改めて見直すとセリフがびっちり。すごいわ、これは。
一回見ただけじゃ理解しきれないよ。
冒頭はやはり1話のラストから始まる。
成人検査をコントロールするアタラクシアのブース。ブルーの幻影に助け出されるジョミー。
そしてジョミーがプレイランドのアンダーグラウンドコースターから放り出され、ナキネズミが
「カエロウ」と呼びかける。
「君は不適格者として処分する」
「処分ってなんだよ!!」
タイトルバックがはいり、そしてリオの声がひびく。
『左に走って!』
1話の終わりでちょっと早く終わりすぎだと思ったけど、次々とスピーディな展開がすすんで目がはなせない。
非情な銃が火を噴く。
ジョミーは思わず目を閉じて防ぐ。
すると弾丸がジョミーの目の前でとまっておちる。ここは衝撃的なシーンだった。
無意識にシールドをはったのか?それとも声の主がジョミーを守ったのか??
ここでは明確に表現されていないが自分はジョミーが無意識にシールドを張ったのだと思う。
そしてまた響く声。
『急いで』
『飛んで!』
『下で受け止める』
フェンスを乗り越えて飛び降りるジョミー。運動神経いい!これも主人公の条件だよね。
『乗って』
ジョミーはいわれるままに飛行機に乗り込む。
青年はリオと名乗り、ソルジャー・ブルーにジョミーを助けるように言われたと告げる。
しかしジョミーは頭の中に直接響く言葉が疎ましくてたまらない。
「普通に話せよ!」
『私は声が出せないんです』
はっと気づくジョミー。普通に会話できないからこその思念波なのだ。
そのことに気づいて黙り込むジョミー。なんかとっても気まずい感じが伝わってきたよ。
なんか、ジョミーって会話っていうより怒鳴ってばかり。
すっごく落ち着かない子、乱暴な子、と言う印象だね。
飛行機がどんどん街から遠ざかるのに不安を覚えるジョミー。
「アタラクシアの外に出るのは禁止されている!」
それも「与えられた知識」だと諭されるジョミー。
『自分の目で確かめてください』
今まで信じてきたものは何だったんだろう。
かなりの衝撃だったろうね。信じていたものが崩れるってことが。
追っ手が来る。
追撃してくる飛行機。打ち込まれるミサイル。
かわしてかわして振り切って・・・雲海の中に潜んでいる大きな白い船に吸い込まれる飛行機。
そして迎えに来たミュウの人々・・・
ハーレイを中心に長老たち、ヤエやキムたちもいる。
「ソルジャー・ブルーが言ってたけどすごいミュウなんだって?」
皆口々に「歓迎する」と言うけれどジョミーは頭を抱えてしまう。
なんで自分は知らないのにみんな僕のことを知ってんの!??って感じだよね。
「僕は仲間なんかじゃない!君たちとはちがう!ミュウなんかじゃない!」
ジョミーはわめいてしまう。
最悪。言っちゃいけない一言だね。ミュウ「なんか」ってね。
さすがに原作のように「バケモノ」とは遠慮して言わなかったけどあとでイメージ回復するのに
苦労するほど、ここのジョミーは最悪な出会いを残してしまった。
その強い思いが遠い部屋にいるフィシスにも届く。
フィシスのそばのベッドに横たわっているブルーの姿。
「ジョミー」「彼が来てくれた」
フィシスはジョミーが自分がミュウとして認めないことを心配している。
でもブルーは絶対信頼している。
「大丈夫。彼ならきっと・・・」
めちゃくちゃ嬉しそうな声だけど、身体は眠ったまま。
「お疲れなのですね」
フィシスがやさしくブルーの頬をなでる。
口を薄く開けているブルーの寝顔はきれいで少年のよう。
だれも3世紀生きてるとは思わんよなあ。
ジョミーはある部屋のベッドに座っている。
どうやら一晩たったようだ。
リオがナキネズミを肩に迎えにくる。
ナキネズミがぴょんとおりてジョミーにまとわり付く。すごくジョミーも嬉しそう。
『あなたを恋しがって泣くので・・・・』
和むシーンだね。もうナキナズミがめちゃんこかわいいよ!!
これ以後ジョミーにずっとくっつくことになるね、このナキネズミは!いいな、いいな、かわいいな。
厳しい話の「地球(テラ)へ・・・」だけどこのナキネズミがいるからなんか安心してみていられたし
ずいぶん和ませてもらった気がするよ。マスコットは必要だね!
ヒルマン教授の講義を受けるジョミー。
ミュウは人間から生まれた・・・
テラの環境汚染がすすみ、惑星移民がすすみ、結果としての管理出産、自然分娩の禁止となり
その過程でミュウが生まれてきた。
体が弱い。何か欠けている。ヒルマン教授は義手をはずす。リオに振り向くジョミー。
変に説明せずに画像で見せるのがいいね。
なぜ生まれるか?その理由はわからない。
「もし見つかったら?」
「秘密裏に処分される」
その言葉にやや衝撃を受けた様子のジョミー。
あれれ、いつの間にか講義を聴く人が増えてる???
ここの椅子は大学の講義室みたいだね。なんか少人数編成クラスって感じ。
その後艦内を案内するリオ。
『この船は第一世代の長老たちが人間から奪ったもの』
多分ブルーやゼルやハーレイたちのことなんだろう。
説明のなかで「ステルスデバイス」というのがあった。
これも原作では出てこない言葉だったな。
テレパシー増幅装置。
見つかりたくないという「感情」で船を守っている。
そんな夢みたいなことができるのか。すごいな。
通り過ぎるジョミーに振ってくる思念。
「アレは人間だ」
「ソルジャーブルーが選んだというが今度ばかりは見込み違いだ」
ものすごくぶしつけな否定の感情が伝わってくる。
こういう思念波を防ぐ方法もわからないジョミーは不愉快になってしまい、ますますミュウへの
反感を募らせてしまうことになる。
ああ、なんか最悪だなあ。
寝ているブルーの周囲に集まる長老たち。
口々にジョミーの心配をしている。
「ミュウとしての素質がないんじゃないか」
それに対してブルーは「もう少し彼を見守ってほしい」と告げる。
すごい確信と言うか、信頼と言うか。
うっかりすると「耄碌」しておかしくなっちゃんたんじゃないかと思うぐらいジョミーに甘いブルー。
ここではそうしか見えないけど、秘めたるジョミーの素質を見抜いていたからこその信頼、だったんだろうね。
ジョミーも悩んでいる。
「僕は本当は何者なのか」
「パパ、ママ、会いたいよ・・・」
暗い顔をして歩くジョミーを導くように現れるブルーの姿。ふりかえる姿が儚い。
ここでアップの一つも欲しかったところだけど、いい演出だと思った。
めっちゃくちゃ儚くて切ないね。まるで幽霊のようにすううと滑ってゆくその姿はなんだか精霊か何かのよう。
こうやって船の中を思念体でいつも回っていたのかな。
そんな風に思えるような描き方でわざと説明していないのがいいな。・
導く先にいくと子どもたちのいるセクションに。
転がってきてボールを受け止めるジョミー。
次々と群がる子どもたちにびっくり。そして女の子の一人が問いかける。
「ママってなあに?」
これは後のカリナだね。とってもイミシン。
ジョミーに影響を与え、そして与えられた存在のカリナの幼少の姿。
手をとってジョミーの中の「ママ」のイメージを感じ取ろうとする。
そのイメージが暖かい印象らしく口々に他の子どもたちも「僕も見たい!」とジョミーに群がる。
ジョミーもすごいね。子どもたちの目線に自分の姿勢を落として話する。
典型的な子ども好きな人の印象だよね。
そこにキムたちが「人間にだまされるな!」とけん制する。
キムがつっかかる。殴り合いのけんかになるジョミーとキム・
ジョミーの一撃が効く。ぶっ倒れるキム。ダメージが大きく起き上がれない。
「何をしている!」ハーレイが止める。
そして抱えられて運ばれるキム。
医務室だろうか。手当てされながらハーレイに諭されるジョミー。
キムはジョミーのパンチに予想以上のダメージを受けて、かなり重症のよう。
ジョミーは腕のけがぐらいですんでいる。
体力差か。
キムが思念波を使わずに対等に渡り合おうとしたことを告げるがジョミーにはあいつが挑発したから何が悪い、という論理しかない。
子ども。本当に、この時点のジョミーはこども。
みんな成人検査を邪魔されたから、としか思わないジョミーの思考回路。
僕はミュウじゃない。人間だ!
もどかしいぐらいここのジョミーはかたくなですね。
医務室を飛び出してしまうジョミーは天体の間に迷い込む。
そこは夢でみた光景。階段の上に金髪の美少女が座っている。
夢でみた女性。
「私はフィシス。未来を占うソーシャラー。」
ジョミーのことを知っていたと継げるフィシス。
「私も50年前ソルジャーブルーに救われてここに来ました。」
50年、という歳月に驚くジョミー。目の前のフィシスは少女のように若く美しい。
ミュウは長寿で、姿も若いまま保つことができる。
あなたもそうよ、と言ってるようでなんかすごい。
ジョミーに「ソルジャーブルーの願いを叶えて下さい」と頼むフィシス。
でもジョミーはその当の本人が姿を現さないことに怒っている。
「ソルジャーはお疲れなのです。あなたを救い出すのに力を使いすぎました」
その深い意味がわからずジョミーは切れてしまう。
だれがあんな青年にしか見えないブルーが3世紀生きて、もう寿命が付きかけてると思うだろうか。
天体の間を飛び出してしまうジョミー。
「出て来い!僕の呼びかけに答えろ!!」
それに答えるブルーの声。
「ジョミー、初めて自分の意志で僕の心を呼んでいる。わかるか?」
ジョミーに呼びかけるブルーの声。
重なる画像のブルーがきれいだ。
エレベーターみたいなもので広い部屋に移動するジョミー。
薄暗い空間にぽっかりと浮き上がる天蓋付きのベッド。
長い回廊の行き着く先にそのベッドがあり、人が寝ている。
初めて映像として現れた「青の間」。ブルーの寝室。
これは原作にない幻想的なイメージと設定で、この「青の間」で色々と想像できるのが好きだ。
ここの音楽いいなあ・・・「散り行く花」だっけ。散っていくのはブルーだよね。
見直して音楽の効果に改めて感動。涙出そうで何度も見直しちゃった。
横たわるブルーの寝顔をPANして写す。
長い睫毛。整った鼻に綺麗な唇。流れるような銀の髪。
何もかもみんな美しいブルーの寝顔。
(※BGMについて。確認したら「地球へ」という曲だった。サントラTの最後にあります。
メロディは「散り行く花」と同じだけど、バイオリンソロが切ないです。
まるでブルーのテーマのようです。ああ、「交響組曲・地球(テラ)へ・・」なんて出ないかな・・・・)
ああ、もうこのブルーの寝顔に参ったんだ、きっと。
きれいで端整で物悲しくて色彩も押さえていてまるで質のいい彫刻が横たわっているような
このブルーの寝顔にほれたんだ。
やっぱこの辺かなあ、ブルーに惚れだしたのは・・・・
見た当時はあまり意識してなかったけど、画面にブルーが現れるだけて喜んでいたような気がするよ。
そしてジョミーがやってくるのにあわせてゆっくり起き上がるブルー。
ここ思わずコマ送りしちゃったよ!だってどのポーズも綺麗なんだもん!!!
ええ、ブーツのまんま寝てるよ!??
でも、、、とっても素敵だ・・・つーか、つらいのに一生懸命起きなきゃ、と言う感じで・・・
ここのブルーの画面は近づいていくジョミーから見た視点だと思う。
だんだん近寄っていってアップになる。
伏し目がちな瞳が開けられる。
赤い瞳。ルビーの瞳。なんかすごく少女っぽい。青年と言うより女性っぽく見えるんだ。
思わずジョミーが立ち止まる。
き、きれいでしょう?ジョミー。
ミュウの長、ソルジャー・ブルーは絶世の美青年!!
こんな人がこの世にいるのが奇跡なんだ!
そう思って思わず息を飲んだんだ。そうだきっと!!!きっと一目ぼれだよ!(←脳内妄想開始!)
「こうして会うのは初めてだね」
ゆっくり立ち上がりジョミーに向かうソルジャー・ブルー。
声も素敵だこと!!低い声がとってもしびれる。
心なしかよろめきながら、でもゆっくりとジョミーに向き合おうとする。
でもそんな端整なブルーに向かって恐れ知らずでイライラしてるジョミーは感情をぶつける。
僕はミュウじゃない。
『あんた』が邪魔しなければ成人検査をパスしたかもしれないのに。
僕はこんなところに来たくなかった。
すごいね、ジョミー。まるまる大否定だよ。これは原作でなかった。
原作は早々に「ここしかいるところはない」と自覚して違和感を感じながらもミュウとしての自分を認めようとしていた。
でもこのジョミーはどうしても自分をミュウと認めたくない。
僕は「人間」だ。
この意識が後にとっても重要なのだけど、ここではただの駄々こねにしか見えない。
ソルジャー・ブルーもあえて否定せず、みんなジョミーの言いたいこと言わせてる印象があるね。
こんなかたくななところに自分の大好きなアニメ「海のトリトン」の少年トリトンが
「オレはトリトン族じゃない」と緑の髪でどう見ても外見で他と違うんだけどかたくなに認めない
ガンコな部分を重ねてしまいます。
何にも知らされないでいきなり「あんたフツーの人間じゃないよ」といきなり言われても誰もが否定するよなあ。
ジョミーもそんな「普通の少年」として描いている。環境の急激な変化についていけないんだね、きっと。
そこに好感を持ちます。
「では、どうしたい?」
この問いかけがすごい。
あくまでもジョミーの意志を聞く。
「僕をアタラクシアに帰せ!!!」
「わかった。行くがいい」
これにはジョミーだけでなく自分もびっくり。
てっきり「だめだ。船を下りるのは危険だ」とでも言うかと思ったらリオを呼んで「ジョミーを送ってやってくれ」とまで言う。
リオがすごい。「待機」していたんだね。
ブルーの「側近」というか、手足となって働いているという感じ。
自分はもしジョミーが現れなかったらこのリオが次期ソルジャーになっていたんじゃないかと思います。
アニメオリジナル展開。いったんアタラクシアにBACKするジョミー。
これは期待してしまったよ。すごい展開。
原作どおりに・・・なんて言わないけど、変えるなら面白く変えてくれなきゃ・・・。
でも引き伸ばしすぎだよ・・・・ジョミーがブルーの過去を見せてもらうのはいつだ・・と
ちょっともぞもぞしてしまったよ。原作ではこの出会いのシーンで強制的に過去の追体験だけど・・
アニメジョミーはちょっとガンコでかたくなそうなので、段階が必要なようだ。
あとブルーがジョミーを欲した理由がスルーされてしまったのが不満です。
原作では弱弱しく今にも命の付きかけそうなブルーがジョミーの原始的で生命力旺盛な若い健康な肉体が、それに伴うこういう反抗的な態度までとる「強い意志」が必要、と理解させるがこのアニメテラではそこまでジョミーを欲した理由を説明しない。
こうやっていったんアタラクシアに返すことで納得させたいのかな、とこの時点では思ってしまった。
その後の哀しそうーーーーな顔・・・・・・
エンディングテーマが重なり、青の間をあとにするジョミー。
遠ざかるソルジャー・ブルーの姿。
なんか切なくてかっこいい。
でもブルーは何もかもわかっていたような気がするよ。
だっていったんミュウとして覚醒したジョミーはきっと戻っても違和感があって、必ずここに戻ってくる。
自分の居場所はもうアタラクシアにはないと自覚する。
そうやって自分自身で納得しないと決してこの船にはいてくれない、と見切っての決断だとしたら
ブルーは先の先まで見通していたということになるね。
ものすごい「深謀遠慮」だね。ブルーはすごいや。
この時点ではブルーの年齢については語られていないけど、原作を知らない人はこのブルーを
何歳ぐらいに思ったんだろう。
自分だって原作読んでいなければ3世紀にわたって生きている、なんて思わないもん。
真っ白な頭で見てみたいなあ、と思ったのでした。
全体にこの2話は脚本がよくできてたと思う。
違和感があまりない。ただセリフが多すぎるような気がするな・・・。
仕方ないか。
ミュウとして不完全なジョミーをよく表現していたと思います。
ドッチ ガ タダシイ?