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外国人雇用
輸出許可・輸出管理
事業法人化

外国人雇用

 近年、各分野にて、特に若年層を中心に、将来的な労働力の不足が懸念されています。その対策として、外国人雇用への関心が高まっていますので、外国人の雇用をご検討中の皆様に、雇用の際の注意点等につき、簡単にご紹介させて頂きます。

在留外国人の雇用

 我が国に在留中の外国人は、保有する在留資格に応じた活動のみが認められています。その為、そもそも我が国での就労が一切認められていない在留資格もありますので、本邦に在留している外国人の全ての方が就労可能という訳ではありません。
 本邦に在留する外国人の雇用に際しては、先ずはその方が所持している在留資格が就労可能なものなのか、又、本来は就労が認められていない在留資格でも、別に「資格外活動許可」を得れば制限付きながらも就労が可能となりますので、その有無等をしっかりと確認する事が必要となります。これらの事項は、「旅券(パスポート)」「在留カード」の他、「就労資格証明書」によって確認する事が可能です。

●就労が可能な在留資格

「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「高度人材」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「技能実習」「特定活動※」の計19種類が該当します。(※「特定活動」は、活動内容が個別に指定される為、常に就労が可能とは限りませんのでご注意下さい。)
 この内、一般的に雇用の機会が多いと考えられるのが次の3種類になります。

「技術・人文知識・国際業務」 理学、工学その他の自然科学の分野、若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務に従事する活動、又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
(例:IT技術者、通訳、民間語学学校での語学指導、為替ディーラー等)
「企業内転勤」 企業が海外の本店又は支店から期間を定めて受け入れる社員
(※従事する業務の内容は「技術・人文知識・国際業務」に準じます。)
「技能」 産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務(※9種類)に従事する活動
(例:中華料理・フランス料理の調理師、ワインのソムリエ等)

●原則として就労が認められていない在留資格

「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」の計5種類が該当します。
 これらの在留資格での就労は認められていませんが、別に「資格外活動許可」が得られれば、原則1週28時間(※「留学」については、夏期休業等の長期休業期間中は1日8時間)までの就労が可能です。
 その際、就労内容については包括的に許可されるのが通例ですが、風俗営業等への就業は禁じる等、一定の制約も伴いますのでご注意下さい。

●就労活動に制限がない在留資格

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の計4種類が該当します。これら在留資格にて在留している外国人については、就労活動の内容についての制限はありません。
 その為、法律で外国人の就業が禁じられている場合など、個別の制約が存在していない限り、日本人同様に就労する事が可能です。

外国人労働者の招聘

海外から外国人労働者を招聘する場合、就労の前提として、先ずは無事に日本への入国を果たす必要がありますが、その際の手続の流れは、凡そ次の①~④の流れの様になります。

①当該外国人の本国に所在する日本の在外公館に「査証(ビザ:Visa)」の発給を申請
          ↓
②日本の在外公館から査証の発給を受ける
          ↓
③発給を受けた査証の他、旅券(パスポート)等の必要なものを携えて本邦へ来訪
          ↓
④上陸地の空港等で入国審査、在留資格の認定を受けて入国

 現在、多くの国との間で行われている、いわゆる「ビザなし入国」制度を利用すれば事前に査証を取得する事無く我が国への入国が可能となりますが、この制度の利用は、一般の方の場合、観光等を目的とする在留資格「短期滞在」での滞在を目的とする場合に限定されています。それ故、日本での就労を目的に入国する場合には、原則通り、先ずは日本の在外公館にて査証の発給を受ける必要がありますので、招聘までにかなりの時間を必要とする事になります。
 そこで、査証の申請に先立ち、予め「在留資格認定証明書」を取得して招聘予定の外国人に交付する事で、その後の入国の為の諸手続を、円滑且つ速やかに進める事が可能となるように取り計られています。

※「査証」は、日本への入国を希望する外国人が所持する旅券の有効性の確認と、査証交付に際して定められた条件での入国に支障が無い旨の推薦の意味で発給されるものと位置付けられています。又、「在留資格認定証明書」は、当該外国人の日本への入国目的が「出入国管理及び難民認定法(入管法)」所定の在留資格に該当している事を、法務大臣が認定した旨を証明するものとされています。その為、査証の発給や在留資格認定証明書の発行は日本への入国を保証するものではなく、最終的な入国の可否は、あくまでも上陸時に空港等で行われる入国審査により決定される事になります。その為、予めこれらを取得していても、審査の際に入国を拒否される事も十分あり得ますので、その点、十分にご注意下さい。


雇用の際の注意点

・採用・待遇

 募集の段階で外国人である事のみを理由に応募を拒否する事は、公平な採用選考の観点から適切な取り扱いではないとされていますので、国籍による就業制限が存在するなど、制約を設ける合理的な理由がない限りは避ける方が無難と言えます。
 又、労働基準法や健康保険法等の労働関係法令及び社会保険関係法令は、国籍を問わず全ての労働者に適用されます。その為、国籍を理由に労働条件面での取り扱いに差を設ける事も禁止されていますのでご注意下さい。

・外国人雇用状況届出

 すべての事業主の方には、外国人労働者(※特別永住者及び「外交」並びに「公用」の在留資格にて滞在している者は対象外)の雇入れ又は離職の際、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等を確認し、公共職業安定所(ハローワーク)を通じて厚生労働大臣へ届出を行う事が義務付けられています。
 届出を怠ったり虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となりますのでご注意下さい。

・不法滞在者・不法入国者

 就労が認められていない在留資格で在留している外国人や、定められた在留期間を超えて在留(※いわゆる「オーバーステイ」)している外国人、或いは上陸許可を受けずに滞在している外国人の就労は、明確に禁じられています。
 その為、就労が禁じられている外国人を雇用した事業主、不法就労となる外国人の就労をあっせんした者等につきましても、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる場合がある事とされています。
 又、退去強制を免れさせる目的で、不法入国者又は不法上陸者をかくまう等の行為をした場合につきましても、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(※営利目的の場合は5年以下の懲役及び500万円以下の罰金)に処せられる場合があります。
 

「申請取次」制度

 入管法には、外国人が日本に入国する際の手続等、様々な手続が規定されていますが、入管法の諸手続は、申請人の同一性の確認及び申請意思を確認する必要性から、原則、申請人本人が行う事とされています。しかしながら、本人自らによる申請を徹底する事は、申請者に過剰な負担を強いる結果になりかねない等の弊害の発生が懸念される所でもあります。そこで、外国人の負担軽減や、企業や大学等における外国人受入れ手続の円滑な履行、そして手続を所管する行政当局側の事務処理の効率化・円滑化に資する事を目的に、入国制度に関する専門的な知見を有する者による手続への関与を認める為の方策として、「申請取次制度」が昭和62年から開始され、行政書士は平成元年から当該制度への関与が認められて今日に至っています。
 行政書士は、職務として外国人の入国手続についても書類作成を請負う事は可能とされていますが、更に「申請取次者」として外国人本人・代理人に代って手続を履行する為には、所定の研修を修了の上、出入国在留管理局に取次者として届出を行う事が必要とされている為、当該届出を行っている行政書士については、入管法が定める諸制度に関する一定水準の知見が担保される形となっています。
 近年の訪日外国人数の増加や外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、入管法が定める諸手続の履行が必要とされる機会が、今後、益々拡大して来る事が予想されます。外国人の在留に関する手続は、所定の書類を提出するだけで足りる様な性質のものもあれば、個別の事情によっては当局の判断が分かれてしまう様な性質のものも存在していますので、ご自身の手には余るとお感じの際には、入管制度に通暁する申請取次行政書士の利用を、是非、ご検討下さい。

【注意喚起】安易な難民申請は「危険」です!

・外国人の皆様へ

 日本はいわゆる「難民条約」を批准している為、我が国の難民認定制度にて難民との認定を受けられれば、難民として日本に滞在する事が可能とされています。しかしながら、日本において保護を受けられる難民は、難民条約にて定義されている「難民」を意味しており、具体的には「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」とされています。
 その為、上記の定義に当てはまらない外国人については難民申請が認められる可能性が皆無であるばかりか、申請に伴い必然的に国籍国による保護を拒否する意思を示す形となる事から、手続が継続している限り、国籍国からの保護も受け得ないという極めて不安定な地位に置かれる事になります。
 近年、専ら日本に在留し続ける事を目的とする難民申請の事例が少なからず存在するとの事ですが、法律に基づき定められている要件に該当しない申請は本人に何ら益する所が無いばかりか、むしろ害悪となる可能性すら存在していますので、妙な組織・団体等の影響を受けた安易な難民申請は決して行わない様、くれぐれもご注意下さい。

 To foreigners:

Since Japan has ratified the Refugee Convention, it is possible to receive protection as a refugee based on the Convention if it is recognized as a refugee under the refugee recognition system enforced in Japan.

However, in order to receive protection in Japan, it is necessary to meet the refugee definition defined in the Convention, so there is no possibility that a refugee application will be accepted for foreigners who do not meet this definition. In addition, the application will result in the intention of refusing protection from the country of nationality, so you will be placed in a position where you will not be able to receive protection from the country of nationality while the procedure continues.

It is said that there are quite a few cases of refugee applications whose main purpose is to continue staying in Japan, but applications that do not meet the requirements have no benefit, and may even be harmful to the applicant himself / herself. Please be careful not to get involved in a situation where you apply for refugee status based on careless thoughts.

輸出許可・輸出管理

 世界的な規模で、貨物や情報が活発に行き交う今日、取引された貨物や技術が、大量破壊兵器の開発や武器の製造といった目的に利用される事で、我が国及び国際社会の安定や安全が脅かされる事態が生じる危険性も、その分、益々増大している状況にあります。
 そこで、紛争国やテロリスト集団など、国際社会の平和と安定を乱す活動を行うことが懸念される者に、大量破壊兵器や武器の製造目的での利用が可能な貨物や技術が渡ることを防ぐ為、国際的な活動枠組(※国際輸出管理レジーム)が組織されており、我が国も、それらの活動枠組に参加すると共に、国内の法規制を整備・運用する事で、国際社会と協調して輸出管理を行っています。

輸出許可制度の概要

 我が国の輸出許可制度は、「外国為替及び外国貿易法(※「外為法」)」に基づき実施されており、具体的な規制枠組は、大きく分けて、以下の4類型に整理する事が出来ます。

1.リスト規制

 大量破壊兵器や通常兵器の開発などに用いられるおそれが高い貨物や技術を規制する為の枠組で、輸出しようとする貨物が、輸出貿易管理令(※「輸出令」)別表第1の1~15項で規定された貨物に該当する場合 又は、提供しようとする技術が、外国為替令(※「外為令」)別表1~15項に該当する場合、原則、経済産業大臣の許可が必要となります。

●輸出令別表第1の各項で規制されている品目の概要は以下の通りです。
1項 武器類 2項 原子力関連 3項 生物化学兵器類 4項 ミサイル類 5項 先端材料
6項 材料加工 7項 電子部品類 8項 コンピュータ類 9項 通信機器類 10項 センサー類
11項 航法装置類 12項 海洋関連 13項 推進装置類 14項 その他 15項 機微品目

※外為令別表の各項では、輸出令別表第1の各項で規制されている貨物に関連する技術が、それぞれ規制される形になります。
 例:外為令別表の第1項の規定は、以下の様な文言となっています。
 「輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の設計、製造又は使用に係る技術」

2.補完的輸出規制(キャッチオール規制)

 「リスト規制」による規制の対象とはされていない貨物や技術についても、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに利用される場合がある事から、そのような目的で利用される事を阻止するべく、規制を行う為の制度枠組です。
 具体的には、関税定率法別表第25類から第40類、同第54類から第59類、同第63類、同第68類から第93類、第95類に該当する貨物、及びこれらの貨物に関連する技術を対象に、貨物の輸出者や技術の提供者が、これらの貨物や技術が大量破壊兵器や通常兵器の開発、製造などの目的に利用されるおそれがある事を知った場合、又は、経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知(※インフォーム通知)があった場合、経済産業大臣の許可が必要となります。
 尚、対象国が輸出令別表第3に掲げられている地域(※いわゆる「ホワイト国」)の場合については、一律、規制の対象外になります。

※輸出令別表第3に掲げられている地域(令和5年6月現在)

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国、大韓民国

●貨物令別表第1の16項にて規制される、関税定率法別表にて定められた対象品目の概要は以下の通りです。
第25~27類 鉱物性生産品 第28~38類 化学工業製品 第39~40類 プラスチック・ゴム製品 第54~59類
第63類
繊維製品
第68~70類 石材・陶磁・ガラス製品 第71類 宝石・貴金属・装飾品 第72~76類
第78~83類
卑金属製品 第84~85類 機械類・電気機器類
第86~89類 車両・輸送用機器類 第90~92類 光学・精密機器類 第93類 武器・銃砲弾類 第95類 玩具・遊戯用具・運動用具類

 「リスト規制」の場合と同様、外為令別表第16項でも、貨物令別表第1の16項にて規定されている貨物に関連した技術が規制される形となりますが、「専ら」の文言を付すことで、対象は規制対象貨物に固有の技術の範囲に限定されています。しかしながら、キャッチオール規制の対象品目については、事実上、食品と木材以外は全て対象であるとも言われている為、技術の規制範囲も広範に及ぶので注意が必要です。

3.仲介貿易・技術取引規制

 外国相互間での貨物や技術の移転を伴う売買や賃貸借、贈与等の行為につき、我が国の商社などが関与する場合、予め経済産業大臣の許可が必要とする規制枠組です。
 輸出令別表第1の1の項に該当する貨物に関する外国相互間での売買、貸借、贈与等を行う場合、又は外為令別表の第1の項に該当する技術の仲介行為を行う場合については、経済産業大臣の許可が必要とされていますが、一方、輸出令別表第1の2の項~16の項に該当する貨物に関する外国相互間の売買、貸借、贈与等を行うとき、又は外為令別表の2の項~16の項に該当する技術の仲介行為を行う場合については、貨物の輸出又は技術の移転が輸出令別表第3に掲げる地域以外の地域間で行われ、且つ、大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある事を知った場合、又は経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けた場合、経済産業大臣の許可が必要となります。

4.積替規制

 海外から我が国に運ばれ、港や空港の保税地域で保管する為に積卸された「仮陸揚げ貨物」を、再び海外へ向けて再輸出する際に適用される規制枠組です。
 再輸出される貨物が、輸出令別表第1の1の項に該当する貨物の場合、全ての国・地域向けの再輸出につき経済産業大臣の許可が必要とされる一方、輸出令別表第1の2の項~16の項に該当する貨物については、仕向地が輸出令別表第3に掲げる地域以外で、且つ当該貨物が大量破壊兵器等の開発等のために用いられる事を知った場合、又は、経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けた場合、経済産業大臣の許可が必要となります。

貨物の「輸出」・技術の「提供」とは?

・貨物の「輸出」

 貨物の「輸出」という言葉が持つ一般的なイメージでは、製品を詰めたコンテナを、大きな船に載せて海外に発送する様子などを思い浮かべる方も多いかと思われますが、実の所、外為法で規制される「輸出」には、特に何かしらの限定が付されている訳ではない為、凡そ我が国から「貨物」を海外に持ち出す全ての場合が、外為法の規制が及ぶ「輸出」に当たると解されています。その為、例えば、オークションサイトに出品した商品を海外の落札者に発送する場合や、海外旅行の際に自身の手荷物として持ち出す場合も、外為法上の「輸出」に該当する事になりますので、許可が必要な貨物につき、許可を得ずにこれらの行為を行えば、行政制裁や刑事訴追などを受ける可能性が否定出来ない事になります。
 実際の所、広く市販されている汎用品については、仕様の面などから規制の対象から外れている場合が殆どですので、個人の日常生活レベルであれば余り神経質になる必要は無い事にもなりますが、反面、少し特殊な貨物を扱う場合には十分ご注意下さい。

・技術の「提供」

 外為法は、技術の「提供」については、技術を提供する事を目的とする「取引」について許可を得なければならない、という形で規制を行なっています。ここでいう「取引」は、当事者間で技術を受け渡す事についての合意が成立していれば足りるとされている為、例えば何らかの対価を得て技術提供を行う場合は元より、大学などでの教育活動の一環として無償で提供がなされる様な場合も「取引」に該当するとされています。
 一方、例えば既に公知となっている技術については許可が不要とされている等、そもそも許可が不要とされている場合も存在していますので、全ての方が常に注意を払う必要があるという訳ではありませんが、それでも全体としては規制が及んでいる事には変わりがない為、例えば顧客へのサービスの一環として提供した情報が、実は許可を必要とするものだった、という事態が生じる可能性も十分あり得ますので、特に最先端の技術や製品を扱う事業者の皆様などはご注意下さい。

輸出管理

・該非判定

 我が国の輸出管理制度は、厳格な管理が必要な貨物や技術については「リスト規制」という形で管理を行う一方、それ以外については「キャッチオール規制」により管理を行う、というのが大まかな枠組みになっています。「リスト規制」に該当する場合、原則、輸出許可が必要となるのに対し、「キャッチオール規制」では、例えば輸出令別表第3に掲げられている、いわゆる「ホワイト国」が対象の場合には、一律、規制の対象外とされている等、比較的穏やかな規制が行われている事からも明らかな通り、輸出管理においては、先ずは対象となる貨物や技術が、「リスト規制」の対象とされているか否かを確認する作業である、「該非判定」を確実に行う事が重要です。

・輸出者等の責務

 貨物の輸出や技術の提供を、業として行う「輸出者等」については、経済産業大臣が定める「輸出者等遵守基準」により、適切な輸出管理を実施するための体制整備が求められています。遵守すべき事項は、当該輸出者等の扱う貨物等により異なりますが、下記の2つの事項については、全ての輸出者等が遵守する事が必要です。尚、「業として行う」とは、「一定の目的をもって反復継続して当該活動を行うこと」の意であるとされていますので、営利を目的としているか否かには関わり無く、例えば教育目的での技術指導などの場合も含まれる事になります。

  • 該非判定に関する責任者を選任すること。(※個人の場合、「選任」は不要ですが、該非の確認が必要です。)
  • 輸出関連業務の従事者に、関係法令を遵守させるために必要な指導を行うこと。個人の場合は必要な情報収集を行うこと。

 貨物の輸出や技術の提供に際し、許可が必要か否かの判断は、当該輸出や提供を行う者の判断に委ねられていますが、許可が必要である事を見落として無許可のまま輸出をした場合でも、それを理由に責任を免れる事はありません。無許可で輸出等を行った場合、最大で「10年以下の懲役」か「3000万円以下(※目的物の価額がこれを超える場合は当該価額の5倍以下)の罰金」(※併科あり)が、法人については最大で「10億円以下(※目的物の価額がこれを超える場合は当該価額の5倍以下)の罰金」が、それぞれ科される可能性がありますので、十分ご注意下さい。

●過去に明らかとなった重大違反事案の例

事案の概要 結果
国土交通省が廃棄処分とした軍事転用可能な赤外線カメラが、処分を請負った下請会社を通じて流出の後、インターネットのオークションサイトに出品されていた事案。日本在住の中国人留学生が落札後、中国の軍事関連企業に勤務する人物に転売し、成田空港から航空貨物として中国に持ち出された事までは判明したが、その後の所在は不明。 平成30年1月
・罰金100万円の略式命令
平成30年4月
・3ヵ月間輸出全面禁止の行政処分
兵庫県に所在する繊維貿易会社が、大量破壊兵器製造に転用可能な炭素繊維を、韓国に迂回輸出の後、中国へ無許可輸出を行ったとされた事案。警察の取調べに対し、会社の代表者は、炭素繊維は韓国に輸出されるものと認識しており、中国への輸出については把握していなかった旨を供述していたが、最終的には中国への無許可輸出の責任を問われる形となった。 平成27年6月
・罰金100万円の略式命令
平成28年1月
・4ヵ月間輸出全面禁止の行政処分
熊本県に所在する貿易会社が、北朝鮮政府の関係者とみられる人物から発注された中古のパワーショベルを、中国経由で北朝鮮に輸出しようとした所、税関から輸出許可が必要である旨の指摘を受けた為、更に福岡県所在の貿易会社名義で、許可不要の貨物であると偽って中国に輸出したとされた事案。その後、実際に貨物が北朝鮮に渡ったかは不明。 平成23年3月
・懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)、法人に罰金120万円の刑事判決
平成23年7月
・1年1ヶ月間輸出全面禁止の行政処分
ミサイル開発に転用可能な、磁気測定装置の入手を北朝鮮から指示された、神奈川県所在の貿易会社の経営者(北朝鮮籍)が、日本のメーカーと共謀して、横浜港からミャンマーに輸出しようとしたが、経済産業省からキャッチオール規制に基づく「インフォーム通知」を受けた為、目的を達する事が出来なかった。その為、許可を得ないまま、同装置をマレーシア経由でミャンマーに輸出しようとした事から、無許可輸出未遂の罪で逮捕された事案。捜査の結果、同社は過去にも磁気測定装置を北朝鮮に送り出していた事実も明らかになった。 平成21年11月
・懲役2年(執行猶予4年)、法人に罰金600万円の刑事判決
平成22年6月
・7ヶ月間輸出全面禁止の行政処分
広島県に所在する工作機器メーカーが、自動車の部品製造などに用いられている高精度の数値制御工作機械を、性能を低く偽る事で、許可を得ずに韓国企業に売却したとされる事案。同工作機械はウラン濃縮の為の機器製造にも転用が可能で、輸出先の韓国から北朝鮮や中東の核開発疑惑国へと転売された疑惑が持たれたが、転売の事実までは確認されなかった。尚、同社は同様の手口で、中国やタイ、フランスなどにも製品を輸出していた事が判明している。 平成21年7月
・関係者に懲役1~2年6ヶ月(執行猶予3年)、法人に罰金4700万円の刑事判決
平成21年8月
・5ヶ月間輸出全面禁止の行政処分
神奈川県に所在する精密機器メーカーが、核開発に転用可能な三次元測定機器を、許可が必要な仕様には達していないと偽り、子会社や現地法人を通じて3000台以上をマレーシアやシンガポール、イラン、リビアなどに販売していた事案。国際原子力機関(IAEA)がリビアで核査察を実施した際、同社の製品が発見された事を契機に発覚。 平成19年6月
・関係者に懲役2~3年(執行猶予4~5年)、法人に罰金4500万円の刑事判決
平成19年6月
・6ヶ月間輸出全面禁止の後、更に2年6ヶ月間三次元測定機の全地域向け輸出禁止の行政処分
静岡県に所在する機械メーカーが、軍事転用可能な無人ヘリコプターを、中国に不正輸出しようとした事案。同社は購入を打診してきた中国企業との交渉の過程で、人民解放軍が同型の無人ヘリの大量購入を希望している事、又、相手企業を経由して人民解放軍にヘリを渡す計画についての説明を受けるなど、軍事転用される可能性を認識しながら取引を進めようとしていた他、警察の捜査を通じて、商談に関する資料を破棄する等の証拠隠滅工作を図っていた事実も明らかとなった。 平成19年3月
・法人に罰金100万円の略式命令
平成19年5月
・9ヶ月間無人ヘリ全地域向け輸出禁止の行政処分

米国輸出規制

 米国の輸出規制は米国の国内法に基づいて行われている為、本来であれば米国国民のみが対象となる筈ですが、米国は、貨物や技術に着目し、それらが海外で取引される場合についても米国法の規制を及ぼす運用を行っている為、米国の製品や技術を取扱う場合については、更に米国の輸出規制に対する注意が必要となります。

・米国輸出規制の概要

 米国において、我が国の外為法の役割を果たしているのが、米国商務省が運用する輸出管理規則(EAR:Export Administration Regulations)です。EARでは、対象となる貨物や技術が、①米国で製造・開発された「米国原産品目」である場合、②それらを一定の割合で包含している「組込み品目」である場合、③米国から導入した技術等により生産された「直接製品」である場合については、米国以外での取引についても米国商務省の許可が必要であるとされており、違反者に対しては、米国民同様、罰金や禁固刑といった刑事制裁が科される事となる他、米国製品や技術の入手が禁止される等の制裁が科される事とされています。

・EARの規制枠組の概要

 米国EARでは、大別すると、品目毎に「規制品目分類番号」(ECCN:Export Control Classification Number)を付番し、各番号毎の詳細な規制理由・内容を定めた「規制品目リスト」(CCL:Commerce Control List)に従い、各国別に許可の要否を定める形の規制と、禁輸国規制、目的・仕向地規制という形の個別規制が併存する形となっています。又、許可が不要となる許可例外(License Exceptions)についても詳細な規定が置かれている為、例えばECCNに基づくCCL上の規制では許可が不要な国への輸出でも、個別の事例では許可が必要となる場合がある等、かなり複雑な規制体系となっています。

例)米国Intel社製Core i9-9900XシリーズCPUの場合

・ECCN分類番号「5A992」に該当。CCLではAT(Anti-Terrorism)規制対象品目とされている為、AT規制対象国への輸出には許可が必要。
●この製品を米国から…
【日本へ輸出する場合】
日本はAT規制対象国ではない為、原則、許可は不要。尚、令和2年10月現在、中国Huawei社日本法人が「Entity List」に掲載され、個別規制が行われているが、AT規制対象のみの品目については規制対象外の為、同社への輸出も可能。
【中華人民共和国(中国)に輸出する場合】
中国はAT規制対象国ではない為、原則、許可は不要。但し、中国は、EAR§744.21「対中・対露・対ベネズェラ軍事エンドユース・ユーザー規制」対象国であり、ECCN「5A992」品目は同規制の対象の為、例えば、人民解放軍が軍事利用目的で購入する場合等は規制対象。又、米国原産品目の為、日本から人民解放軍関係者に転売する様な場合も規制が及ぶ事となる。
(※ここで取上げた事例はあくまでも説明の為の一例です。規制の全てを網羅するものではありませんのでご注意下さい。)


中華人民共和国(中国)の輸出規制

 これまで中国は、輸出管理にはあまり積極的な姿勢を見せて来ませんでしたが、近年、輸出管理に関する制度構築を急速に進めています。今後の展開次第では日本の企業活動にも重大な影響を及ぼす可能性も秘めている為、今後の動向には注意が必要です。

・「輸出管理法」の概要

 中国にも以前から輸出規制に関する国内規定が存在していましたが、当局による運用が殆ど行われていなかった為、事実上、死文化している状態にあるとされていました。しかし、近年の、いわゆる5G通信を巡るアメリカとの対立激化などを受け、アメリカへの対抗からか、ここ数年、国外規制を伴うアメリカ型の輸出規制の導入を目指す動きを見せていました。その結果、2020年10月17日に「中国輸出管理法」が成立し、同年12月1日から施行が開始されています。
 日本を始めとする諸外国からの懸念に対する配慮からか、適用対象を中国の法人・個人とする等、当初の目論見からは後退した内容になりましたが、反面、運用次第では域外適用を可能とする様な「含み」を持たせた規定も存在している為、引き続き油断は出来ない情勢でもあります。
 輸出管理法の施行に合わせて、「商用暗号輸入許可リスト」「商用暗号輸出管理リスト」を公表する事で、中国が世界的に優位に立つ情報通信分野から運用を開始した形ですが、今後、対象の拡大が予定されている模様ですので、今後の動向にご注意下さい。

・中国版「Entity List」の概要

 「輸出管理法」の施行に先立ち、2020年9月19日には米国EARの「Entity List」に相当する、「不可靠実体清単」(※原文は簡体字、Google訳「信頼できないエンティティのリスト」)が公布・即日施行されています。こちらは成立過程の段階から、アメリカの規制強化への対抗が示唆されていたことからも明らかな通り、中国国外の企業等が適用対象であり、外国企業の、①中国の国家主権、安全、利益の発展に危害を及ぼす行為、②中国の企業や個人の合法的な権益に深刻な損害を与える事となる、正常な市場取引原則に反した中国の企業や個人の正常な取引を妨げる行為、又は差別的措置に対して適用する旨を明記している為、一般的な輸出管理の枠組みを超え、中国の国益を侵害する活動に対する制裁としても機能し得る内容となっています。その為、例えばアメリカの対中制裁に協力している企業に対し、報復的に利用される可能性も否定出来ない事から、輸出管理法以上に注意が必要と言えます。

・中国版「ブロッキング規制」の概要

 他国の制裁法規等により、中国企業等の取引等が妨げられる事態に対処する事を目的とする、「阻断外国法律与措施不当域外適用弁法」(※原文は簡体字。Google訳「外国の法律および措置の不適切な域外適用を阻止するための措置 」)が、2021年1月9日に中国商務部から公布・即日施行されました。
 同規則に基づき、中国企業等から他国の制裁法規等による不当な法適用についての報告を受けた場合、中国政府が不当な状態にあると判断すれば、他国の制裁規定に基づく第三国の企業等からの措置による中国企業の権益侵害につき、中国企業は中国人民法院を通して損害賠償請求等の措置を採る事が可能となります。そして更に、中国政府が他国の制裁法規等について必要な報復措置を採ることが可能となる旨も定められている為、例えば、米国EAR規制に基づき中国企業との取引停止等の措置を採った場合、中国企業から賠償請求を受ける可能性が生じることになる他、中国政府からの報復措置を受ける可能性も生じる事になります。
 中国の当該規制は、米国EARの国外取引規制を意識した、事実上の対抗措置と言い得る内容の為、今後の米中間の関係次第では、両国の規制により板挟みの状況に追い遣られる可能性も否定出来ない事になりますので、今後の動向に十分ご注意下さい。

事業法人化

 個人事業を法人化するにあたり、一般的には「株式会社」形態が選択される場合が多いですが、近年では「合同会社」が選択される事例も増えている為、ここでは事業を法人化する際の代表的な形態とも言える「株式会社」を中心に、「合同会社」につきましても、株式会社と対比する形で簡単に御説明させて頂きます。

・株式会社

 株式会社は、当初は多数人からの出資を元手に会社を設立して事業運営を行う事を前提とした制度設計になっていましたが、度重なる制度改定を経て、現在では一人で株式会社を設立する事も可能になっています。

●株式会社設立の流れ

 株式会社を設立する際の手続は、先ずは設立する会社の概要を定めた後、それらを取りまとめた①「定款(ていかん)」を作成して公証人の認証を受けると共に、②事業運営の元手となる出資金(資本金)の払込みを行った後、③法人の設立登記を行う、というのが大まかな流れになります。  

1.定款の作成

 現在、日本には多くの株式会社が存在していますが、その実、世界を舞台に幅広い事業展開を行っている大企業から、家族経営の小さな企業まで、実に様々な規模の株式会社が存在する通り、現在の法制度では事業の規模や内容に応じて組織形態を柔軟に選択できる形となっている為、一口に「株式会社」と言っても、実際には様々な形態のものが存在しています。その為、会社を設立するにあたっては、先ず、その会社をどの様な組織形態とするか等、会社の概要を「定款」としてまとめる必要があります。
 その際、以下の(1)~(7)の事項については、必ず定款に記載する事が求められており、又、その内容が法律の定めに即している事を確認する為、公証人の認証を受ける必要があります。 
(1)「社名(商号)」
 自然人が名前を持つのと同様 会社設立後は取引や諸手続はこの社名を冠して行われる形になりますので、正に会社の「顔」として重要な役割を果たす事にもなります。個人事業者が法人成りをする場合、従前の屋号をそのまま引き継ぐ形で定める場合が少なくありませんが、株式会社の「社名」とする為には、必ず「株式会社」という法人格を表す文言を入れる必要があります。
(2)「会社の目的」
 法律上、法人は特定の目的の実現の為に存在するものと位置付けられている為、株式会社の場合もその会社が行う事業活動を「会社の目的」として定款の中で明示する必要があります。もっとも、株式会社の場合、広く営利活動を行うのが当然であるとも考えられていますので、内容を詳細に定める必要まではありませんし、将来的に進出する事を想定している事業があれば、予め目的に盛り込んでおいても問題はありません。ですが、余りに雑多な内容ですと、取引相手に不自然な印象を与えてしまう事もあり得ますので注意が必要です。
(3)「所在地」
 会社の本拠となる本店の所在地のことで、許認可申請等、法的手続の際に記載される会社の住所ともなります。自宅を事務所として利用している場合であればそのまま自宅を会社の住所とする事も可能ですが、法律や自治体の規制により利用出来ない場合もありますので注意が必要です。
(4)「資本金」
 資本金とは、端的には会社経営の基礎となる会社の資産の事で、同時に会社の債権者にとっては債務の担保にもなる事から、従来はその額に一定の制限が設けられていましたが、現在では資本金額が1円でも設立は可能です。しかしながら、資本金は会社の資産状態に対する信用に直結している為、余りに少ないと、例えば融資が受けられない等の不利益を被る可能性もありますので、無理のない範囲で適正額を設定しておく方が無難です。
(5)「会計年度」
 個人事業の場合、1月から12月の間の事業活動につき、翌年の3月中までに確定申告を行う事が法律で定められている為、決算月は12月になりますが、法人の場合、事業年度が1年を超えない形で決算月を自由に設定できる為、本業の繁忙期を避けて設定する事も可能です。
(6)「株主構成」
 会社設立の際の出資者は、設立後は株主として会社の意思決定に関与して行く事になりますので、設立の際の出資割合に応じて定められる事になる株式の保有割合は、その後の会社運営における意思決定の際の影響力の大きさを表す事にもなります。
(7)「役員構成」
 取締役や代表取締役、監査役など、会社の事業運営を担当する人々の事で、最低限の構成の場合でも1名の取締役の選任が必要です。会社の規模に応じて、更に取締役会や監査役等の選任も必要となる場合がある反面、会社の信用力を高める為、任意に監査機関等を設置する事も可能です。

2.出資金(資本金)の払込

 定款の作成・認証が終了した後、会社の資産となる資本金を準備します。一般的には出資者が、設立手続の中心となる人物等、特定の個人名義の銀行口座に、各自の出資金を振込む形で行われます。

3.設立登記の申請

 定款の作成・認証、資本金の払込みを経た後、会社の本店所在地を管轄する法務局に会社設立の登記を申請します。その際、登録免許税として「資本金額の1000分の7の額(※この額が15万円に満たない場合は15万円)」を、収入印紙を貼付して収めます。尚、現在では一定の準備が必要となりますが、オンライン手続により申請を行う事も可能です。

●設立後の流れ

 会社設立の登記が完了すれば設立手続自体は終了となりますが、その他、法人設立届出書の提出等の税金関係の手続や、法人化により加入が必須となる社会保険関係の手続等、設立後に必要となる手続も色々と存在していますので、これらについても確実に履行する事が必要です。又、事業運営に際して官公庁の許認可が必要な事業であれば、従前の許認可の承継手続や、場合によっては許認可等を法人名義で新たに取得し直す必要がある場合もありますので、十分ご注意下さい。

・合同会社

 株式会社が出資と経営の分離を前提とした制度であるのに対し、合同会社は出資と経営の未分離を想定している「持分会社」の一種で、かつて存在していた「有限会社」の後継に位置付けられる組織形態であるとも言えます。
 合同会社は株式会社の様に多数人が関与して事業運営に当たる事を想定していない分、組織形態も簡易化されている為、少人数での事業運営が想定される小規模事業の法人化に適している他、設立手続も簡易化が図られている為、外国企業が日本法人設立の際に利用した事例も存在しています。主な相違点をまとめると、以下の様な感じになります。

●株式会社との相違点

1.定款の認証
 株式会社の定款については公証人の認証手続を経る必要がある為、認証手続の費用として資本金額に応じて3万円~5万円の手数料が掛りますが、合同会社の定款については認証手続は不要とされています。
 尚、定款を紙面の形で作成する場合、株式会社・合同会社共、印紙代として4万円の収入印紙の貼付が必要となりますが、電子記録の形式で作成した電子定款の場合はいずれの形態の場合でも不要です。
2.登録免許税の最低額
 いずれの組織形態の場合でも会社設立の登記を行う必要がありますが、申請の際に必要となる登録免許税の額は、株式会社の場合は「資本金額の1000分の7の額(※但し、この額が15万円に満たない場合は15万円)」とされているのに対し、合同会社の場合は「資本金の額の1000分の7の額(※但し、この額が6万円に満たない場合には6万円)」とされています。
3.その他
 株式会社の場合、出資と経営の分離を前提とする為、経営に担当する役員である「取締役」の選任が必須である他、複数名の取締役が存在する場合、その中から選任される代表者は「代表取締役」を名乗る事になるのに対し、合同会社の場合、そもそも取締役という役職が存在しない為、代表者は「代表社員」等の呼称を用いる形になります。

 合同会社は簡易に設立出来る点が特徴と言えますので、何か事業を行う際に取り敢えず会社を設立したい、という様な場合には有力な選択肢になり得ると言えます。反面、会社の財産的基礎に関する規制も簡略化されている分、社会的信用という面では株式会社よりも見劣りする感がある事は否めない為、後々の事業展開等も視野に入れ、敢えて株式会社の形態が選択される場合も少なくないのが実情と言えます。
 又、事業内容によっては株式会社や合同会社等の営利法人以外の、NPO法人等の形態とした方が都合が良い場合もありますので、もし何か御座いましたら、お気軽にご相談下さい。

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