戦略労務第373号(2024/6)

イントロダクション

 6月に入り梅雨入り間近のはっきりしない日々が多くなりました。今月は上場会社の決算発表が行われますがおしなべて好決算が多いようです。今の所当事務所には影響ありませんが。
「戦略労務」第373号をお届けします。引き続き厚生労働省の報告書についてご案内します。

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★働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書(厚生労働省)

2 雇用管理制度等の実施と「働きがい」「働きやすさ」との関係
「評価処遇・配置」「人材育成」「業務管理・組織管理」「福利厚生・安全管理・精神衛生」の雇用管理制度等の実施は、従業員の「働きがい」「働きやすさ」を高める傾向がある。雇用管理制度等の実施は、「働きがい」「働きやすさ」の両方を高めるが、実施による効果は「働きがい」の方により顕著に表れる傾向がある。

(2)「働きやすさ」を高める雇用管理制度等
「評価処遇・配置」「人材育成」「業務管理・組織管理」「福利厚生・安全管理・精神衛生」に関する全ての項目において、「実施されている」と回答した者の方が、「実施されていない」と回答した者よりも、「働きやすい」又は「どちらかといえば働きやすい」と回答した割合が高い。

【評価処遇・配置】
 特に「本人の希望ができるだけ尊重される配置」を実施されている場合、それらが実施されていない場合と比べ、「働きやすい」又は「どちらかといえば働きやすい」と回答する割合が15(20)ポイント以上高い。(働きがい⇒20ポイント、働きやすさ⇒15ポイント 以下同じ)

【人材育成】
 特に「自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修」を実施されている場合、それらが実施されていない場合と比べ、「働きやすい」又は「どちらかといえば働きやすい」と回答する割合が15(20)ポイント以上高い。

【業務管理・組織管理】
 特に「各自に与えられた仕事の意義や重要性についての説明」「従業員の意見の会社の経営計画への反映」「提案制度などによる従業員の意見の吸い上げ」「経験が浅い社員に仕事を任せ裁量権を与える」を実施されている場合、それらが実施されていない場合と比べ、「働きやすい」又は「どちらかといえば働きやすい」と回答する割合が15(20)ポイント以上高い。

【福利厚生・安全管理・精神衛生】
 特に「職場の安全管理に関する研修」を実施されている場合、それらが実施されていない場合と比べ、「働きやすい」又は「どちらかといえば働きやすい」と回答する割合が15(20)ポイント以上高い。

 上記のことから、「働きがい」は「自分の意見や希望が受け入れられる」「自分の仕事の意義や重要性に対して説明がなされる」といった「自己効力感」が充足されるような雇用管理がなされた場合に高まる傾向があり、「働きやすさ」は「自己効力感」に加え、「相談できる体制」や「福利厚生」に関する雇用管理がなされた場合に高まる傾向がみられるといえる。

3 「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲・定着、会社の業績との関係
「働きがい」や「働きやすさ」がある会社では、従業員の仕事に対する意欲が高く、職場への定着が進みやすい傾向があり、さらに、会社の業績も高い傾向にある。

(1)「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲との関係
 「働きがい」や「働きやすさ」がある方が従業員の意欲が高い傾向がある。

(2)「働きがい」「働きやすさ」と従業員の定着との関係
 ア 従業員の勤務継続の意向
 「働きがい」や「働きやすさ」がある方が従業員の勤務継続の意向が高い。
 イ 離転職の多寡
 「働きがい」や「働きやすさ」がある方が、従業員の離転職が少ない傾向がある。

(3)「働きがい」「働きやすさ」の会社の業績との関係
 「働きがい」や「働きやすさ」があると回答した従業員の会社では、会社の業績が高い傾向にある。

 「働きがいがある」群と「働きやすい」群は、それぞれ「働きがいがない」群と「働きやすくない」群に比べて、従業員の仕事に対する意欲が高く、回答した従業員本人及び周りの同僚ともに、今の会社に定着したいと考える傾向があった。さらに、「働きがいがある」群と「働きやすい」群は、会社の業績も高いと回答する傾向も高かった。

 これらのことから、「働きがい」「働きやすさ」は、従業員の意欲、定着及び会社の業績向上を高める傾向があることがうかがわれる。

 せっかく採用した従業員ですから、働きがいのない会社でなく働きがいのある会社と言われるよう、働きづらい会社でなく働きやすい会社と言われるようにしたいものですね。

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