生きる力につながる詩の創作指導
4年「詩の広場」(表現)学習指導案

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4年国語科学習指導案
指導者 松 井  直


1 単元名       詩の広場

2 目 標
◎ 生活の中から詩の素材を探し出し、自分なりの表現をすると同時に、自分の気持ちが素直に表現されているかどうか考えて推敲できるようにする。
 ○ 心に思っていることを感動的に表現できるように、言葉の使い方が工夫できるようにする。

3 指導観
○ 短い文で感動を表すことは、作文のように長い文で感動したことを伝達するより、はるかに難しいことである。それは、「詩」は「作文」と異なり、一つ一つの言葉の持つイメージや役割が大きくなるからである。それだけ、児童に言葉に対する感性が求められることになる。また、詩は、作文とは違った独特の表現方法がある。このことも詩を書く学習が難しい原因の一つである。わたしたちは、この詩の独特の表現方法を克服しようと、さまざまな工夫をしてきた。なんとか「詩らしい詩」をつくらせようと、多大な努力を払ってきた。体言どめ・繰り返し・対比・比喩・倒置法・擬人化・リズムといった表現技術を、児童に体得させることは大事なことであるし、それなりの効果もあった。 しかし、私はここで、もう一度、「詩は、言葉の中に作者の感動や思いが凝縮されたものである。」という当り前の事を、もう少し大事に考えてみたいと思う。私は、これまで、さほど感動もしていない「おもしろかったこと」や「楽しかったこと」を詩にしてみたり、きれいな言葉だけをならべた詩を書かせたりすることも多かったような気がする。そうではなくて、自分の生活とか 自分の心の中とかにある書く材料に、もっと目を向けさせなければいけないのではないかと思う。それは、作文指導が重要視され、盛んになるにつれて、表現の技能とか技法があまりにも強調され、児童の表現や作品が体験や生き方、精神的な成長と深くかかわっていることが、おろそかにされてきたのではないかと反省するからである。 だから、ここでは自分と深くかかわって「自己」を表現することを大切にした。また、書きたいこと(思い)が先にあり、技能や技法は、それについて来るものであるという原則にたって授業を試みたい。
○ このクラスの児童は、1週間に一度は朝自習で作文を書いてきた。ずいぶん書かせてきた(と思う)。書かせっぱなしという面もかなりあったが、いろいろな作品も生まれてきている。書くことに対する抵抗はずいぶんなくなってきた。しかし、詩は、4年生になってまったくはじめての取り組みである。児童にとってもとまどいや難関が予想されるが、児童の意欲を大切にしながらていねいに指導していきたい。 発表は意欲的とまではいかないが、指名すれば快くみんな発表し、明るいクラスである。読書は、学級で3000冊を読もうと頑張っているところであるが、現在1800冊で、3000冊には赤信号がついた。個人的には、100冊を突破した児童が3人いる。まもなく4人目がでるかというところである。よく読むようになった。
○ そこで、指導にあたっては、まず、すぐれた児童詩にたくさんふれさせることから学習を始めたい。また、みじかい詩を読み広げたり、作文を詩になおすなどの練習をとりいれ、詩を書くという学習になれさせたい。また、題材を決定する段階では、「題材が詩のよしあしを決定する重要な要素である。」という原則に立ち、題材が自分の体験や生活に深くかかわるものになるように指導していきたい。また、家庭的にめぐまれない児童もいるが、自分を見つめたり、家族を見つめたりする一つの機会とし、詩を書くことでまた一つ成長して欲しいと願っている。 本時の指導にあたっては、ほぼ書き上げた自分の詩に、一つだけ表現上の工夫をさせてみたい。それも、さまざまな表現技法を駆使するのでなく、「自分の気持ちを表すのに、効果的な言葉を探す。」ということと、「対比」という技法に絞って指導したい。そこで、「なみだ」と「お父さんのボール」という、児童詩の一部を想像させ、具体的に技法を学ばせたい。 また、最後は、自分の詩を発表させ、相互に評価もさせる。文集も作成中だが、それにものせることを話し意欲づけとしたい。


4 指導計画

 @ 児童詩にふれて、詩を書く意欲を高める───────────────  1時間
 A 感性を磨く ─────────────── 2時間
    ・短い児童詩を読み広げる ・作文を詩になおしてみる
 B 自分の詩を書く ─────────────── 2時間
    ・題材を決めて、作文を書く
    ・作文を、詩になおす
 C 詩を推敲して、よりよい表現になおす ─────────────── 1時間(本時)

5 本時の目標
  ◎ 詩の効果的な表現のしかたが分かり、自分なりの工夫した表現ができる。

6 指導過程
         学習内容及び学習活動                     おもな発問・指示       指導上の留意点
@ 「なみだ」の空欄を作詩する。
 ・ 視写
 ・ 音読
 ・ 作詩



A 「お父さんのボール」の空欄を作詩する
 ・ 音読
 ・ 作詩
    
□の中にはいる言葉を 想像して自分で作ってみてください。






・ 今度は子供の詩です。
 □の中はどんな言葉が入っているのでしょう。想像して自分で作ってみてください。


            
○ ねらいは表現上の工夫に気づかせるところにある。言葉の使い方を工夫することの楽しさやその効果について知らせたい。

・準備(プリント)

○ ここでは、「対比」という表現 上の工夫に気づかせたい。今回はこの二つだけを「例」として取り 上げる。あまりたくさん例示しても混乱すると考えるからである。
                     
B 自分の詩の表現を工夫してみる ・ 自分の詩を読みなおして、こうしたらもっと自分の気持ちが伝わると思うところを、工夫して書き直してみましょう。


・ 「できた」と思う人は 何回も読みなおして、リズムのある表現になっているか、考えてみましょ う。
○ 自分が作ってきた詩に表現上の 工夫をする。ポイントは、「自分 の気持ちがよく伝わるように」ということである。

○読みのリズムも体感させたい。                          
C 書いた詩を清書する。 ・ できた人は、自分の詩をきれいにプリントに書いてください。 ○ 「文をつなげないで、改行すること。」「強調するところは、改行すること。」など、改行についての注意を個別に指導する。

D できあがった詩を発表する。 ・ できた詩を発表してく ださい。

・ 友達の詩を聞いた感想を発表してください。
 
○ 自分の詩を発表したり、友達の詩を鑑賞し合いながら、作品のよさや表現の巧みさを評価し合う。