Back || Next →
Sect.15 変動の予兆
さあ、いよいよ、「ソルジャー・ブルー三部作」の始まりだ!

予告では
「降伏したまえ、地球(テラ)の男!」
という力強いブルーの声が聞こえてきて、自分は舞い上がってしまった。

ブルーが生きてる!
ブルーがセリフをちゃんと言う!待っていたよ〜!!!!!長かったヨーーーーー!
それも相手はキース?
なんておいしい「夢の対決」なんだ!!!!!

この時点ではまだまだ「期待」が大きくて、平成アニメテラならではの「オリジナル」バージョンに
固唾を飲んでる自分がいました。

さて、この「変動の予兆」、とっても内容が盛りだくさん。
というよりたくさんの「鋭い思い」があふれている。

冒頭のOPNING前の前回のハイライトシーンだけで
捕らわれたキースを抹殺しようとする幼いトオニィのむき出しの激しい殺意。
「グラン・パが殺らないなら僕が殺る」
こわい子だ、というより純粋すぎて罪悪感のない「無垢」だからでる殺意か。
キースの持つ地球の映像に惹かれるフィシスの切ない思い。
キースがそのトオニィを殺そうとする激しい敵意。
トオニィの危機を感じ取り、母親の感情を爆発させるカリナ。

どれも激しくて狂おしく、寝たきりのブルーを起こすのに充分な刺激だ。

くわっと開く深紅の瞳。なんて美しい。なんて力強い。
凄みのある美しさを持つキャラってそうめったにいない。
「私を目覚めさせるものは誰だ!?」
すさまじい迫力。だてに300年生きていない。

でもやたら色っぽいぞ。特に目覚めたばかりのブルー。
いきなりあえぐ口元のアップ。それも汗びっしょり。
いかにも今ベッドから起きてきました、というしどけなさ。
壁伝いによろよろと歩き、ぱたりと倒れる。
倒れこんだ身体にかかるマントが細身の彼の身体のラインをくっきり描き、
もう目のやり場に困っちゃう。

こんなよれよれブルーのそばに誰もいない。
Dr.ノルディ、ブルーの容態の管理してんじゃなかったの??(公式サイトの設定にそう書いてある)
誰か助手でもそばに置いとけよ!バカタレ!
でも誰かそばにいると「寝ていてください」とさえぎられ、かえって動けないかも。
いや、このガンコな青爺さんのことだから「フィシスが危ない!僕が行く!!!」と
サイオンで跳ね除けてでもいくだろう。
それぐらいここのブルーは無理やり身体を引きずっていく、というイメージだ。

とにかく危険信号をキャッチしてブルーは格納庫に向かう。
キースにもそうだけど、ブルーはフィシスの危機を感じたのではないかと思う。
ブルーはフィシスを「僕の女神」と大事に思っている。
フィシス、今僕が行く。
でも身体が言うことを利かない・・・・・。筋肉痛が・・・・てなもんだろうか。(かわいそう)

カリナのサイオンバースト、ジョミーのカリナHUG、マツカの接近、はまとめて後で語る。
今はブルーについて語らせてくれ!

フィシスとトオニィを引きずり、格納庫に来たキースはつぶやく。
すばらしい船がある。
これだけの技術と高い能力を持っているのに・・・笑止。

ミュウをほめながら、やはり冷笑するキース。なめてんな、キース。
キースのつぶやきに答えるように声が響く。

「それは期待に添えなくてすまなかったな」

ブ、ブルーがしゃべってるぅぅぅぅぅぅ〜!!!!!!
キースと会話してるぅうううう〜!!!!!!!

夢の対決!夢の出会い!二人の「長」の壮絶バトル!!
とうとう見られたよ!
原作ではジョミーVSキースだったけど
それがブルーVSキースとなると、どんだけレベルアップするのだろう!
でもぶっちゃけ、ブルーの方がサイオン能力も高いし、キースの何倍も生きて戦闘経験豊富だから
キースなんか相手じゃないような気がしますが。
キース、良かったね。若い頃のブルーと出会っていたらあんた今頃燃え尽きておりますよ。
所詮、あんたなんか相手じゃないんだよ、キース。坊ちゃんよ。

しかし、この時点でのブルーは長い昏睡から目覚めたばかり。
もちろん年相応に体力も尽きかけている。
歩くのがやっとという感じ。それに船の中は混乱していて応援も頼めない。
フィシスとトオニィが人質に取られている。迂闊に手はだせない。
キース一人だったら思念波ボールでもぶつけてサイヤ人のごとく、ぶっ飛ばしていただろうに。

「待たせたな、フィシス」

・・・し、新撰組見てたのですか!?ソルジャー・ブルー様!(爆)

「ブルー!ソルジャー・ブルーなの!?」
あまりのことにフィシスまで驚く。まさかブルーは寝たきりじゃ・・・・
あんたがうろうろして人質なんかになるからブルーが心配して起きたんでしょうが;;;;
(とつい突っ込みたくなる)

さすがに体力がなかったのか、飛行機の足元に座っていたブルー。
でも立ち上がってキースの方に向かって歩く。
思わず身じろぐキース。

「やれやれ、年寄りとと女子どもは丁重に扱えと教えられていないか。野蛮な男だ」
キターーーーーーー!超名セリフ!!!!!!!!(^^)

「年寄り」って・・・ご自身のことですよね!?
年長者には敬意を払え。君の生まれる何年前から僕は生きてると思うんだ。
若造め、やるならやってみろ。
そんな自信と余裕が伺える、ブルーの皮肉。

とにかく、「余裕」のあるセリフがすごく嬉しい!
なんかブルーの性格現していてとっても嬉しい!
立場的には人質とってるキースの方が有利なんだけど、ここでのブルーはとっても強気。
一歩も引かんぞ、という「闘志」が感じられる。
だから「ソルジャー」なんだ。
腐っても鯛、じゃない、弱っていても「ソルジャー」!闘う戦士!

「降伏したまえ、地球(テラ)の男!」

「貴様が『オリジン』か」
キースが驚く。

オリジン・・・”ORIGIN”・・・「起源」「始祖」だよ。すごい言葉だよ。
言葉はイメージをつむぎ、作品世界を大きく広げる!
アニメテラ、原作を大きく肉付けして独自の世界を作り出したね!これで評価アップ!

この「タイプ・ブルー・オリジン」という言葉は多分この話が初出で、この平成アニメテラ独特の
用語だと思うのだが、あっという間に「普及」し、どこの地球(テラ)サイトでも
ひっきりなしに出てくる。
ブルーを「ONLY ONE」の個体として指す博物学的な「分類用語」なのだが
、魅力的な言葉でブルー自身の代名詞。

ブルーの存在が伝説になってるんだね、きっと。

自分は妄想をしてしまった。

キースが機密文書をみていて、その中に「TYPE BLUE ORIGIN」のデータがあって、
ブルーの14歳当時の写真入りの実験データが延々と並んでるものを閲覧してるとこが浮かんでしまった。
その記録には驚異的なサイオン能力と過酷な環境に耐えうる「超」能力の記録。
その「文献」にある存在が300年の時を経て今、目の前にいる。

それはもう、めちゃくちゃ怖かったと思う。
それにブルーは強い殺意をもっていたし。

キース、殺すべし。
フィシスを離せ。
トオニィを離せ。
お前を殺す。
むき出しの殺意をぶつけるブルーも優雅な外見とは裏腹に「野蛮」だ。
でなきゃ、ミュウの「長」なんてやってられっかよ!

多分そんな思念がキースに届いたのではないか。

「フィシス、今助ける」

まっすぐにキースを狙うブルーの目力ビーム!
と、しかし、見えないバリアに阻まれる。
フィシスがキースをかばった!????ええええ、フィシスってば最強!
ブルーの攻撃を跳ね返すなんて・・・・こっそりブルーの力を盗んだのか???

意外なことに驚くブルー。
そしてキースの心を覗き込むブルー。
そこにはフィシスが育った水槽と同じビジョン。
その心を読む様はキースにも伝わり、恐怖を思わせる。

驚くブルーに、トオニィを投げつけるキース。
ブルーはトオニィをキャッチするのに必死で、フィシスを連れて飛行機に乗り込むキースを追えない。
トオニィを抱き、キースをにらむブルーがまた美しい。

もっと対峙しても良かったと思える二人の「野蛮」な男の対決だけど、まあまあ、満足。
もっともっとサイオンで攻撃してほしかったけどキースが負けるに決まってるから
この辺でよしとしよう。

ブルーが活躍したのもうれしいが、次のシーンにもっと萌えた。

飛行機で脱出してから、震える右手を押さえるキース。
「タイプ・ブルー・オリジン・・・生きていたのか・・・・」

ミュウの長。300年にわたって生きながらえ、なお若い姿のままのブルー。
そしてガードの固いメンバーズの自分の心の底の記憶を一瞬で読み取り、
明確な殺意をぶつけてきた男、ブルー。

ブルーの存在の物凄さに畏怖するキースを描いてるのがいい。
原作にないブルーとキースの対峙。
ただ会わせただけでは意味がない。「心」の変化を描かなくては面白くない。
このキースの「恐怖」がメギドシステムの発動を招く、ような気がする。

飛行機の中で探しにきたマツカの思念派をキャッチするキース。

飛行機のエンジンを暴走させ、爆破させる。
その爆発にまぎれて自分をサイオンで包み込んで助け出せ、という無茶な命令をするキース。
マツカは「できません」と悩むがキースは「やれ」と強引。
マツカを信頼してのことか。ミュウの力を過大評価してるのか。
すごい自信だなあ。

ここのフィシスとのやりとりがいい。
原作ではフィシスは気絶していて、やり取りがなかった。
ここもアニメならではのオリジナル展開。

「私を殺すのですか」
「自分のことに精一杯でお前を助ける余裕がない」
「悪魔」
「オレが悪魔ならお前は魔女だ」

なんて憎憎しいキース。
もしハリウッド映画ならここでフィシスの唇を無理やり奪っておいて、
「あのタイプブルーの男が悔しがりそうだ。」
なんてえぐい妄想がでてくるぐらい、ここのキースは本当に「悪役」。
こんなに悪役にしちゃっていいのか、という泣きと、もっといじめてえ!というサド趣味が交錯する。
それぐらい魅力的に描いているってことであります。

魔女と言われたフィシス、。
それは原作にも「私は魔女と呼ばれていました」とフィシス自身のセリフがある。

占いをし、カードを見えない目で言い当てるフィシスを「魔女」と呼び、
「処分」しようとしたマザー。
そのフィシスを「女神」として救ったブルー。
同じ存在なのに見方によって180度変わるそのすごさ。

あとでこの二人の意外な「縁」が描かれるがまだここではわからない。
因縁の二人だねえ。

そして、爆発。
ジョミーがジェットのように飛んでフィシスを救いに来る!
キースが思念波につつまれて救い出される。
一瞬にらみ合うキースとジョミー。
フィシスを抱いて思念波バリヤで包み込み、それを見送るジョミー。
かっこいい。めちゃくちゃかっこいい。騎士(ナイト)みたいだよ、ジョミー。
ちょっとブルーに出番取られたけど、君は君の魅力を振りまいてくれたまえ。

話が前後するが、ジョミーはナスカの地上にいた。
だからシャングリラの中で起こっている危機にすばやく対応できなかった。
カリナの暴走をなんとか食い止めようと思念体でカリナの元に行く。
すでにカリナは恐慌状態で手がつけられない。
血の涙を流し、「トオニィ、ユウイ、私を一人にしないで」とバーストしてしまう。
そのカリナを抱きしめるジョミー。
わびるジョミー。自分が自然分娩を奨励し、真っ先に母親になってくれたカリナ。
幼いカリナが自分の中の母親像を受け入れてくれたから自分はここに居場所を見つけられた。
なのに、上手くいかずこんな結果になってすまない。
わびるジョミーの前で力を使い果たし、倒れるカリナ。
とても悲しいね。
思念体だから、上手く捕まえれらない。

ナスカ上の本体のジョミーが泣き叫ぶ。
悲しいね。

ここはカリナとジョミーの心の交流がちゃんと描かれていたと思う。
劇場版では二人は恋人になったけど、ここではそれ以上に「信頼関係」が描かれていたと思う。

そして、接近してきたマツカの操縦する飛行機と、シャングリラから脱出したキースの
飛行機がランデブーしたら大変、と飛び出してフィシスを救う・・・・・。


この辺の構成は良くできていたと思うのであります。

最後にトオニィを抱え、ナキナズミの力を借りて、やっと弱弱しいテレパシーを送るブルーが痛々しい。
ナキネズミになりたいねーーーー!と思ってしまった。

ねえ、トオニィ、感謝しなよ。
アンタはブルーに命救われたんだから、ね。
一生、恩にきなよ。
ソルジャー・ブルーの優しさと勇気に。

あとで、この場面がいかに重要か、が最終話近くでわかるんだけど・・・
ブルーを生かしたことにより、ラストがより深くより切なく方向転換していく。
このときはスタッフは予想していたのだろうか。
それとも計算済みなのか・・・・。

今は伏せておこう・・・・。



■余談・雑談

オリジンがあるなら、セカンドやサードがあるのか??
バリエーションがあるのか???

ブルーのクローンが存在してもおかしくないよね。
それが殺人兵器として使われたら・・・・・・こわいね。

私は妄想してしまった。
ブルーが必死に逃亡を試みた理由。

タイプブルーとしてさまざまな実験をされ、相当な耐久力と戦闘能力を有しているブルーを
「兵器」として活用しようとした。
そしてロボトミーのような従順になるような、自己の意思を持たないような脳手術
(あるいは成人検査のような記憶への干渉)を施そうとしたところ、ブルーはその意図を察し、
ブルーは自分の意思で「脱走」した。

そして、同様に閉じ込められていた他の仲間も一緒に救い出し、船を奪って逃走した。

なんか、「サイボーグ009」だね、こりゃ。
あれも「兵器」として利用されるのを拒んだ戦士たちの闘いだった。

でもねえ、従順になるようにしてしまうと戦闘能力もなくなるんじゃないの。
ブルーの能力は強い意思と「生きたい」と思う自発的な心から出てきたもの(と思う)
自分の意思のないものなんて、なんの意欲もわかないから、パワーが落ちるんじゃないだろうか。

自らの行動は自らで選ぶ
それがSD体制には我慢ならない。
普通の人間として当たり前の選択をする。
それがミュウの生き方。
ソルジャー・ブルーのあり方。

それがこのSD体制では許されない。
こわい、こわい生殺しの社会。
でもオリに入っているものにはオリが見えない。
いっそう、こわい。

あちこちに妄想の飛ぶつくりで、このあたりから自分はブルーのオリジナル話をつくっていたような
気がします。

しかし・・・もっと寝たきりにせず、ちゃんと活躍させろよ!
・・・・でもそうするとジョミーの出番がなくなるかな・・・・
難しいな・・・・。





Back || Next →