1・ケースや水温などの準備
オタマジャクシの飼育はかなり簡単な物となります。
1匹づつ個別に、100円均一などで販売している一番小さいプラケースに入れます。
水深はケースの7割程度あれば十分です。
水温は25度前後を保つようにし、冬季には水中サーモスタットや、外部からフィルムヒーターでの調整が必要です。(フィルムヒーターの使用はオーバーヒートになりやすいため、30度以上にならないよう細心の注意が必要です。少しづつ接触面積を増やして温度を調整してください) |
2・餌
1日最低2回、冷凍赤虫を解凍して与えます。少し残っているぐらいが理想的で、なくなったら補充するのが良いのですが、補充時にはお腹もいっぱいで、食いつきも悪く、慣れていない方では、水質の悪化に対処しきれず死なせてしまうケースもあります。
若干足りない感じにはなりますが、最初はブロックタイプのアカムシなら、朝、夕、1マスづつ与えてください。感覚がなんとなくつかめてきたら、就寝前にもう1マス使用すると成長が早くなります。この際に水質が悪ければ水換えしても問題ありませんが、特に悪化が見られない場合はそのまま使用して、翌朝水換えとなります。 |
3・水換え
目に見えて汚れたら即交換してください。かなり悪質な状況でも生きていますが、長く続けば当然状態を崩します。オタマが状態を崩した場合、即、死に繋がります。
常に汲み置きしておいたカルキ抜きの水を、ケースと同じ場所にペットボトルで用意しておくのが理想です。
あまりケースから離れた場所に水を置いておくと、温度差によりすぐに使用できません。
そこまで神経質にならずとも育ちますが、念には念を入れて準備いたします。
大体、夕方には朝食べた物が糞として排出されていますので、水換えします。
その後しばらくしてアカムシを投入して、1日が終わります。
朝方、水が極端に汚れていたら水換えしてください。 |
4・上陸
上記内容で育てれば、1週〜4週で上陸します。発生から上陸まで約1ヶ月なので、購入した時の固体によりかなりの差が出ます。当店では10日前後のオタマから販売しております。お客様の元では、最長でも20日程度が管理期間となります。
目に見えて丸い形が歪になってくると上陸間際です。体内で前足が形成されてくると菱形のようにゆがんできます。
この間に油断していると、知らない間に両足が揃っており、エラ呼吸から肺呼吸になるため、簡単に溺死します。
片方でも前足が飛び出したら、水を浅く張った環境に切り替えてしまうと事故を未然に防げます。この段階では水深が足りなくて死亡するケースには発展しません。
前足はほぼ同時に形成されており、皮膚を破るのに時間差が出ているのみとなります。
最初の内はかなり不安ですが、仕事で観察している時間がない、設備にあんましお金をかけたくない場合など、上記方法が安価で安全です。
当店では片方でも前足を確認できたら、上陸準備ケースに移してしまいます。
キチンと観察する余裕があるのなら、両方そろってから水張りに切り替えましょう。
片方、前足が出てしまえば、早い固体では目を離した隙にもう片方出ているなんて事もありえます。反面、1日たっても出せない固体もいます。この段階は慣れていないと、結構失敗率が高いので、不安な場合、大きめのケースで上陸用のスロープを作るなど、固体に上陸を任せてしまえば、まず失敗はしないと思います。(この際、観賞魚用の砂利などを使用して作成します。板などを使用すると、なにを思ったのか裏側に回りこみ返って来られない個体などがおり、溺死のトラブルとなります)
前足が出始めると基本的に餌は食べなくなります。
かなり固体差があり、両手がそろっても食いつく固体がいますが、水張り飼育にして、黒いクチバシが取れると、完全に断食期間となります。
この間はそっと観察し、皮膚更新などで水質が悪化したら交換する程度が日常の管理となります。
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5・上陸後
大体両手がそろってから1週間はなにも食べません。(尾がなくなる期間)
尻尾も完全になくなり、カエルになってから、さらに3日ほど餌は与えないようにします。
両手がそろってから尾がなくなるまで、大体7日〜10日ほどが断食の目安です。(あくまで目安なので固体によっては早かったり遅かったりがあります。オタマ期にしっかりと餌を食べていれば変態も早く、問題ない固体であれば1週間しないで食べ始める個体も多いです)
この間に無理に餌を与えると、頑固な拒食固体になる可能性が高いので、餌食いが悪そうなら、14日ほど断食させるのも問題ありません。(ただし、オタマ期の育成に問題がなく、健康な状態で変態に入った固体が前提です。嗜好性が合わずに拒食している固体を対象にした方法ですので、余分な断食期間を取る前に1週間目ぐらいからメダカ等の魚類を使って給餌してみましょう。ほとんどの固体は問題なく魚類に反応するはずです。また逆に考えると、上陸後1週間経っても魚類にさえ反応しない状況は、ほとんど末期と言えます。見た目が完全にカエルであれば、内臓を作り変える事ができずに餌を食べられない可能性が濃厚です。この状態(変態不全)を引き起こす多くの原因はオタマ期に餌が足りない事などで起こりえます)
特に問題なく、餌食いが良好であれば、変態成功となります。
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ツノガエル |
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