戦略労務第383号(2025/4)
イントロダクション
地域にもよりますが今年の入学式は桜の花の下で行われた場合も多いようです。
いよいよ春本番といった気候になりました。毎年花粉症の時期が延びているように感じます。
私自身は生活に影響が出るほどでなく薬も不要なので山歩きなどに出かけたりしています。
「戦略労務」第383号をお届けします。今号では労災保険の特別加入についてお知らせします。
★労災特別加入制度について
労災特別加入制度は労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度です。特別加入できる方の範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。
労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用され、賃金を受けている方を対象としています。そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、業務により負傷した場合などでも労災保険給付を受けることは出来ません。
しかし、例えば中小事業の場合、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多いこと、また、建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事するため、これらの方の業務の実態は労働者と変わらないことから、労働者に準じて保護することを目的としています。
中小事業主として認められる事業規模は、小売業や不動産業などでは50人以下の事業所、卸売業やサービス業などでは100人以下の事業所、その他の事業所では300人以下となっています。条件に合えば年度中途からの加入も可能です。
なお、家族従事者は事業主と同居及び生計を一にするものであり、原則として労働基準法上の労働者には該当しませんが、事業主が同居の親族以外の労働者を使用し、業務を行う際に事業主の指揮命令に従っていることが明確であること、また、就労形態が当該事業場の他の労働者と同様であれば、家族従事者であっても労働者として見なされる場合があります。
★保険給付を受けられない場合について
特別加入前に疾病が発症、または加入前の原因により発症したと認められる場合には、特別加入者としての保険給付を受けられないことがあります。
特別加入者に関する業務上の災害として保険給付の対象となる疾病は、特別加入者としての業務を遂行する過程において、その業務に起因して発症したことが明らかな疾病に限定されます。特別加入前に発症した疾病や特別加入前の事由により発症した疾病に関しては、当然のことながら保険給付の対象とはなりません。