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コラム -職場のトラブル・職場のお悩み解決します-

パート等を簡単に辞めさせられる?  (H26.10.12更新)



パートや契約社員等に対する不当・違法な雇止めは、以前から問題になっています。

それは、
「有期契約なんだから、雇止め、つまり、契約を更新しなくても、何の問題も無いのだ。」 
という勘違いからくるものです。

確かに、契約の原則からすると、その期間が満了すれば、雇用契約関係は終わります。
しかし、場合によっては、雇止めではなく、解雇と同じように扱われる場合があるのです。


それは、どんな場合でしょう。

たとえば、こんなことをしていませんか?
・パート等に、社員と同じような仕事、つまり、臨時的ではなく、恒常的な仕事をさせている
・契約更新の際、契約書を交わしていない。
・契約書は交わしているが、「これからも長く働いてね」などと、契約が続くような期待を抱かせてい る。 (※現場の上司が、不用意に期待させている場合もある。)
・過去に、同じ立場のパート等を雇止めしたことがない(前例がない)

などのようなケースの場合、たとえ形は有期契約であっても、実質は無期契約と判断され、
無期契約になるのであれば、解雇の場合と同様、雇止めにも合理的な理由が求められます。

そして、その合理的な理由がなければ
雇止めは認められません。(東芝柳町工場事件 S49.7 最高裁)


以前から、雇止めに関するトラブルは多く、結論も個々に違うので一概には言えませんが、
簡単にまとめると、

パート等に、
・正社員と同じような仕事をさせ、
・何回も、何年も更新し、
・雇用の継続を期待させていると、  

雇止めに合理的な理由が必要となり、
それがないと、雇止めは認められなくなる、ということです。


ただ、日立メディコ事件(S61.12 最高裁)のように、
たとえ、仕事の内容が恒常的で、更新も多数回しているケースであっても、
雇止めの理由が経営状況の悪化である場合には、比較的容易に雇止めが認められる場合もあります。
こういうようなケースでは、正社員の整理解雇ほどは、厳格に判断されないようです。


いずれにしろ雇止めは、個々の事例によって判断が異なるので、
パートや契約社員等を雇っている企業は、要注意です。

雇止めは簡単にはできない、何らかのリスクが伴う、ということを踏まえ、

契約更新の手続きをきっちり行う、
労働者に雇用継続を期待させないような労務管理を日頃から行なっていく

ということが、重要になってきます。

イラスト:おちゃも

 

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