- Speaker Unit JBL LE-8T
Size 20cm full range
Weight 4.1kg
Input power 20w
Sensitivity 89dB 1m/2.83v
- Cabinet size w358 x h596 x d300mm
- Gross weight 18.3kg/1
最初はパイオニアのPE-16をメーカー指定バスレフ箱で製作して聴いていましたが、ある日SP-LE8Tを試聴する機会が有り一目惚れで購入しました
その後フロントロード、バックロードホーンなどを製作しましたが音のバランスが良いこの子だけが残りました
格子の内側に張ってあるサランネットを外すと明らかにクリアー度が増すので外してあります、また色々なツィターを追加しましたが、それほど伸びていない低域とのアンバランスが強調される結果となって必要ないように思います
音の傾向としては現代の高分解能.広帯域.広指向性.低歪.低能率のスピーカーとは対極的な要素が多分にあり、ボーカル等の中音域が厚い昭和の映画館のような音傾向で、個性ととらえて聴ける方とそうで無い方に分かれると思います
また余りに古いですから整備の具合で音の評価も違ってくると思いますからヤフオク等では注意(非純正コーン紙.センタードーム.エッジ.ダンパー.ボイスコイルに交換してある、コーン紙折れ.エッジ破れ.センタードーム凹み.着色.減磁.ターミナルの錆び(ユニット側及びボックス側).ボイスコイルこすれ.ボイスコイル切れかかり)が必要です
また巷で言われている長年使っていると徐々にアルニコマグネットが減磁していくという説は眉唾で、途轍もないオーバーパワーを入れない限り、余裕をもって設計されたスピーカーでは通常使用ぐらいで減磁しないそうです
セッティングは当初からONKYOのスピーカースタンドを使って、ユニットが上になるように置いていました、昔は部屋中カーペット敷きだったので低音がブーミーになる事は無かったんですが、フローリングの部屋に移してからは床と共振しているらしくスタンドの下に10cm程本を積んで、更に前に2cm程スペーサーを入れて傾斜を付けて耳の位置に合しています、これは音の乱反射効果も多少は有るように感じます
このスピーカーを生んだ歴史背景は1930年頃にまで遡ります、米AT&T傘下の製造部門であったWestern Electricが、技術力に物を言わせ映画のトーキーシステムなどを独占リース販売していましたが、余りに酷かったので1937年頃に集中排除法(独占禁止法みたいな法律)の適用を受け業務用音響機器部門子会社の解散を強いられました、
その旧Western Electricメンバーが1941年にALTEC LANSINGを設立して有名なVoice of the
Theatreシリーズ.604シリーズを生み出し映画業界などを席巻しましたが、1998年頃に終焉を迎え、現在は主に携帯音楽プレーヤー用スピーカーのブランドになって残っているのみです
第二次世界大戦終戦直後にALTEC LANSINGの技術副社長だったジェームス・バロー・ランシングが独立し、JBLを設立して直ぐに有名なD130を発売し、その後は高級ホームオーディオ製品と劇場.映画館.スタジアム.スタジオ用途のプロフェッショナル製品を次々に生み出して現在に至ります
また解散後のWestern Electric製品は戦後Westrexブランドでも数々の音響製品を供給していましたが、同業他社の追い上げで事実上活動は停止しているようです
要はAltec Lansing.JBL.Westrex三社の最近の製品は別として、1980年頃以前の古い製品はWestern
Electricのトーキーサウンドを受け継いでいるんじゃないかな?と私は思っているわけで、音創りに共通点があるように感じます
話しを戻しましてLE-8T単品ユニットとしてはD130開発から15年後の1962年に発売し、それを当時JBL販売代理店だった山水が1966年に格子グリルの約40リットル箱に入れSP-LE8Tとして発売しました
1980年代ごろになりアルニコマグネットの原料であるコバルトが高騰、価格維持の為に磁気回路をフェライトに変えて1981年頃にSP-LE8TmkIIとして再発売しました
コーン紙表面には特殊なダンピング剤が塗布してあって質量が有り硬いです、殆んどのコーン紙が柔かい中にあって異質ですが、これがコーン紙の経年変化が少なく長年使用しても音質の変化が少ない理由だと思います、余談になりますが私の経験と主観では当時の通常のコーン紙は1〜2年で最初のメリハリの利いた音が減退していき、特に高音用コーンツイーター
は如実に表れるように思います、しかし金属ダイヤフラムの中高音ドライバーやホーンツイーター では時を重ねると適度に刺激音が減退して耳障りの良い音になるようです
ウレタンエッジは経年変化で定期的に交換するしか方法が有りませんが、初期型の黄色いゴムエッジは軟化剤が出ているので、破れる前であれば補修できるようです
私の場合は1970年代中頃に購入後(黄色のゴムエッジ仕様、いわゆるランサロイ)、経年変化でエッジが溶けて1980年代終わり頃に正規サービスショップでリコーンキット(ボイスコイル,ダンパー,アルミ振動板,ウレタンエッジが一体で接着アセンブリされている)で修理してもらいました、そしてWebが発達した2000年台中頃にエッジのみの交換がDIYで出来ることを知り、ヒノオーディオの東レ人工皮革エクセーヌを使用したエッジに交換して現在に至ります、この製品の最大のメリットはウレタンエッジが加水分解して溶けるのに対して、硬化を気にしなければ私の寿命ぐらいまでは破れ無い事です、当然ですが現在入手できるリコーンキットでJBLオリジナルは有りませんので、補修に失敗して取り返しがつかない事が無いよう慎重に行ってください
このエッジ素材は自身のマウスパッドに以前から使っていて非常に薄く柔らかいので使ってみました、fo調整にはエッジのアール部分を先の丸い棒でなめす(シゴク)と低い方へと変化します
あらためて考えて見ると、オーディオ入門機に最初使ったのは16cmのアルニコ、最後に残ったのも20cmのアルニコでした、特徴はボーカルの押しの強さと定位、ヴァイブ等の金属打楽器もそれらしく聞こえ、ウッドベースの音量も十分で、これでいいかと思わせるまとまりの良さ、現在2020年夏ですが快調に鳴り続けています(^▽^)/
2021年春 内部配線ケーブルを標準赤黒平行線からカナレ4S6G(OFC-AWG20X4本ツイスト)に交換、標準のプッシュ式ターミナルからサトーT-1ターミナルに交換してバナナプラグ対応にしました、流行りの金ピカ端子では無くクラシックなタイプです、アンプからのスピーカーケーブルも同じケーブルにしましたがプラシーボ効果か音が良くなったように思います、ちなみにバナナプラグはオーディオテクニカAT6302です
2021年秋 フロントグリルは四隅ネジ止めですがマジックテープで簡単に脱着できるようにしました、サランネットを取り去るだけでも音質改善効果はありますが、組格子グリルを外すと更に音質改善効果はあります
過去に色々なプリやパワーアンプをSP-LE8Tに繋いで試聴した感想を記しておく、アンプ選びの参考にして下さい
下記の内容は現用のDiy UV-211 Single + QUAD 33との比較試聴である、制作者の多分の思い入れもあるかもしれない、また管球アンプは真空管の状態(経年変化)で大きく音が変化するのであしからず(
´∀` )
★ QUAD 405整備品(2SD424準コンOCL) + QUAD 33プリ
古いトランジスタアンプ特有の中高音の抜けの悪さが少々ある、低音は締まって十分出ている、この製品の発売は1975年頃だが、1970年代初頭には純コンプリ用のペアになるトランジスタが流通していたが、歪と安定性に有利な純コンプリにしなかった理由が良くわからない
★ 上杉 U・BROS-3整備品(KT88-PP・LUX-OPT・固定バイアス・反転回路ムラード型) + QUAD 33プリ
中高音は素直で歪感も少なく綺麗な音、低音は締まって十分出ている、固定バイアス調整はペアのバランス調整回路は無く、各チャンネルで1個なので出力管はペアかクワッドチューブ必須、パワー管の間隔を十分にとっている設計に好感がもてる
★ Unison Research Simply Four整備品(EL34パラシングル・自己バイアス) + QUAD 33プリ
中高音は素直で綺麗、低音は十分出ているが軽い、プッシュプルと違って出力管の一本がエミッション減少しても、それ程ひずみを感じない曖昧さがパラシングルの欠点か?、基板のランドが極めて弱いので修理は繊細に
★ ソフトンModel 8-300B整備品(300Bシングル・RコアOPT・固定バイアス)+ QUAD 33プリ
中高音は素直で歪感も少なく綺麗な音、低音はOPTのコアボリューム不足なのか超低音域が軽いが、価格を考えれば超お勧め、直熱三極管保護のプレート電流自動調整回路と電圧増幅段ヒーター遅延回路が有り良心的、遅延回路は入っているが、故障防止のため電源再投入は1分以上空ける事
★ Diy UV-211 Single + C.R.Developments Woodham Phono(真空管・パスコン・整流器SBD交換済)
全帯域で滑らかで綺麗な音、RIAA偏差も無調整で正常範囲内
★ Musical Fidelity A3整備品(Trデュアルモノ構成.純コンダーリントンTrパワー・NE5532MM/MCイコライザー)プリメインアンプ
中高音は素直で歪感も少なく綺麗な音、低音は締まって十分出ている、PICで操作系をコントロールしていて、その同じ基板にバックアップ用ニッカド電池が使われ液漏れすると強アルカリ性液で深刻な事態になる、液漏れしないうちに同じ電池か、液漏れし難いスーパーキャパシタと位置を変えて交換することを勧める
★ C.R.Developments Woodham 300B Classic(トロイダルOPT・Psvane300Bシングル・ヒーターSBD交換済)
+ QUAD 33プリ
中高音は素直で歪感も少なく綺麗な音、低音は重く十分出ている、ヒーターは三端子AVR-IC(1.5A)による電圧制御が施されているが、小さな放熱器なので経年劣化が心配されるので放熱器の変更を勧める
★ Air Tight ATM-2整備品(KT88-PPからKT90EH-PP改・Tamura-OPT・ムラード型カソフォロドライブ)
+ QUAD 33プリ
中高音は素直で非常に歪感も少なく綺麗な音、低音は軽く十分出ている、電源投入の低電流時、電圧増幅段へのB電源電圧が高く、フィルタ電解コンデンサ耐圧をオーバーする製品が有るようです、またカソードフォロワーへのB電源フィルタ電解コンデンサの位置が悪く、近くの巻線抵抗と電源トランスの熱をうけ寿命が短くなるため位置変更を勧める
★ Diy UV-211 Single + McIntosh MX-110整備品 Phono FMチュナー付プリ(オール真空管)
誇張感の無い自然な音、トーンディフィートが無く中点の範囲が狭いためRIAA偏差はうねり易くなるが、聴感上は感じない、イコライザー&プリ部はシャーシ全体の1/3ぐらいしか無く、部品実装密度が高く整備困難、手に入れる場合は高価でもC22を勧めする
★ Air
Tight ATM-300整備品(WE300Bシングル自己バイアス・Tamura-OPT・前段12AU7A/12BH7Aパラ接続+
QUAD 33プリ
音質は充分な1次インダクタンスの重量級出力トランス、タムラF-2007を使用した効果なのか、超低域まで伸び、高域も曇りがなく
透明感のある音が出ています、殆どのメーカーの3極管無帰還アンプは測定すると 歪が多いので、歪データを公表していません、音を聞いたことが無い普通の人は8wで歪率6%とか
カタログに書いあったら先入観で買ってくれませんからね(^▽^)/
前段12AU7A/12BH7Aのソケットがメインシャーシとサブシャーシの間に挟まっていて、部品を外さないとソケット交換し難い構造になっているのが難点、デザイン上真空管が2mm沈むのを嫌っての事だと思う(T_T)
★ トライオード
VP-300BP(カソードフォロワードライブ300Bパラシングル インテグレ―テッドアンプ(パワーアンプに入力セレクタ―とボリュームを付けたような構成)
プスバン製300Bが付いていた、エミッションも十分残っていてバイアス調整範囲も余裕がある、音は出力トランスのコアボリュームが効いて低域は良く伸びていて、中高音はヌケ良くきれい、やや低域のしまりが無いように感じたが これも個性か
電源トランスはケチらず十分なコアボリュームで好感が持てるが、電源スイッチがこのクラスとしては貧弱で突入電流で長期安定は期待できない、かといって互換品で高電流容量のスイッチが見当たらない、取付穴を大きくすれば解決するがオリジナルでなくなる(T_T) 、とりあえサージキラーをスイッチとトランス1次側両方に入れておいた
|