オーダー自転車ができるまで

ドキュメント・オーダー自転車ができるまで

Vol.3

「駆動系を吟味」

frame3.JPG当初は変速性能を考えMTBコンポ搭載も考えていました。●10月~11月 フロントドライブトレイン周りの仕様検討44T仕様にした場合、FDガイドプレイトとチェーンステイとの干渉がネックとなるため様々な仕様を検討。

1,MTB用FD
ロード用FDと比較しガイドプレイトのドロップ幅が違うかもと期待したが同じと判明。

2,カンパCT
2005年モデルでコンパクトドライブ用FDがリリースされると聞き、カタログを見るがやや高価。(ガイドプレイトの外側がカーボン製ですから)

3,図面ならびに実車検証
FDとチェーンステイのクリアランスとシフトフィールを検証。

●12月4日(土)
これまでの検討データを整理。加えてアウタートップ44T*11T時の期待点、懸念点を洗い出し。

【44*11Tの期待点】
アウターが小型化することでギア板のたわみが少なくなる。小さくなることで軽量化できる。

【44*11Tの懸念点】
11TはRがきつく、チェーンのピン部分の折れ曲がり角度がきつくなる。チェーンへの負担や摩擦値に対して懸念が。。。(MTBで実績があるので断定はしませんが)

リスクを内在して事を進めるより、同程度のギア比が得られるF48*36T、R12-23 10Sに仕様を決定。これで全ての仕様が決まり、あとは納車を待つだけとなりました。





Vol.4

「納車」

newbike.jpg納品時の状態です この後も色々組み替えています●4月10日(日)納車
ついに納車。木曜日からブレーキレバーの左右等、最終確認をメールでやり取り。嫌が上にも気持ちが盛り上がってくる。朝は子供達の水泳教室があるので、そちらの送迎を終えて昼からキャファに向かう事にしていたのだが車が修理のため無い事が判明(T_T)。あれこれ代替案を考えるが、待ちきれずバスと電車を乗り継いで迎えにいく事にする。(持ち込みのホイールを両手に携えて移動する姿が滑稽)

バイクと対面。私の片思いに応える最高の出来栄え。帰路、チョイ乗りではあったが好感触。早く週末にならないかと指折り数える。

●4月16、23日(土)ファーストインプレッション
べた惚れである。乗車中は「これええな~」を連発しながら悦にいる。

01/腰が痛くない。
初乗り2回目にして5時間超のライド。にも関わらず腰にこない。アップライトなポジションに加えて腰を無理なく屈めたその先に DHバーが存在する。オーダー車はいい。また、グリップ位置を前後に可変できる浅曲がりDHバーの効果も大きい。

02/マイクロドライブがいい。
アウター48Tのお陰でスプロケは1段重いところを踏める。12T~ 19Tまでは1段刻みなので歯数を余す事なく性能を享受できる。

03/衝撃吸収が良いのによく進む
二律背面のテーマを高次元で実現。ロードノイズは感じないマイルドさ、上りでトルクが掛かってもよれないガッチリ感。フォーク、ダウンチューブ、チェーンステイなど複数の仕様が相まっての印象。コメントすらでき ない驚愕のレベル。

04/下りが楽しい。
ドロップハンドルでも怖いと思った事はないが、トライバーを使うと如何にムリをして乗っていたかを思い知る。ブレーキをかけ易いし、上体が起きているため腕に加重がかからない。 Profileのフォークもふにゃふにゃしないので思い通りのラインから外れない。調子に乗って飛ばしすぎないように注意が必要かも。

唯一、気になったのはダンシングのやり難さ。ハンドルを手前にし腰への負担軽減を優先した為であるが、ちょっとしたコツとセッティングの変更でクリア。ん~乗り手以外に弱点が見つからない。

●最後に
前車のLOOKに乗り換えた時も快適さに驚いたが、今回は前回を上回る驚きだった。自転車には色々な事を求められるが、「乗っていて楽しい。もっと走りたくなる。」という要素が最も重要だと私は考える。今回のバイクは私の要求への満額回答であり、全てに応えて下さった辻本さん、高村さん、上村さん、本当にありがとうございました。

#辻本から/
ずいぶん誉めていただいて嬉しさ半分、恥ずさ半分と言うところです。言い訳を少し。

・納期
うちの最大の弱点は納期がいい加減なことです。「大体2ヶ月くらいで完成します」と言ってますが、3ヶ月はざらです。楠さんの場合は生地も遅れましたが、さらに塗装でも大幅に遅れました。指定が難しい色だったので塗装業者でかなり寝ていました。当初は普通の塗料で挑戦していただいたのですがどうしても無理だという結論に達し、それから塗料捜し、色合わせとどんどん遅れました。

またブルゴーニュさんのご希望でMTB用のクランクを使えるフレームにしようとしたので極太チェンステーをBB下へオフセットしました。結果的にクランクはSUGINO COSPEAを使うことになったのでオフセット加工は無駄になりましたが、チェンがチェンステーを打ちにくくなりました。実はこのバックは2セット目です。1セット目は思うようなサイズに出来なかったのでボツにしました。

・下りの速さと安定感
衝撃吸収性の高いフレームとトライバー(H型ハンドル)の取り合わせは無敵のダウンヒル性能を誇ります。さらに低重心設計が効果的です。私自身、始めて試作車に乗ったとき、スピードを出しすぎて危うく谷底に落ちるところでした。

・ダンシング
ドロップハンドルとはバーのグリップ位置や形状が異なるので慣れるまで違和感があると思いますが、若干の上下とバーの傾きを自分のセッティングに合わせることで解消するはずです。

キャファ通信より転載