Legend Audio

| INDEX | HOME | LEGEND | SCHEMATIC | DATA | PARTS | ARTWORK | REPAIR | TOOL | ROOM |

半導体極性・CR記号・計算式・3端子レギュレータ・熱抵抗

| Tr | CR | Calc | P/NVR | AVR | Temθ |

トランジスタ普及期の主導権争いの後に型番を変えずに形状.極性を変更するメーカーがありましたので図にしてみました
またCR略号の見方、オームの法則、合成抵抗の計算、LEDの保護抵抗計算、デシベルの計算、パワーアンプ出力の計算、広く使われている電源用3端子レギュレーターICの使い方、放熱器の熱抵抗計算を掲載しました

Tr 半導体極性   Top

極性.パッケージ形状別分類図.コード表(pdf)

トランジスタ極性図
  • 上図の様にトランジスタは型番面を手前に頭を上にした状態で、上から見ても型番面から見ても底から見ても極性は同じですが、勘違いを防ぐ意味であえて掲載しました、逆に型番面を手前に頭を下にした状態で見ると極性は真逆になります
  • 半導体は型番面(Name side)の向きを統一して掲載しました、同一型番でも日立で旧タイプの四角型(2SC458等の小信号トランジスタ)と新タイプの半円型(TO-92)では型番面とECBの関係が真逆に変更になっています、また同様にFETの2SK40等も上図の様に変更になっています
    旧四角型 2SC454.C455.C458.C459.C460.C461.C1213.C1214.C1342.C1344.C1345等 → 途中で半丸型(TO-92)へパッケージ変更、 確認はしていませんが、2SA673等のPNPタイプも注意が必要です
    東芝2SK19.2SK30にもケース下部に出っ張りのある通称名シルクハット型が存在しますが、型番面と極性の関係が同じである事と図が繁雑になるので省略しました
  • アンプ等で使われる小信号トランジスタのパッケージデザイン変遷では単純な半丸型(TO-92)が主流になり、東芝は1975年頃、日立は1980年代にデザインを変更して追従しましたが
    その為に日立だけは型番面と極性の関係が真逆になってしまい、最初の頃は混乱を避ける為にECBを印刷したようです、三菱は元々デザインが同じで極性が真逆でしたが、なぜか最後まで極性変更はしませんでした、そして事実上NEC.松下が採用したパッケージ.極性が主流となりました
  • 日立の小信号トランジスタにまつわる誤解が有ったようです
    よく修理レポートで『足が黒いので交換しました』とか有りますが、マイグレーションのせいとか、メッキの変色のせいとか言われていますが、四角いパッケージで塗装されたように見事に足が真っ黒なトランジスタは、プリント基板を露出した状態で使用することは無いでしょうが、強い光が当たるとPN接合部で発電してノイズが発生するため、足も含めパッケージごと黒い遮光用塗料で塗装したそうで
    後にはパッケージ樹脂材料が改良されて塗装しなくなったそうです、、当時のパーツ屋さんで黒足をあまり見かけなかったところを見ると短期間(推定1975〜80年頃)だったようですね
  • TO-3.TO-66.TO-5.TO-18パッケージの型番印刷方向とECB極性に規則性は有りません、突起.リード位置で判断することになります
  • 上の図を見るとアンプ等に使うトランジスタの傾向が解かると思いますが、左から見るとTO-92ECB.TO-126ECB.TO-5CBE.TO-220BCEの極性が主流となっています、しかし世の中には沢山の例外も有りますので、初めて見る半導体は必ず規格表を見る癖をつけましょう
  • 接合型FETの記号はソース表示を明確にするために二重線にして有りますが、JIS記号には準拠していません
  • LEDは足が長い方がアノードになりプラス電位を与える側になります
    また砲弾型LEDでは下のツバの一部が切り落とされたようになっている側がカソードです
    そして発光部が透明で目視できれば、途中で切れた逆U字型構造を見ることができますが短い方がアノードです
    TLR103などの古いLEDは細いリード線側がアノードになります
  • 可変抵抗器記号の 3in.2out.1gnd は一般的なオーディオボリューム使用時の極性です、また通測用以外は番号表示が大抵有りませんので番号を付けておくと間違いが減らせます
    抵抗体の上をブラシがスライドしているだけですのでコンデンサのような極性は有りません、真逆に接続すれば抵抗変化が逆になるだけです
    また電源、バイアスなどの直流回路では抵抗体(1)(3)をマイナス、ブラシ(2)をプラスで使用しないと抵抗体に陽極酸化が起こりガリオームになる(/_;)
CR 抵抗とコンデンサーのカラーコード.略号   Top
抵抗カラーコード,抵抗コンデンサ記号図
  • カラー抵抗の4色表示は1色目と2色目を組合わせ、10に3色目の乗数を組合わせた累乗数を掛けます、4色目は誤差です、5色表示は1色目から3色目を組合わせ、10に4色目の乗数を組合わせた累乗数を掛けます、5色目は誤差です
  • E24系列以下の抵抗は4色表示法で表現できますが、E48やE96の抵抗値で、例えば332Ωなどに対応する為に5色表示が有るようです、いや見難いですね(/_;)  よく見かけるE24系列の5色表示の場合、もれなく3色目を黒にして桁上げ表示しているようです
  • 抵抗のカラー表示では、どちらから読むか悩むところですが、±5%誤差抵抗の場合は金色表示、E24シリーズ±1%誤差では黒(3色目)茶(5色目)になるのが目印になりますが、形状が大きい場合は誤差表示帯を太く表示したり間隔を空けたり、抵抗値帯側を左に寄せて表示している例が多いように思います、
  • コンデンサの容量表示は概ねフィルム.ディップマイカなどの小容量コンデンサは 略号のpF表示ですが、サープラス品、復刻品などはμF表示が見受けられます
    電解.タンタルの多くは略号は使わず容量そのままを表示していますがμFを表示しなかったり、古いとMF(マイクロファラッド)と表示している例も有りますがメガファラッドではありません
    例外的にシーメンスMKHなどで nF表示が見受けられますが、単位も表示されているので間違うことは無いと思います、定格電圧は代表的な値を表記しました、表記法則は2桁目の英字(例 A=1)に1桁目の数字の乗数を掛けた値が電圧になります
  • 容量の単位はFから3桁ずつ繰り下がる形で F>mF>μF>nF>pF が存在しますがmFは見かけたことがありません、また英数字での抵抗、容量値表示ではRを小数点とする決まりがあります
Calc オームの法則.合成抵抗.LED保護抵抗.dB.出力電圧対電力.ダンピングファクター計算   Top
オームの法則、デシベル換算表
  • LED保護抵抗への入力電圧が定電圧電源のように変動が少なければ問題になりませんが、自動車バッテリー.高電圧回路など変動の大きな回路等での使用の場合はLED保護抵抗だけではコントロールできない場合があり、定電流回路等でを安定させる必要が有ります
  • LEDのIF(mA).VF(V)の規格には最大(MAX)と標準(TYP)が有りますが、通常は寿命などを考慮して標準以下で使用するのが一般的です、保護抵抗を選ぶ場合は計算結果より高い値で、市販品の近似値から選ぶことを推奨します    例 405Ω(計算結果) → 430Ω(近似値)
  • LED保護抵抗のW数は、計算結果の2倍程度の近似値から選んで下さい、常時点灯、筐体内温度上昇などで意外と抵抗が高温となる場合が有ります   例 0.22w(計算結果) → 0.5w
  • 図ではアノード側に抵抗が入っていますが、抵抗は単なる負荷ですので極性はありません、カソード側に入れても結果は同じです
  • dB(デシベル)換算表は、ホームオーディオの世界で広く使われているdBV 0dB=1vを基準にした表です、表の20dB以下を暗記すると便利で、各dBを足した結果は、その利得を掛けた結果と比例します
  • パワーアンプ出力を測定するには、アンプ入力にオーディオ発振器とアンプ出力に想定される電力以上のダミー抵抗(出来れば無誘導型)、ACボルトメータを接続します
    そして入力に正弦波を徐々加えて出力電圧を読んでいきリニアに上昇しなくなるポイントが最大出力になります、正確には出力波形がクリップする位置が最大出力になりますが、波形観測用にオシロスコープが必要になります
    次に出力電圧と負荷抵抗(インピーダンス)から出力電力(ワット)を導き出します、図のダミー抵抗のアースはスピーカー出力のマイナス側です、アースと同電位でないアンプもございます出力測定ブロックダイヤグラム図
  • ダンピングファクターはパワーアンプ出力のスピーカー制動力を表す指標です、スピーカーシステムのセッティング変更しても低域にしまりが無く、力感が無いなどの症状の場合、計測して異常に低くないか確認してみましょう
    測定するにはON-OFF法が一般的です、各周波数ごとに約3v(被測定アンプで歪みが少なく軽負荷の出力点)の出力電圧を無負荷時電圧と負荷時電圧を1mVの位まで計測して《 df=負荷時電圧÷(無負荷時電圧−負荷時電圧) 》の式で求めますが
    約0.001〜0.5vの電位差を測定するので、ターミナル、スイッチ等の接触抵抗も影響します、一般的には真空管アンプで2以上、半導体アンプで50以上あれば良いようで、数値を上げるために多量のNFBを掛けると不安定になったり、聴感上は逆効果になる場合もあります
  • アンプの周波数特性を測定するには、入力電圧を固定して各周波数ポイントで出力電圧を計測します、数値をExeclに入力してグラフ化すると傾向がよく解かります
P/NVR 3端子レギュレータICの基本回路   Top

規格詳細一覧へ

固定3端子レギュレーターIC基本回路
AVR 可変3端子レギュレータICの基本回路   Top

規格詳細一覧へ

可変3端子レギュレーターIC基本回路
  • 必要な電圧より整流後の電圧が高い電圧であれば、定電圧電源が少ない部品で組めるのが最大の特徴ですが、レギュレータICの規格は最小入出力電圧差約1.5〜2v以上(固定型)3v以上(可変型)とはいえ、入力電圧を高くして必要以上に入出力電圧差を大きくしすぎると発熱して電力損失が大きくなり良い事はありません
    実際に故障原因を探っていると、3端子レギュレーター不良なんて事が良くあり、規定電圧が出ていてもノイズが出ていたりと、CRを含んだリニアICは熱で経年劣化が早いようです、安定動作と電力損失を考えると、最大負荷を考慮しつつ最小入出力電圧差になるようなトランスを選ぶ事になります
  • 最小入出力電圧差約0.5v前後で動作する低損失3端子レギュレータICが有りますが、常時給電するような装置の省エネ電源に使いたい所ですが、シビアにトランス選択をしないと省エネになりません
    特に低電流トランスは負荷によって電圧が大きく変化しますのでカタログに掲載されている規格を見て慎重に選ぶ必要があります、実際の計算では無負荷2次電圧.銅損.鉄損.電流容量対負荷率.整流方式.ダイオード順方向降下電圧などの要素を考慮する必要が有ります
  • 整流直後のリップルフィルタ電解コンデンサの容量は負荷に見合った充分な容量が必要ですが、それでもアンプ等の電源に使用してみるとノイジーな音になりがちです、サージ保護ダイオードの追加とレギュレータICの出力と負荷側の間に高容量電解コンデンサを入れると改善されるようです
  • 電源へのタンタルコンデンサ利用は、もしも破損した場合ショートモードの例が多く、採用を避ける傾向にあります、代替えとしては電解コンデンサ、積層セラミックコンデンサの利用が考えられます
    タンタルコンデンサ利用の場合は無負荷時の最高電圧以上で余裕ある耐圧の製品を選んで下さい
Temθ 熱抵抗(θ)の計算   Top
放熱器、熱抵抗の計算図
  • 諸条件で生じる温度(θJC/CH/HA)を抵抗に置き換え、直列抵抗と考えて計算することができます
  • 熱抵抗単位℃/Wは電力1w上昇あたり、何℃上昇するかを表します、放熱器に当てはめると低い値ほど放熱性が良い事になります
  • ジャンクションは半導体製品の核となる、パッケージ内部の半導体を組み合わして構成された部分を指し、ダイ、接合とも言います
  • 消費電流にはAdj電流が有りますが、値が極めて小さいく見難くなるので掲載の計算式から除外しました
  • 実際のデーターシートのデバイス定数は全て載っている訳では有りません、図の式を変形して必要なデーターを求めて下さい
  • 図中のPD にはユーザー設計回路での目標消費電力(ロス)と、素子自体の最大許容損失があります、混同しないよう注意して下さい
  • θJA(放熱器無し熱抵抗)とθJ-A(SAM)(ジャンクションからグリス→放熱器→外気までの熱抵抗合計)は区別して解釈して下さい
  • 式の表記方法はナショセミ(現TI)を参考に、一部個人的に書き加えています。略称は各社各様ですが式の原則は同じです
  • ジャンクション温度を、いかにTJ(MAX)の80%以下に抑え込むかで、素子等の寿命が延びますので、パワー素子の回路設計に密接な関係にある放熱設計は重要です、また約150〜170℃を超えると3端子レギュレータ素子内部の保護回路が電流を遮断しますので、問題なさそうに見えても負荷の回路が最適動作していない事も起こりえます
  • 電流が大きいと入出力電圧差を最低動作点近くにしないと、意外と大きな放熱器が必要なことに気付かされると思いますが (/_;) それで考えさせられるのがトランス選びで、無負荷電圧と負荷電圧の差も気になりだし、変化の少ない負荷回路、変化の大きい負荷回路で多少悩みますが、最大負荷で設計しないと不安です
  • 東芝等のデータシートを見ると、放熱器の平面性と取り付けネジの締め付けトルクに留意して、不安定なグリスは積極的には推奨していませんが、流れ落ちた場合の逆効果を心配してのことだと思われます
Home   Top