データーの回復     華室 夷蔵 
誤操作などで消してしまったり、事故や故障で消えたしまったデジカメの写真データーの回復、パソコンのデーターの修復方法を解説します。無料の、自力回復が可能な方法も紹介します。   メール(rec)
  
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上段は本ホームページの他テーマ、下段はこのテーマのメニューです。
1.データー回復の原理  2.データー回復の実際 3. フリーソフトによる回復 4.ハードディスクの回復
5.CD/DVDの回復   6.補足・注意事項  予備  予備
まえがき
 ある調査によると、誤操作・事故によりパソコンのデーターの消失を経験したことがある人は約75%だとか。単に間違って消去しただけなら「ゴミ箱」から復帰できますが、「ゴミ箱」からも消去した後では、データーの修復、復元、復活、回復、リカバリーは簡単にはできません。
 デジカメのデーターカード内の画像データーは、消去すると「ゴミ箱」を介さずデーターカードから直接消去されるので、パソコンの基本ソフトだけでは回復が困難です。
 デジカメでは誤操作以外にもカードの故障・不具合・原因不明の事故でせっかく撮った写真が読み出せなくなることがあります。
業者に依頼すれば、復元してもらえますが、費用は4GBで2万円〜となっています。

 例えば:日本デジタル写真復旧センターhttp://data119.jp/photo/menu.html)など
 症状としては、「メモリーカードのデーターが読み出せない」であっても軽症・中傷・重症・破損
と程度が異なります。
 軽症の場合なら、ご自身で回復されると費用は0円で簡単に回復できます。中傷はそれなりの手当て(パソコンの操作・知識)と回復専用ソフト(1万円前後)は必要ですが回復可能です。
 重症・破損は、個人では不可能で専門業者の技術が必要ですが、費用も場合によっては十万円以上します。
 消去されたデーターはメモリーカードに直接回復されるのではなく、パソコンのハードディスク上にデーターとして回復されます。
 1.データー回復の原理

1.1  カード内のデーター構造

 メモリーカード(コンパクトフラッシュ、マイクロドライブ、SDカード)のデーターの復元方法を説明する前に、メモリーカード内でデーターがどのように記録・保存されているか説明します。
 メモリーカードに限らずハードディスクやフロッピーなどパソコンに使用されているメモリーを本やノートにたとえると、目次と内容を記載したページのような組み合わせになっています。


専門用語ではそれぞれのFAT、クラスター、セクターなどと呼んでいますがここではわかりやすいように目次とページで統一しておきます。

まず目次は以下のようになっています

 名前  識別データ  最初のページ
PHOTO1  識別データ1  2
PHOTO2  識別データ2  8
PHOTO3  識別データ3  15
 以下略    

 識別データは、日付作成者など識別用のデーターなどですがここでは無視します。
PHOTO1の最初のページは2ページであることを指示しているので2ページを見ると

 始めの識別記号(I)  PHOTO1の識別コード・内容の一部  次のページ(例3)

識別コードとは、1データーの種類を記述した部分でWord、Exel、Jpeg、Rawなどを識別できるようになっています。
次のページとして指示された3ページをみると

 前のページ(2)  PHOTO1のデーター  次のページ(例6)

続けて指示された6ページは

 前のページ(3)  PHOTO1のデーター 終わりの記号(EOD)

すなわち;各ページの最初はその前のページ⇒データーの内容⇒次のページで構成されています。
 以上のようにしてPHOTO1は、2ページ→3ページ→6ページで終わりであることがわかります。

この状態で例えばPHOTO1を消去すると目次は

 名前  識別データ  最初のページ
 HOTO1  識別データ1  2
PHOTO2  識別データ2  8
PHOTO3  識別データ3  15
 以下略    

となってデーターの名前の最初の一文字(ここではP)だけが消去されます。

2ページは

   PHOTO1の識別コード・内容の一部  次のページ(例3)

3ページは

   PHOTO1のデーター  次のページ(例6)

6ページは

 PHOTO1のデーター  終わりの記号(EOD)

になり、データーを消去しても各ページの最初だけが消去されます。
 すなわち目次の最初の一文字と各ページの初めを消去しただけで、データーの内容そのものは消去されておらず、次のページが何処にあるかもわかるようになっています。

 また各ページの最初が空白ならそのページは使用されていないので書き込んでも良いという指標マークになり、新しいデーターを書きこむ時は各ページの始めを見て空白のページに書き込みます。今の場合は2,3,6ページは書き込んでも良いページになります。

 フォーマットした時には、目次のデーターを空白にし、全ページの初めを空白にします。データーの中身は削除していません

1.2:データー回復の原理

 したがって、データーを消去した直後でまだ何も書き込んでない場合なら、何らかの方法で目次をみて□HOTO1を追いかけていくと、2ページ⇒3ページ⇒6ページ迄で□HOTO1の内容が復元できます。
 これをタイプAの復元(ファイルサーチ)とします。ただし、□HOTO1のはじめの文字(ここではP)は復元できません。
 ここでもし2,3,6ページに新しいデーターを書き込んであるとPHOTO1は復元不可能になります。ですから、間違って消したことに気がついたらメモリーカードの使用を直ちに終了してください。

 
次に、フォーマットされてデーターの名前はなくなっても、各ページの始めの方の内容、ここでは2ページの識別コードをみて何らかのデーターの始めのページらしいと判断すれば、2ページ⇒3ページ⇒6ページと追いかけて無名ですがデーター内容は復元できる可能性もあります。これをタイプBの復元(クラスターサーチ)とします。JPEGかRAWかなどはデーターの識別コードを見て復元ソフトで判断・決定します。
 ただし、消去されたページに何らかの書き込みがなされたら不可能になるので、万一誤ってフォーマットしたり、あるいは何らかの原因でメモリーが読めなくなったら、直ちに使用を中止してください。ここで、直ちに使用を中止とは一切のアクセスを中止することで、画像ビュアーで見ることも中止してください。
 ユーザーが書き込みを意識しなくても、プログラムによっては勝手に空きページをメモ用紙代わりに使用し後で削除することがあるそうです。このメモ用紙代わりに使用したページが誤って削除したページだと復元できなくなります。
 デジタルカメラの仕様で、目次の部分がWindowsの書式にしたがっていない場合には、データを間違って消した場合にはタイプAの回復はできませんが、、データー部分はWindowsの書式にしたがっている場合は、タイプBの回復で消えたデータが復元できることもあります。
 また、デジカメのカード使用中に何らかの障害が発生し、突然「フォーマットしてください」と表示されることがありますが、このときも絶対にフォーマットせず直ちに使用を中止してください。
  私も一度経験したことがあります。このときはわけがわからず表示にしたがってフォーマットしてしまい後の復元で非常に苦労しました。読者の多くの方が今は復元の必要が無いと思います。
 万一のため、誤って消去したり読めなくなったりしたら直ちに使用を中止しソフトで復元するまで一切のアクセスはしないことだけは覚えておいてください。

 2.データーの回復の実際

2.1:データーの復元の実験


 ここでは、手持ちの復元ソフトで復元します。

 私は、パソコンのハードディスクの回復もできるように汎用の回復ソフト「完全データー復元」を使っています。
 同等品に「ファイナルデーター」もありますが、これは回復できるデーターのサイズに制限(15MB以下)があり画素数の多くなった、手持ちカメラのRAWデーターの回復ができませんでした。
 それぞれ、デジカメデータ専用の回復ソフトもあり、写真データだけなら若干安価で。使い易いと思います。それぞれ体験版がありますから、トラブルが発生して本当に必要になる前に、ダウンロードして試用してみてはいかがでしょうか?。
 500MBのCFカード
に、NIKONのD3でRAW(NEF)とJPEGの同時保存の場合で、1枚のCFカードに19組の写真を保存できます。
 
 @まず、19枚のうちの1組を消去し、復元させると問題なく回復できます。
 A次に、5組を消去し1枚だけ撮影した後に復元させると、消去した4組は復元できました。
 以上は上記のタイプAの復元です。
 Bカメラでフォーマットした後に何も撮していない場合は、タイプAの復元は不可能でタイプBの復元になりますが、すべての写真が復元できました。
 Cフォーマットした後1枚だけ撮影してから復元すると19−1枚の18枚ではなく17枚が復元できました。
  消去した1枚分の領域ではなく、2枚分の領域に跨って書き込まれたことになります。
  AになるかCになるかは運しだいです。回復が必要になったメモリーカードは回復処理をするまで何もしないことが重要です。

2.2:データー回復の実行

2.2.1:消えたデータの回復

 データー回復ソフト(完全復元)を実行させるとサーチを開始して、回復の可能性のあるデーターの一覧が表示されます。
 その中から、目的のデーターを選んで回復させハードディスクに保存させます。
 タイプAの復元は元のファイル名の初めの一文字が削除されるだけですから、たいていは問題なく通常のデーターと同様に扱うことが可能です。
 タイプBの回復は、元のファイル名は無くなって、たとえばページxyz.JPGのように回復されます。
 JPEGの場合は、データーの構造がWindows標準なので回復ソフトに備わっている、プレビューで確認して必要なデーターだけを回復できます。
 ところが、RAWの場合はプレビュー不可能なのでとりあえず全部のファイルを回復しておき、後で一つずつ確認して保存なり削除なりすることが必要で結構面倒です※。さらに単純にはRAW現像ソフトでも読めず若干の処置・手当てが必要になることもあります。

 ※他の正常なデーターサイズと比べて極端に小さかったり大きすぎるデータデータは、復元できないことが多くデーターのサイズでもある程度の判定はできます。
 
 初めに標準的なデーターの構造を説明しましたが、これを「標準語」とするとJPEGのファイルはメーカー・機種が異なってもWindows標準仕様から大きくは外れずデーターが作られているので標準語類似と考えてよく、タイプBの復元も可能です。
 RAWはカメラメーカー各社の独自の構成、いわば「方言」になっているので回復ソフトで方言の解読が不可能になることもあるようです。
あるいは、画像データーでよく使われるRAWとTIFFはデーターの構造が似ているので回復ソフトで誤判定しRAWをTIFFとして回復されることがあります。そのような場合には当然現像ソフトでは画像が復元できません。現像ソフトで見るためには回復されたデーターの拡張子(XYZ.TIFの”TIF”の部分)をRAW例えばニコン製のカメラなら”NEF”に変えることが必要です。
拡張子変更ソフトは例えば

http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/util/se085018.html
など

 以上のことを考慮すると万一の時にもJPEGは復元できる可能性が高いので撮影時にRAWとJPEGの両方を記録させておくことを薦めます。なお、データーの構成自体が方言になっていて回復が非常に難しいメーカー・カメラもあるようです。

2.2.2:故障したカードの回復・転送と修復・修正

 メモリーカードの一部に傷などの欠陥ができてデーターが読めなくなることもあります。このような場合に例えば100枚の写真データがあって、35枚目を記録した部分に欠陥があっても34枚目までは正常に読み出せます。35枚目が読み出せないので、そこを飛ばして36枚目を読み出そうとしてもエラー表示がでて読み出せないことがあります。そのような時はあせらないで、一旦データーの安全な取り外しやパソコンのリセットを行って、再度挿入し、エクスプローラ等で36枚目から転送すると正常に転送できることがあります。傷が大きい場合は37枚目からetc。
 これは、エクスプローラ等の転送ソフトは、データーの一部に不良があるとそれ以降は読まないようになっていること、および不良があることを一時的に記憶しているための弊害です。したがってデーターの安全な取り外しを行って一時的に記憶している不良データーを解除すれば故障箇所以降のデーターも読み出せるようになります。データー転送の安全性のための処置なのでしょうが、場合によっては副作用となると推定されます。

2.2.3:写真データーの修正
 メモリーカードにエラーがある時、温度などの動作条件を変えながら読み出すとエラーが減少することがあります。
 図2.2.3Aは、通常の現像ソフト(Capture−NX2やPhotoshopなど)ではエラーがあって読めないマイクロドライブのデーターを回復ソフト(完全復元)を使って室温で読み出したデーターを、Capture−NX2で再度読み込んだ時のエラーを含んだ写真です。
 図2.2.3Bはカードリーダーを温度の高い所に置いて回復ソフトで何回か読み出し、エラーの少ない時の写真です。運が良ければこのようなこともあります。
 RAWデーターはエラーを含め元画像のデーターが圧縮(変形)されずに残っていますからこのようなこともできることがあります。JPEG等の圧縮データーは一部にエラーがあると復元は非常に難しくなります。
 図2.2.3Cは図2.2.Bを画像処理(Photoshop)で修正した写真です。
 まだ変色部は残っていますがかなり回復できています。
 写真データの完全な回復は不可能ですが、一連の記録写真などの一枚で傷が有っても良いから使える部分は使いたい場合に有効です

 
図2.2.3A:データーの回復後そのまま普通に読み出し 。  図2.2.3B:温度を上げて、回復させて読み出すとエラーが減った。 図2.2.3C:画像処理で変色部を修正

 上記のように写真のデータは若干の傷・変色部が残ってしまいます。
 「データーにわずかでも傷があれば使わない」と考えるか、「傷が有っても使えるところは使う」と考えるかの差であって、どっちが正しいと言うことではなく時と場合で使い分けるのが良いと考えます。

2.3:カードが認識できない場合

 何らかの原因で目次の部分が破損した場合、カードを挿入しても何も認識できないことがあります。
 このような場合でも、通常の論理ドライブではなく物理ドライブを選択することによって、消えたデーターの回復ができることもあります。エキスプローラを初め通常のソフトは安全面から「データーに傷があれば使わない」ようにできています。そのため論理ドライブの目次部分が読み出せないとその論理ドライブはないとみなされます。一方回復ソフトは傷があっても使えるところは使うように機能します。したがって物理ドライブを選択してサーチすれば回復できる可能性があります。
 物理ドライブとはハードディスクやメモリーカードなどのメディアそのもので、ノートに罫線を引くように、メディアをフォーマットすることによって論理ドライブになります。したがって一度でも使用されてデーターが書き込まれたカードは一度は論理ドライブになっているはずです。目次部分が破損すると論理ドライブとしては認識されなくなりますが、中身が論理ドライブのまま残っていれば、回復できる可能性が十分にあります。このような場合に「物理ドライブ」を選択してください。使い方は回復ソフトのマニュアルをお読みください。
 ハードディスクをCドライブとDドライブの二つのパーティションに分けてお使いの方も多いと思います。この場合はハードディスクが物理ドライブで、CドライブとDドライブが論理ドライブです。。

 3.フリーソフトによる回復と診断

 さて、「無料でデーターを回復させる」です。
消去したデーターを回復させるフリーソフトも数多く発表されていますが、メモリーカードの復元に使える修復ソフトのお勧めは、
英語ですがpandora recoveryhttp://www.pandorarecovery.com/
で、これはタイプBの回復(クラスター検索)が可能であることが特徴です。
 まず、上記にアクセスしてダウンロードし、
pandora recoveryをインストールしてください。使い方は、

http://www.gigafree.net/utility/recovery/pandorarecovery.html
 に解説してあります。
簡単に説明するとpandora recoveryを実行させるとエキスプローラー風の画面が開きます。

A)タイプAの回復は
エキスプローラーでファイルを開く時と同様に回復したいメモリーカードを選択していくと回復可能なファイルのリストが表示されます。
ただし、ここではまだ失われたファイルは復元していません。
File⇒Recoverまたは上方にあるタイトルバーのRecoverをクリックして復元先のフォルダーを選んで復元させます。回復先は絶対に復元されるメモリーカードは選択せず、ハードディスクの適当なフォルダーに復元させてください。
 ニコンのD3とD5000はデーターの構成が上記と同等になっているので、消去した後何もしていなければこの操作で簡単に回復できます。ただし同じニコン製品でもコンパクトデジカメのcoolpixのSDカードはErrorになって復元できませんでした。

ここまでで、目的のファイルが復元されなければタイプBの回復を行います。

B)タイプBの回復は

左上方のSurface Scanをクリックして回復させたいメモリーカードを選びStart Disk Surface Scanと書いてあるボタンをクリックするとサーチが始まります。ただし、タイプAより大幅に時間がかかります。
サーチが終わったら復元可能なファイルのリストの中から選んでRicoverすれば良いのですがファイルの名前が失われていますからとりあえず全ファイルを復元しておいて後から不要なファイルを削除することを勧めます。
 ただし、Pandora recoveryで回復できる画像データーはjpegのみで、Rawデーターの復元は不可能です。
ニコン製コンパクトデジカメP5000は上記のようにタイプAの復元はできませんが、タイプBの回復は可能で、元のデーター名はなくなっても、画像データーはJPEGですからプレビューで画像を確認しながら回復できます。

 更にこのソフトの面白いところは、RAW画像のプレビューでは画像の表示ではなく、データーのダンプ(文字による表示)を行う点で、冒頭のデーターの構造で説明した、識別コードの部分が表示されます。大部分は見ても分かりませんが使用カメラ、撮影日時、撮影条件らしきものなどが読み取れます。

 単に間違って削除した直後で何も書き込みをしていなければ多くはタイプAですからこのソフトだけで間単に回復できます。すなわち軽症なら費用0円で回復できます。ニコンのP5000のように独自のファイル構成でAタイプの復元が不可能な場合でもタイプBで復元可能できる場合もあります。
 フォーマットした後では、タイプBの回復になり、JPEG等の標準形式のみ回復できます。一方データーの破損は起きていないがRAWの方言は解釈できないのでこのソフトでは回復できないが、市販の回復ソフトで方言を解釈して回復できる可能性が高い「中傷」と判断できます。
このソフトでタイプBのサーチをしても何も回復できなくても走査ができれば、中傷で、市販の専用のソフトで回復できる可能性もあります。費用も高価なので、回復専用ソフトの試用版による回復を試みるのもひとつの手段です。試用版では回復の可能性が高いファイルのリストは出ますが実際の回復は不可能になっています。若干時間はかかりますが、回復できる目処が立ってから購入すれば良いと思います。

4.ハードディスクの回復

 以上は、パソコンが正常に動作する場合に、主にメモリーカードのデータが消えた・消した場合の復元方法でしたが、パソコン内のハードディスクのデータが消えたり消したりした場合も同様の手法で回復できます。
 ただし、データーが消えたハードディスク(パーティション)には修復データーが保存できませんから、別途外付けのハードディスクや同じハードディスクの別のパーティションなどに回復させることが必要です。
後述のZ−3を参照してください。

4−1:Windowsが立ち上がる場合
 この場合は、パソコンは正常に動作していると考えられるので、修復データーの保存先を破損データーを含むハードディスク・パーティションとは別の外付けハードディスクやパーティションを指定すれば上記と同様に回復可能です。

4−2:Windowsが立ち上がらない場合
 ハードディスクの故障でOS(Windows)自体が立ち上がらない場合もあります。そのような場合はパソコンの電源を入れて少し時間を置いて、パソコンメーカーのロゴが出るか出ないかで判断します。

4−2A:ロゴが出る場合
 パソコンメーカーのロゴが現れるのならパソコンの大部分は正常でハードディスクの一部に不良が発生している可能性が高く、市販の回復ソフトのCDブート機能を使ってデータは回復できる可能性が高いと考えられます。
 必要なデーターが全てWindowsとは別の、例えばDドライブ等のパーティションに保存されてあるのなら、「Windowsの再インストールをすればデータは消去されずに回復可能です。
 問題になるのは、一つのパーティションにOSとデーターの一部や全部が入っている場合で、再インストールするとデーターも消える可能性が非常に高くなります。
 そのような場合には、パソコンに外付けのハードディスクを接続して、CDROMあるいはUSBから立ち上げ(ブート)可能な「回復ソフト」でパソコンを立ち上げ、必要なデータを外付けのハードディスクに転送してから、Windowsを再インストールすればOKです。

4−2B:ロゴが出ない場合
(a)マザーボードの故障であってハードディスク自体は正常なら、回復できる可能性は高いと考えられます。
 パソコンからハードディスクを取り出して、市販されているケースに入れてUSBケーブルで、別の2台目のパソコンに接続し、接続した2台目のパソコンの”外付けディスクに異常が発生している”とみなして回復可能になります。
 CFなどのデーターカードの回復で説明したように、異常が発生したら、異常のあるハードディスクにはできるだけ手をつけないで、少しでも速く回復ソフトによる回復作業に入ってください。回復ソフトは異常のあるハードディスクには一切の書き込みをしないようになっています。運がよければタイプAの回復になって階層構造になっているフォルダー毎、比較的楽に回復できます。
(b)ハードディスク自体の故障の場合は、専門の業者に依頼することでデータを読み出せることもあるそうです。専門業者は例えればホテルのマスターキーのような専用の道具・部品を持っていて壊れたハードディスクからでもデーターの読み出しが可能になりますが費用は数十万円以上かかるようです。

 5:読めなくなったCDやDVDの回復
 CDやDVDのデーター構造は上記のデーターカードやハードディスクとはデーターの構造が異なるので、誤って消したデーターの回復はできません。(DVD−RAMは消したデーターの回復も可能です)。
 CDやDVDはドライブにDVDを挿入しても認識できない場合と、読み出しエラーが発生することがあります。
 VHSレコーダー等のアナログデーターの場合は再生機種によって読めないことは殆どなく、またテープにカビが発生した場合にでも画像が劣化はしても読めなくなることはめったにありませんでした。ところがDVDは
 @パソコンで作成したDVDがレコーダーや他のパソコンでは再生できない、認識すらしない。
 A以前には再生できていたDVDが読めない
ことが、アナログの時代に比べて遥かに多く発生します。

CDとDVDが読めなくなるのは大きく分けて原因が二つあります。
一つ目が互換化の問題で
二つ目がCDやDVDメディアの劣化です。

5.1:互換化(作成した装置以外の装置で読めるか否か)
 最近パソコンをWindows−XPからWindows−7に変えた場合に、XPで作成したCDやDVDが7で読めなくなった例があり、あるいはXPでもある日突然に、それより以前に作成しておいたCDやDVDが読めなくなったりメディアの存在自体を認識しなくなることがあります。パソコンで保存させたDVDが作成に使用したパソコンでは再生できるのに他のパソコンやDVDレコーダーでは読めないことも良くあります。
 これはCDとDVDの由来による問題で、CDとDVDはもともとは音楽再生用と映画の再生用のCD−ROMとDVD−ROMから派生し、ユーザーでの書き込みが可能なCDやDVDが開発され、いくつかの方式が混在するようになっていましたが、DVD-RAM以外はWindows−XPに標準の書き込み機能が付加されていなかったことが主因です。
 DVD−RAMを除く他のDVDはもともとは、一括書き込みまたは追記を原則としており必要な部分だを書き込むパケットライトには対応していません
 例えばメディアにA,B,Cの三つのファイルが記憶されておりこのうち”B”を消去して”D”のファイルに置き換える、という、ハードディスクやフロッピーでは日常的に普通に行っている事ができません。
 CD−RWやDVD−RWは書き換えが可能になってはいますが上記の例で言えば、いったんA,B,Cのファイルを全てハードディスクに退避させ、DVD−RWなどのファイルを全てを消去して、A,B,Dのファイルを一括して書き込むことが基本です。
 ただし、これではあまりにも不便だということで一部のデーターを書き換えることは専用のソフト(例えばSonic Record−nowなど)で行うようになっています。その副作用として、書き込みに利用したたパソコンでないと読み出せないことになりました。書き込みに利用したソフトがインストールされた別のパソコンでも読める可能性はありますが、確実に読み出せる言い切れません。
 書き込みに利用した装置以外でも読み出しができるようにするためには、互換化やファイナライズの処理をすることが必要です。互換化やファイナライズの処理をするとそのメディアはROM化されて追加の書き込みや変更が不可能になります。しかも多くの異機種でも読めるようになるだけでパソコン・DVDレコーダーなど全てで相互の互換性が保障されてもいません。パソコンを一台だけ使用する場合は特に問題は有りませんが、デスクトップとノートなどの2台のパソコンを使用している場合や、将来パソコンを買い換える場合に問題になります。
 さらに、XPの自動アップデートやその他のソフトのインストールなどでOSを含む周囲の条件が変わって、書き込みに使用したパソコンであっても、互換化していないのCDやDVDが読めなくなることもあります。
 形式の古いパソコンの場合にBIOSやマザーボードを含む周辺機器のドライバーソフトのメンテナンスやアップデートなどは行われませんからXPの自動アップデートで互換化前のメディアが読めなくなったりあるいは読めるけども互換化ができなくなったりします。互換化は作成した装置で行うことが必要ですが、OSのアップデートなどによって、別の装置として判定されているようです。
 私も1枚のDVDにその現象が発生したことがあります結局原因は不明でした。OSがSP−3にアップデートされた時に発生したのではないかと思っていますが気がついたのは大分後ですから確認はできていません・
 DVD+RとDVD+RWは−R系よりはパケットライトに対応しており互換性の問題は少ないようです。ただし欧米では+R、+RWの方が普及しているようですが国内では普及しておらず私も友人からサンプルにもらったそれぞれ一枚づつしか持っていません。
 CDの場合にはXPに書き込み機能がありますから、パケットライト用のフォーマット(例えばDLAを使ったUDFフォーマットではなく、一括書き込み用のCDFSフォーマット書き込めば互換性の問題は少ないのですが、パケットライト用のソフトで書き込みをした場合は互換化が必要です。
 CDやDVDの全容量を使わない場合につい勿体ないと思って、後で追記ができるように互換化をしないでおいてそのまま長期間使われなかったデータを久しぶりに読もうとして、その間にパソコンを変えたりOSなどのアップデートが行われたときに上記の「互換化未完」の問題が発生します。これを避けるためには、こまめなCDやDVDの書き込みは止めて、1枚分のデータが揃ってから一気に書き込み互換化を忘れずに実施しておくことが望ましいと思います。

 DVD−RAMは初めからパソコンに対応しており、XPにも標準でパケットライトの書き込み機能がありますから、それを使ってFAT32でフォーマットすれば、互換化は不要でパソコン同士の互換性は原則保たれます
DVDRAMをFAT32でフォーマットしてあれば、うっかり消したファイルやフォーマットした場合には上記のメモリーカードやハードディスクと同じように市販の「ファイナルデーター」で復元可能です
私は最近は、写真や自分で作ったデータはDVD−RAMで保存するようにしています。
音楽データーやムービーのデーターは別の規格が有るのでXPの機能だけでは書き込み。コピーは不可能です。

 名称  追記と書き換え 互換性 備考・補足
 CD−ROM  追記、書き換え不可  ◎
 CD−R  追記可、書き換え不可  △
 CD−RW  追記可、書き換え可  △
 DVD−ROM   追記、書き換え不可  ◎
 DVD−R  追記可、書き換え不可  △
 DVD−RW 追記可、書き換え可  △
 DVD+R  追記可、書き換え不可  ○
 DVD+RW  追記可、書き換え可  ○
 DVD−RAM 追記可、書き換え可 消したデーターの回復も可能

互換化については
http://freesoft.tvbok.com/freesoft/dvd_copy/pc_dvd_player.html
などもご参照ください・

なおパケットライト用ソフトがインストールされていないパソコンでUDFフォーマットされたDVDを読むためには

SonicのUDFリーダーがあります。

5,2:メディアの劣化(寿命)

 CDやDVDの寿命は平均的には20〜30年以上とされていますが、あくまでも平均であって数年で劣化して読めなくなるものもあるようです。(極端な場合には国外製の安価なCD/DVDでは数分で読めなくなるものもある。
(*2時間のムービー一本を録画して終わった頃には初めの部分が既に読めなくなる。)
 私も1980年に放送され、2003年にNHKで再放送された「懐かしのシルクロード」をVHSで録画し、5年ほど前に国産のDVDに変換して保存しておいた11編(6枚)中の1枚が再生できなくなり、セットの1枚なので何とかして回復を試みました。
DVDプレーヤーに入れて再生すると初めの数分間は再生しますが、途中で止まってしまいます。ただしDVDプレーヤーでは原因がわかりませんから、パソコンで確認すると循環検査エラーと表示されます。
 DVDはレーザー光を照射して反射光の強弱で”1”,”0”の判定をしていますから、傷が付いていれば読めなくなるのは分かりますが、このDVDには特に目立った傷がないので、完全に不良になったのではなく、複数の場所で、”1”,”0”の判定ができない中途半端な状態になっていると推定できます。
それならばエラーを発生した場所であきらめず何回か繰り返し再読み出しを行えば読み出せる可能性があるのではと判断しコピー用のフリーソフト「DVD Decrypter」でコピーを試みました。
 「DVD Decrypter」にはエラーを検出した場合の処置として再試行(R)のボタンがありますから、押し続けていると修正できることもあります。。ただしこのDVDでは再試行で回復できた部分もありましたが、全部は回復できなかったので”無視”を選びました。このソフトは無視を選んでも、エラーがあると20回は再試行を繰り返し、それでも読めなければ無視し(実際には”0”を書き込む?)て次のセクターへ進みます。最後に、このエラーの記録が表示されますから何回か繰り返し回復を試みてその都度ハードディスクに残しておき、記録されたエラーの回数が一番少なかった時のデーターをDVDに書き込み別のDVDにコピーしました。
 ※復元した再生画像を見ると、エラーを無視した箇所で、一瞬画像の乱れを発生しています。

DVD Decrypterはムービー専用ですが、
デジカメの画像やWORDのデーターはCDCheck
に同様の機能があります。
ただし、DVDDecrypterCDCeckの両方とも互換化されていない、あるいは互換化されていてもエクスプローラーで認識されないCDやDVDには対応できません。
 また、これらのソフトは不良で読めなくなったデーターをできるだけ読もうとするものであって、誤って消したりフォーマットしたりその他の何らかの原因でファイル名が認識できないデーターの回復はできません。
 「ファイナルデーター」は両方の機能を備えておりDVD−RAMをFAT32でフォーマットしてあれば、ファイル名が認識できない場合とデーターの一部が劣化して読めない場合の両方で復元可能です。
 ※劣化した場合は完全ではないことが多いですが、故障したカードの回復もご参照ください。

※CD/DVDに傷が付いた場合には表面を薄く削って修復できることもあるようです。

CD/DVDが不良(寿命?)で読めなくなるのを防ぐためには

  • 日光に当てない。日光に含まれる紫外線の影響が大きい
  • 極端な温度の変化は避け低温・低湿(定温・低湿)で保管、
  • 収納ケースに入れ、袋で保管は避ける。
  • 表面にも注意し、傷をつけない・指紋をつけない・ラベルを張らない。
  • レーベル面に字を書くときは柔らかいペンを使い、傷つけないようにする。
  • 持つ時は内側の穴と、外側の端を持つ。
  • 中国や台湾製の安価なCD/DVDは使わない。
などの注意が必要です。
 補足・注意事項:トラブルを防ぐために

Z−1)メモリーカードの必要枚数の目安
 誤操作や事故によってメモリーカードが使えなくなる可能性を考慮すると、デジカメのメモリーカードの必要枚数の目安は一日の使用予定量の半分の容量のカードを3枚が適当だと思います。
 予備のカードがあれば万一データーの消失が発生した場合に安心して対処可能です。海外旅行など数日になるときは、一日の使用予定量の半分の容量のカードを2枚×日数分+1枚です。枚数を減らすためカードの容量が大きいと回復に非常に時間がかかります。

Z−2)事故を防ぐために


 @ 突然フォーマット要求されても、フォーマットしない
 デジカメでカードの目次部分が読めなくなる新規カードとみなしてフォーマットを要求することがありますが、使用している途中なら中身のデーターは残っている可能性が大きいのでフォーマットしないで使用を中止しデーターの回復を試みてください。かなりの確率で回復できます。
 A  メモリーカードをフォーマットする際には、デジカメで
 デジカメは該当カメラに合わせたフォーマット(方言)を行っているのでパソコンでフォーマット(標準語)するとかえって誤動作の要因になることが有ります。
メモリーカードをパソコンでフォーマットすると全部の領域が空き領域になります。それをカメラでフォーマットするとごく一部(数kb以下)に何か書き込みを行います。エキスプローラで見ても何も見えませんが、プロパティで確認すると使用領域として表示されます。
 B メモリーカードの取り扱いは、少し余裕を持って間をおいてから
 連写をするとわかりますが、しばらく次のシャッターが切れないことがあります。これは、撮影が終わってもメモリーカードに書き込みを行っているためで、シャッターを切った直後の書き込み中にカードを抜くと故障の原因になります。カメラにのアクセスランプが消えていることを確認してカードを抜いてください。
 C電池の容量には充分注意。書き込み最中に電池残容量不足で電源が落ちると、カード不良の要因
になります。
 Dデジカメの電源のON/OFF、の切り替え時にも余裕を持ち連続してON/OFFを繰り返さないカードの抜き差しは、デジカメの電源のOFFを確認してからにしてください。私も撮影中にメモリーカードが、満杯になり急いでいたので十分な確認をしないでカードを抜いて不良となったことがあります。特に連写をした時は、データーカードへの書き込みに時間がかかるので注意して下さい。
 E   静電気に注意。
 カードの故障の2大要因が硬い床への落下と静電気だそうです。
 フィルムで問題になる空港でのX線検査ははメモリーカードには影響なさそうです。
 F異常を発生したカードは一度パソコンでフォーマットしてから再度カメラでフォーマット
 したら良いこともあります。
 Aのようにデジカメでフォーマットすることが原則ですが、例外もあるようです。パソコンのフォーマットは、言わば完全フォーマットで白紙に罫線を引くような動作まで行いますが、カメラのフォーマットは簡易フォーマットであって、罫線の引かれた原稿用紙をそのカメラで使用可能としています。罫線が認識できなくなった原稿用紙のフォーマットはカメラでは不可能なようです。