戦略労務第368号(2024/1)

イントロダクション

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今年も当事務所全員一丸となり、顧問先従業員の皆さんが定年まで勤めていたい、やめたくない職場を創るお手伝いをしていきます。今年も良い年になるよう1年間頑張りましょう。
「戦略労務」第368号をお届けします。今号では前回の雇用契約の終了に続き、新年度に向かって採用内定の落とし穴について考えてみました。

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★労働契約の開始に関するルール

1 採用内定について
 会社からの採用募集に対して、労働者からの応募が労働契約の申込みに当たり、会社からの採用内定通知が申込みに対する承諾であって、入社日を就労の始期とし、その間、採用内定取り消し事由に基づく解約権を留保した労働契約=始期付・解約権留保付労働契約が成立すると一般的には解されています【最高裁:昭54.7.20 大日本印刷事件】。

 採用後の「試用期間」について法的にどう捉えるかについて、最高裁(昭48.12.12 三菱樹脂事件)は、解約権留保付の労働契約が成立しているとし、「本採用拒否はその留保解約権の行使、つまり解雇であって、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認できる場合にのみ許される」としており、こうした考え方が採用内定にも適用されているのです。

2 内定取り消しは解雇
 採用内定取り消しは、留保解約権の行使であり、解雇に当たりますので労働契約法16条の解雇規定が適用されます。つまり、採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として内定を取り消すことが解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られます。

 内定取り消しとなる具体的事由として裁判で認められた例としては
・成績不良による卒業延期
・健康状態の著しい悪化
・虚偽申告の判明
・逮捕・起訴猶予処分を受けたこと、など

3 何が言いたいかというと
 採用内定とは、「来たる○月○日に入社することとするが、それまでの間に一定の事由があれば労働契約を解約する」という権利を留保した労働契約=始期付・解約権留保付労働契約が成立した労働契約と考えられています。
 内定により既に労働契約が成立しているとみるわけです。

 いったん成立した労働契約を取り消すというのは、「解雇」と同様にその取消し理由が合理的で社会的相当性が認められるようなものでないと、一方的な契約取消となり無効とされるわけです。採用にはしっかりとした、複数者での人物評価、確認、決定をぜひお願い致します。

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