#3エンジンの改造編
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このページは#3エンジンの改造作業をまとめるようにしました。 *内容は淡々と書くためにできるだけ「である」調としました。気を悪くしないで下さい。 尚、本人は偉そうに書いておりますが、結構思い違いがあります。内容の誤り等がありましたら遠慮なく指摘してください。 |
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#3エンジン編 #3エンジンの加工の加工のはじまり 目標仕様 (後付けで書こうとしています) ピストン バルブ周りの重量測定 ロッカーアームの軽量化 ロッカー位置決めスプリングの廃止 バルブコンバート バルブタイミング調整プーリー ベルト駆動ポンプの廃止 ハイポート風インシュレータの作成 特注コンロッド クランクバランス シリンダ ヘッド・ピストン容積 燃焼室とピストンの調整 :1mm面研したときにクリアランス1mmになるようピストントップ加工 組み立て :記録を取る余裕がなかったのでありません エンジン始動 出力チェック チューニング 費用内訳 腰上分解(2007.9.15)
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#3エンジン(350cc)は昨年オークションで購入したものである。最近梱包を外して中を見ると、「!」という点があった。 それは上のほうのエンジンマウントが割れていたことである。最初は軽いクラックだったのだろうが割れが進行して 全部割れてしまったのだろう。これは溶接肉盛り、穴あけ、合わせ目修正研磨コースである。 使えなかったら#1エンジンに新造部分を移植すればいいから気が楽である。 このエンジンの加工メニューは、 1.バルブ回り:@バルブ径拡大(CB1300)、Aバルブステムガイド特注、Bリテナ新造、CバルブスプリングはDRZ400S流用 2.ピストン:隼(GSX1300R)ピストン流用、Aシリンダはボーリングと再メッキ 3.コンロッド:@キャリロ特注、AメタルはCB1300流用 である。 ポート加工は#1、#2と同じであるから詳細は省略する。 大きな狙いは動く部分の軽量化である。多分これをやって初めてグース並みのエンジンとなるはずだ。 今回は比較的短時間で完成できるよう働きかけをすることにした。前回のように伸び伸びになってしまうと、 他にやりたいことを盛り込んでしまい開発費が膨れ上がる恐れがあるからだ。
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〜今回の改造のテーマ〜 改造開始当初のテーマに加えて幾つかのテーマが加わったため、整理することをかねて書き出そう。 (1) 動作部分の軽量化 (2) 加工データの蓄積 (3) エンジン性能に対して定量的指標をもつ 〜大まかな目標〜 ・後輪出力で35ps達成 もしくは達成見込みが得られる ・軽量化(-2kg以上) ・・・・・このくらい 主要な改造ポイントは上の「#3エンジンの加工のはじまり」でも書いた通りで、 それに付随する細かいところは省略。 各改造ポイントでの具体的な細かい目標設定は特にせず、行き当たりばったりで進めた。 |
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ヨシムラとワイセコの隼用ピストン ヨシムラのピストン(圧縮比12:1)はもう1個しかない(2003.9時点の状況)。 私が最後の3個のうち2個を購入してしまったためである。(生産すれば話は別ですが) 重量はピストンピンとリングを合わせて295gと軽い。 ワイセコのピストンは入手が可能だ。 品番:4690M08100(φ81mmピストン、リング、ピン、サークリップ同梱) このピストンはピストントップがフラットでなかなかいい感じである。 しかし、少しゴツくピンも長いためトータル重量はヨシムラのピストンよりも15g程度重い310gである。 ピストン径は80.07mm程度で小さめだった。 価格は通販でUS$119/個+消費税だった。直接オーダーする仕方がわからなかったので、代行業者である UJ NET を利用した。
2004.2.6追記 冷静になって考えてみると、隼のピストンではなくDR350のオーバーサイズ(80mm:ワイセコ品番4576M080000)でも良かった。 しかし、判断した当時に判っていたとしても、コンロッドの作り直しやダメージを受けたシリンダの修復のための ボーリングとメッキが必要で、国内でコンロッドを作成した例もなくメッキ例や治具もない(必要としていないから当然か?)こと から、自分へのチャレンジとしてやはり81mmを選ぶと思う。 2004.6.5 追記 スカート形状はヨシムラ製のほうが剛性感がある。ワイセコは変形しやすく首フリしてしまいそうだ。 しかし、圧縮比には替えられない。 |
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バルブまわりの重量(家庭用ハカリで見た大まかな値)
メモ バルブスプリングセット長とセット荷重
DR-Z400S用バルブスプリングはノーマルのスプリングよりもセット荷重が大きく、かつばね定数も大きい。 バルブ周りの重量がノーマルよりも大きくなければDR-Zのバルブスプリングで大丈夫のようだ。(多分) |
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ロッカーアーム加工は5gの軽量化に留まる。![]() 上がノーマルロッカー(加工個所をマジックで書き込み済み) 中が軽量加工したもの 下がCB1300用ロッカーアームである。 写真では位置の関係でCB1300用ロッカーよりも厚み方向が薄く見えるが同じだけの厚さは確保している。 ⇒4本加工するのが面倒(加工時の騒音と均等な仕上げが嫌)なのと バルブ・リテナは軽量化しており、あえて強度を落とす加工を行い冒険するのは得策ではない ため止めにする。 |
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ロッカー位置決めスプリングの廃止 2003.12.22 2003.12.28 一部修正 ロッカーアームの位置決めにはスプリングを用いているが、これが余計な摩擦力を生み、 円滑な動作を阻害している。ストック状態の#3エンジンはロッカーアームとロッカーシャフトが 一緒に回転運動をしていた。この原因はヘッドにおけるロッカーシャフト周りの加工精度が悪かったり、 スプリングの形状が全周で均一でないために、ロッカーアームが斜めにセットされてしまい シャフトとのクリアランスが無くなってしまうためだと推測している。 スプリングを付けていると動きが渋く、外すと軽く動くのだ。 スプリングの代わりに外径14mmのアルミパイプ(ほぼ内径12mmになる)を挿入し、 スラスト方向のガタが0.1mm程度になるように調整する予定。 ![]() 350ccヘッドの場合、ロッカーアーム間クリアランスは13mm強ある。 補強のための0.5mmワッシャを2枚入れるためスペーサーは12.0〜12.1mmに設定した。 |
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バルブをCB1300のものにコンバートした。バルブのステム長とバルブ径がぴったりだったのだ。 今回、データが取れたので次回別のバルブを使うときも苦労しないですむだろう。 バルブ傘径はIN:31mm,EX:27mmでステム径は5.5mmで無加工。 このバルブに合わせてガイドとシートリングを作成し、スプリング(DRZ400S用)のセット長からリテナーを決めた。 バルブシートは燃焼室側から30度−45度−球面にカットされている。 この一連の作業はNAPRECによるものである。
IN側ポートはこの状態でのエアフロー値を測定後、Bポート化の改造を行う。
(このグラフはプラグ穴をふさぎ忘れたデータなので参考です) 350ccにとっては充分すぎる流量である。 2番目のグラフはポート内に出っ張っているバルブガイドを削除したもので、 ガイド削除による流量の向上はあまりない。手間をかけるだけ無駄である。 3番目のフロー値はガイドありでBポート形状を最適化しない状態だが、流量の伸びが向上している。 4番目のグラフは ガイドなしでチョーク部の高さを3番目のものより狭めたものである。 流量は向上しているようだ。 ガイドなしの効果よりも流量増加が大きく、チョーク部を狭めた影響が大きいかもしれない。 このヘッドはハイカム投入したら抜けすぎのスカスカエンジンになるのだろう。 まずはST-1のカムを試してみるべきだろうか。 2004.6.19 追記 ガーン 上の4つ(+1)のグラフの測定はプラグ穴をふさぎ忘れたため底上げされた値となっていた。単純ミスだ。 下のグラフ(黄色ライン)が穴をふさいだ後の流量である。 Φ36mmポートのバルブなしの全開流量が90CFMであるから、 ポートの流量を使い切っているといえるだろう。(実は最後に測定した) ノーマルのバルブのフロー(紫色:Bポート化+ポート径拡大Φ25mm、青:ノーマルでガイド削除) と比べると、最大流量はBポート化したものと変わらないが、中間開度の流量は多い。 最大流量を増やすには分岐後のポート径を太くすればいいのだが、 充填性やガソリン気化性の点などから必ずしも流量が多い太いポートが良いという訳ではない。 ポート径はこのままにして完成としよう。
2004.7.4 補足 350ccに必要なフロー量は High Performance PONTIACのフロー量グラフ から求めることが出来る。このグラフは排気量と回転数をパラメータにして必要流量を示したグラフである。 グラフでは横軸で21.3キュービックインチ(=350cc)、回転数は8500rpm (今まで書いていないがそこまで伸びるエンジンにしたい)の交点をみると"150CFM” と読める。 この値は測定圧力が25inchH2Oで室温でのフロー量であるから、 私のフローベンチでの測定圧力3000Pa(=12.1inchH2O)、ノルマル流量(0℃1気圧に変換した流量)に 換算しなくてはならない。 換算後の流量は、 Qn = 150[CFM]×√(12.1/25) ×(273+0 [°K])/(273+25 [°K]) =95.6 [CFM] とだいたいいい線である。 クランク出力で38-40PS程度が可能なようである。 後輪出力では3-5PSダウンするので33-37PSのあたりがいいところだろう。(ただし条件が揃えばの話) これは慣性過給や脈動効果による充填率(VE)の向上を含めないでの話で、実際にはある回転数ではピストン容積の 100%以上の充填率となることもある。 エポキシはJ−B WELDのAUTOWELDというものを使用した。パックの裏側の説明書には 「アメリカbP強力接着剤」と書いてある。1気筒に1パック使用で少し余る位だが、余裕を持って作業に臨むのが吉。 ちょっと高いが別の物を使ってポート内で剥離したら目も当てられない。 |
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加工依頼していたバルブタイミング調整プーリーが上がってきた。 しかし、インナーのところどころが30μmくらいアウターより大きく、引っかかって動かず。 アルマイト層をベルトサンダーで削って事なきを得た。 これはアウターとインナーを固定するボルトの逃げ部分の外側部分が膨れているのだ。 アルマイト処理では厳密な仕上がり寸法は算出できないため予測しにくいといえばしにくいが、 もう少し考えて欲しい。 加えて、加工の順番が悪く精度が出せなくなっているのではないのだろうか。 改善を望むところである。 重量はタイプ2よりも軽い290gだった。(ノーマルは210g)鉄ボルトが12本もあるので重い。 チタンボルトを使うと軽くなるかな?でも高いな。 ![]() |
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サトゥルノ好きさんのサイトにある画像BBSにも出していた分解したウォーターポンプであるが、
これを加工してポンプレスにすることを企んでいる。(既に加工は完了) 元ポンプはテンショナープーリー(と同じプーリー)が付くようにハウジング加工とベアリングを固定する ガイドの圧入がされている。 プーリー外径はウォーターポンプのプーリー外径よりも若干小さいため、バルブタイミング の調整が必要となる。 これはハイカム投入時に一緒にバルブタイミング調整するので障害とはならない。 搭載予定の#3エンジンが加工途中であるため、評価は当分先の話となる。 尚、この部品は電動ポンプ装着を前提にしたものであり、ノーマルの状態の冷却系では絶対に装着してはならない。 もしやったら、ヤカンと一緒に走ることになります。 真似をして製作し装着しても一切の動作保証はしません。(製作できる方なら判っているとは思いますが) 製作は行きつけのショップ(モトショップ・シングルロード)にお願いした。 ![]() 2004.11.7 追記 実走行テストでは特に異常は無かった。 機械的なロスや水漏れの心配が無いため気が楽である。ただ、サーモスタットが使えないため水温管理を人手で 行う必要がある。 ちなみに、ウォーターポンプを止めた状態でも自然対流で循環できているらしく、 負荷の軽い通常の走行ではヘッド水温の上昇は見られなかった。負荷が重く発熱が多くなったときに 素早く熱を移動させるのがポンプの役割と思われる。 |
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ハイポート風インシュレータの作成 (不採用) 2003.12.3 ウォーターポンプの改造と同時にエンジンの吸気インテーク角度を10度上向きにするインシュレータを作成した。#3エンジンに搭載予定。 ハイポートにするとバルブ入射角(ポートとバルブの角度)が小さくなり充填効率が向上すること、 空気の位置エネルギーが速度に変換されて慣性により充填効率が向上する。どの程度向上するかは 三菱のテクニカルレポートの 流れ解析に基づく吸気ポートの研究開発 (pdf:496KB) を読んでいただきたい。 しかし、今回のインシュレータはあくまでもハイポート風であり、 位置エネルギーを速度に変換するだけ(ポート流速がわずか0.8m/s上昇する程度)で効果はほとんどない。 気分の問題である。 あと、キャブから出たガソリンが流れやすくなるので低回転時のスロットルレスポンスが変わるかもしれない。 ![]() 取り付けは中止 2004.7.18 タンクにFCRキャブが干渉するため、インシュレータは付けられなかった。 デロルトだったら可能かもしれない。 |
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キャレロ製コンロッドを特注するにあたり、クランクピン径やコンロッド幅、長さ等を測定した。 これをもとにピストンのピンハイトを考慮してコンロッドの寸法を決定した。(2004.2.8 特注コンロッド実測・修正) 依頼先は ベビーフェイス である。
2003.12.29 追記 クランクピンが基準値を割り込んで既に終わった感のあるクランクだがCB1300のクランクよりも0.015mm太い。 正常なクランクを使うとさらに0.015mm太くなる。 大端径をこのクランクに合わせて設定すると最大径のクランクのときに、 一番薄いメタルでもクリアランス不足となるかもしれないので汎用性を持たせる寸法にしてみた。 (私以外の誰が組むのだろうか?という疑問はここでは持たないことにして) 1回組んでみて一通りイジメたあと問題なければ、それはそれでいい事にしよう。 そういえば、クランクピン径が大きくなる分コンロッド大端径を広げたけど、メタルのクラッシュハイト(*1)確保は 大丈夫なんだっけ? ・・・・・考えないことにしよう。 やっぱり少し小さめにすればよかったかな。心配になってきた。 ⇒クランク−コンロッドクリアランス測定時に確認したががマイナスではなかった。(2004.2.8) *1:クラッシュハイトはコンロッド大端にメタルを入れたときにメタルが合わせ面よりわずかに突き出る量のことで、 ピストンの慣性によりコンロッドが引っ張られ、変形したときにもメタルがコンロッドに密着できるようにするための 締め代である・・・と私は理解している。 コンロッド到着 2004.2.5 キャレロのコンロッドが到着した。 早速、寸法が指定どおりか確認してみる。 表に寸法を記入した。 ![]() |
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クランクバランス 2004.2.8 2004.7.3 測定値を追記 クランクバランスを取るために再度計算式に出てきてもらおう。数値は NAPRECで測定した値である。
クランクバランス率を100%にするためには以下の式のようにしなければならない。 クランクウェイト質量=1/2×往復部分質量((1)+(2)+(3)+(4))+コンロッド大端部分質量((5))= 584.5 g バランサ質量=1/2×往復部分質量((1)+(2)+(3)+(4)) = 225.0 gバランサは 〜バランサ実測の図〜 多くを語る必要はないだろう・・・・
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ボーリング(φ80→φ81mm)とニカジルめっき、ホーニングをクシゲプロダクツ経由で依頼した。 クリアランスは、ワイセコピストンなので無難な線で50μmとした。ボア内径を測定したがぴったり指定通りだった。 流石ワークスも使用しているラインだ。 今回は治具を作成する予定だったが、いろいろあって治具は作成せずに済ますことができ、安上がりだった。 外観仕上がりはつや消しの白地になっている。 ![]() |
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ヘッドとピストンの隙間容積を測定した。
これらの値から、ピストントップがシリンダ上面と面一になってると仮定した場合の 圧縮比を計算してみる。 圧縮比=(隙間容積+行程容積)/隙間容積 =(31.0 + 4.7 + 5.2 + 358) / (31.0 + 4.7 + 5.2 ) = 9.8 このHPには掲載していないが圧縮比の予想値は計算してあり、概ねその通りである。 ヘッド容積の測定1回目に密封用グリスを厚く盛りすぎていて正確な値が得られなかった。再度測定したところ 予想した容積となった。内心ほっとした。 もしそのままの容積だった場合、圧縮比8.8のドロロンエンジンになってしまうかと思い気が遠くなった。 最終的には圧縮比を11近くまで上げたい。 エンジンシミュレーションソフトによると圧縮比が1上昇すると出力は7000rpmで概ね1ps向上するようだ。 また、ピストンスカートの形状をノーマル形状から超ミニスカート形状にした場合、1.5ps、少なく見ても1psは向上するようだ。 現行#1エンジンの後輪出力は34psであるから、圧縮比の低下、スカート形状、ポート加工の影響を考えると、 出力=34−2+1+(0〜3?) =33〜36ps ? 大層な皮算用である。 |
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エンジン組み立て後に始動してみた。BBSにも書いたが、再度まとめてみることにする。 −オイル− 新しいオイルフィルタ購入後、モトレックス powersynt5w-40を2リットル注入した。 このオイルを使うのは初めてだが案外良いという話なので使ってみる。 −始動− キックなのでなるべく涼しい日陰で始動、20回くらいキックしたところでようやく始動した。 始動直後の印象は振動が多く荒っぽいエンジンと感じた。 圧縮比9.8のエンジンにしては荒い。バランスを間違えたかな?いやそんなことはない、 アクセルオフしたときは振動が消える・・・・・・など考えながら暖気をした。 −慣らし− 暖気後周辺の道をナラシに出かけた。 回転数の制限は、最高回転数の40%である3200rpmで3500rpmは超えないように心がけた。 バースト状に出来る限りの負荷をかけられるようにスロットルを捻り、エンジンブレーキも多用した。 やはり全体に乱暴で粗野な感じがする。まだ当たりが取れていないのでそう感じるのかもしれない。 3000rpmまでではあるが、今まで搭載していた#1エンジンよりも力強いように感じた。 この力強さはIN側のバルブタイミングによるものかもしれない。 #1エンジンの時にIN側バルブタイミングを進めた時と同じようなゴリゴリ感がある。 動弁系の質量とスプリング荷重が変わったのでベルトの伸びによる遅れ分が少なくなっているのかもしれない。 バルブタイミングは IN側 open:27°BTDC,close:43°ABDC(1mmリフト時) ローブセンター103°(非対称カム) EX側 open:56°BBDC,close:19°ATDC(1mmリフト時) ローブセンター111°(非対称カム) IN側を5°くらい遅らせてもいいのかもしれない。 −油温、水温− 外気温30℃くらいで、やや渋滞気味の時に水温計は70℃あたり、油温計は95-100℃ 気持ちよく走ると水温計は65℃、油温計は90℃ ヘッド出口には電動ポンプ用サーモスイッチを取り付けてあり、水温60℃くらいから自動で ポンプが回り出すようになっているためあまりオーバークールを心配する必要はない。 油温は高め 油温が高い理由は、ピストンリングがシリンダと密着していないこと、 ピストンスカートが短くシリンダ側に熱が逃げにくいためピストン温度が高く油温が上がりやすい、 そもそもアタリがきつい?などが考えられる。ナラシ中で温度が下がらないようだったら オイル交換、まだ駄目なら一度ヘッド、シリンダを分解してみようと思っている。 2004.7.25 追記 −バランサシャフトの確認− 振動の発生はおかしいので右カバーを開けてクランクとバランサシャフトのタイミングを確認した。 クランクの端にはクランクピン位置を示す凹みがある。この位置とギヤの合わせマークを確認したが問題なし。 クランクとバランサシャフトは一対のギヤを介して連結されている。この関係も問題なし。 バランサシャフトとギヤの関係を確認すると様子がおかしい。何となくずれている。 #1エンジンではバランサシャフトにつくギヤ側にマーキングがあってバランサシャフト端のマーキングと 合わせればよかったが、 このエンジンのギヤにはマーキングがない。どうやってタイミングを合わせたのか、自分で不安になってきた。 ちなみにバランサシャフト端のマーキングはウェイト側と反対側についている。 こういうときはマーキングに頼らず、正しい位置に合わせることを考える。 クランクのマーキングとバランサのマーキングをそれぞれ12時の位置に合わせ、ギヤを掛けなおす。これでいいのだ。 クラッチの異常を示す兆候はなかった。もしかすると、クラッチ板が減って間にオイルが入りにくく なっているだけかもしれない。 それから相変わらずキックシャフトの装着は梃子摺る。対面10mmのロングナットがあればいいのだが・・・・ この変更を行った後オイルを広高のKZ4STスペシャルを入れて走ってみた。 振動は殆どなくなった。しかし#1エンジンよりは出る。 油温は90〜100℃、水温は60〜70℃で前回と変化なし。全体に潤滑は良くなった印象を受けた。 ただ振動が取れてそう感じるのかもしれない。 クラッチは油温が上がると切れなくなるようだ。気をつければ何とかなるだろうか・・・・ 来週再度分解してクラッチプレートの状態確認とシャフトのブッシュ類が変に当たっていないか確認してみよう。 2004.7.28 追記 土曜出勤だったので代休を取りクラッチ周りを点検した。 クラッチスプリングを外した状態で出力シャフトを回してみると・・・重い。 やはりクラッチプレートとフリクションプレートに問題があるようだ。 インナードラムとプレートを一緒に外してハウジングだけの動きを見ると、何ともなくスルリと動く。ブッシュは問題ない。 同軸部分のスラスト方向のクリアランスが殆どないように見えるし、ワッシャがややササクレているようにも見える。 ここも怪しいのでワッシャを裏返してオイル漬けで組み込んだ。 次にクラッチプレートだが、1枚1枚見ていくと、オイルの殆ど付着していないものがある。 ・・・・ここは手を抜いて組んだところなので偉そうな事は言えない。基本どおりオイルに浸してから組み込んだ。 組み上げて動作確認すると、きちんとクラッチは切れるようだ。やや離れにくいような気がするが、こんなものかもしれない。 まだエンジンはかけていない。 2004.8.4 追記 休みの日の朝、暑くない早い時間に走り回ってみた。 今までの最高回転数は9000rpm、トルクの出方は5000rpmから7000rpmまでフラットに、 7000rpmから8000rpmの間に盛り上がり有り、8000rpm以上では低下傾向にあるようだ。 下の回転は、4速以上でなければアイドリングの1400rpmから使うことの出来る乗りやすい回り方をする。 クラッチは相変わらず完全には切れない。シフトアップ/ダウンに気を使う必要がある。当分この仕様で乗ってみるか。 キャブセッティングはやや薄めになっていた。 セッティング自体は冬の#1エンジン用のままだったが薄い部分が多かった。夏に使うと濃い目に出るはずなのだが・・・ アイドル〜2000-4000rpm、全閉〜1/16開度:14.7 2000-4000rpm、1/16〜1/8開度:11 加速ポンプが働くため 2000-4000rpm、1/8開度以上:14 5000-6000rpm、全開:13.5 6000-7000rpm、全開:13.0 7000-9000rpm、全開:12.5 加速ポンプが利かない開度で走行するとプラグはカラカラで完全に焼けている色になっていた。 ピストントップは狐色だった。 加速ポンプが利く開度を多用するとプラグ外周が黒くなっていた。 全体的に焼けているのはNGK8番相当の熱価のプラグを使っているからだろうか。 そういえば、クラッチプレートは両面ツルツルだったな・・・・ こいつはおかしい。片面だけエンボス加工されていたはずなんだけど・・・ それから細かく余計な加工が多くて困ります。 |
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パワーチェックをしてみた。暑く気力もないのでセッティング変更はぜず、現状のデータのみとした。![]() #1エンジンIN103°EX111°(赤), #3エンジンIN105°EX111°(青) いつものようにDr.SUDAへ行って測定を行った。 結果はだいたい予想した通りの範囲内で、後輪出力で35psくらいである。全域でトルクが上昇しているのがわかるが 350ccから358ccへボアアップしているので2%を差し引いて見なければいけない。 グラフに示した圧縮比11の#1エンジンの出力特性より圧縮比9.8の#3エンジンが実用域で勝ると言うのは驚きだ。 吸入可能な空気の量が増えたこともあるが、 ピストン、クランクのバランスを取っての軽量化、ピストンスカートの縮小、コンロッドメタルの細幅化、 ウォーターポンプの撤去, ワンウェイクラッチ撤去等で回転慣性やフリクションが減少したためだと考えられる。 (これを書いた後、燃焼速度の改善で全域トルク上昇のシミュレーション結果が得られた。このため、 燃焼速度が向上していることもパワー増加の一因であるということがわかった) ここから更に面研1mmを実施で+1ps、カムタイミングを煮詰め、キャブもFCR41を使用すると+1psの 合わせて2psくらいは上がりそうだ。 しかし、上を見ると際限がないので、ストリートの使用を前提とした場合はこの程度でヨシとし、 サーキットに持ち込みレースに出る場合は別途チューニング作業を実施することにしよう。 そうした場合、エンジン内部よりも外部即ち、エキゾーストの設定を変えたほうが良いのかもしれない。 実は Dr.SUDAの前に別のショップに行ってパワーチェックをしたが、プリンタ故障中ということで紙データなしだった。 その計測では後輪出力36ps、エンジン出力46ps、エンジントルク4.1kg・mだった。トルクピークは7000-7200rpmにあった。 そうそう外れてはいない。 古いエンジンの中身をごっそりと作り替えると”こうなります”という例になってしまった感じがする。 |
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エンジンチューニングは馬鹿のやることだ。莫大な金と時間をかけ、
エンジン寿命を削って僅かなパワーを得る・・・だったようなことを
マンガ中ののチューナーがいっていたっけ。 実にその通りだ。 かかった費用(税込み)推定金額も含む
これにはベアリングやオイルシールが入っていない。 この加工の結果、出力の向上はあって僅かに5ps(15%向上)程なのだ。実に割に合わない。 出力(トルク)を確保するならエンジン積み替えたりボアアップをしたほうがいい。 ではなぜやるのか。それはエンジンの可能性を調べるため、出力向上策は期待通りの出来なのか 確認するため、出来る限りの開発を行っているのだ。 有効なものがわかれば後の人はきっと楽になるだろう。 |
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車検が切れたので全く触れていなかったが、全国ミーティングに間に合うよう復活を目論んだ。 エンジンはピストン(DR350用80mmのワイセコ)・シリンダ(純正)への交換である。面倒なので写真を置く。 ![]() ヘッドを外してすぐのとき(後ろから) 汚れがたまっていた ![]() ヘッドを外してすぐのとき(横から) ![]() ヘッド裏 加速ポンプがわずかに効いていて燃焼室は黒いです。燃焼温度は高いようだ。 ![]() ピストンスカート(EX側) ピストンにはモリブデン塗装スプレー(名前失念)を塗ってあった。 剥げてます。ピストンの変形がわかるか? ![]() 同上 下から ![]() ピストンヘッド部分 ガス流動がわかる?運転回転数が高回転と低回転のときの違いなのだろうか・・・ ![]() ピストンピンは普通だった。 2007.9.19 追記 三菱のテクニカルレビュー[PDF]スキッシュピストンによる燃焼の改善では、ポート形状(ノーマル/タンブル)、ピストンヘッド(斜めスキッシュ/フラット)、燃焼室のスキッシュの違いによる、燃焼室内のガス流れ解析や、燃焼圧力を測定している。これはトヨタのR&DレビューVol33 No.3(1998)の追試のようでもある。 燃焼室の流れ解析を見ると、燃焼ガスが集中しているのは燃焼室の排気バルブ寄りで、ちょうどピストンヘッドのカーボンが溜まっている部分に相当する。 また、ヘッドのスキッシュについては、吸気側+排気側のスキッシュ(縦の対)と吸気−排気にかけて(横の対)のスキッシュヘッドについての縦+横のスキッシュがある方が燃焼速度が早いが高回転では燃焼速度が早すぎて点火時期が遅れること、スキッシュに熱がこもって縦の対よりも出力が低い結果が出たようである。 エンジンをぶん回して使うなら横の対のスキッシュは切り取っておくほうがいいかもしれない。 ピストンヘッド写真からは横のスキッシュの影響でガスが燃焼室の中心方向に押し込められているようにも見えるし、 吸気側リセスの横方向が白くなっている部分は中心->リセス->横方向スキッシュ->排気バルブ方向へ、と燃焼ガスが流れ込んでいるようだ。ここは中心から遠いところにリセスの空間があって未燃焼ガスが溜まるためノックしやすい部分になるのかもしれない。 |
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