんが、これがどうして.. かなり綺麗です。


ちょっとした異変

皆さんの中には電化住宅ってあまり好きじゃないという方がいると思います。現にYAMAの家でもそうでした。やっぱり料理などは火でやらないとちょっと、とか、停電になったら困るって思っていた訳です。
が、キッチンで火を使用するとなると、天井を貼る必要があるという事を設計業者から言われました。
そうなんです、現状は2階の床がそのまま天井になってて柱や梁が剥き出しなんですね。これが火を使用するに当たって引っ掛かるらしいのです。
ここでどうするかと考えた時に、現状の雰囲気を壊すのは嫌だという事になり、仕方無く電化の方向に進む事になりました。
そんな事で、電気料金の事も考えて、ここはオール電化にしてしまえという事で、電気温水器、IHコンロの導入を決めました。
まあ、この事によるメリット・デメリット色々とあるでしょうけど、それは専門で見ていただくとして、生活にどれだけの影響が出てくるのかという事を今後見ていく必要があります。


別途考えたガレージ

もともとビルトインで考えていたガレージですが、種々の面でそれができないことになりました。それでもガレージは欲しいということで、ネットで検索した結果選択したのがキットガレージを購入しセルフビルドすることでした。
これを選択したことの一番大きな理由はやはり費用です。そして、木製であること、自分で建ててみたかったことなども主要な理由になります。
セルフビルドと言いながら、基礎は業者というか、近所でこの関係の仕事を個人でしている方に依頼しました。
実際に建てている間のことはicon 家日記2005年9月からを参照していただき、しんどかったのはありましたが、なかなか面白かったと思います。