戦略労務第357号(2023/2)
イントロダクション
本年も1か月が過ぎ去りました。新型コロナ新規感染者数が目に見えるほどに減少しています。ここで一気に片づけたいものですね。5月の連休明けには季節性インフルエンザと同様の第5類感染症へ変更が予定されていますが、まだまだマスクのお世話になりそうです。
「戦略労務」第357号をお届けします。今号は小規模事業所の退職金制度です。
★小規模事業所にも退職金を!
中小企業であっても社員数30名以上の会社については退職金制度についてのアンケート結果があり、それによりますと70%程度の会社には退職金制度があるとされています。
したがって30人未満の企業にどのくらい退職金制度があるのかわかりませんが、おそらくは50%に満たないのではないかと思います。10人未満の会社でも建設業の皆さんは加入している場合が多いようです。それは「建設業退職金共済」というもので、公的助成が行われていて、不安定な職種に対する待遇改善の施策となっています。
余談ですが、ご存じのように建設業や農林業など一部の業種では雇用保険料の料率が一般の業種よりも高くなっています。なんとなく認識していますが、その理由として業種的に不安定で失業・転職が多いということも挙げられます。
話を戻しますが、ハローワークの求人を見ていても10人規模の会社では退職金制度のある事業所はほとんど見当たりません。休職者もひと昔前までは手取り賃金の高いところなら休日数が少なくても稼げれば良いということもありました。しかし今は違います。「完全週休2日」や「年間休日120日以上」などが売りで、賃金はそれほど重視されなくなった気がします。
ここで同規模他社との差別化を図る必要があります。若い人材を採用することは中小企業にとって難しいことです。今の若い人は余暇を大切にし、将来のこと老後のことも良く考えていると感じています。そこで最低限の退職金制度として建設業等以外の会社には「中小企業退職金共済」というものをお勧めしています。
「中退共」と略称で言われますが、「建設業退職金共済」と異なり1日働くごとに退職金証紙を貼ることは必要なく、会社が決めた月額が預金口座から引き落としになります。
大きな会社では最近平均年収を大幅に上げたり、初任給をアップする会社もメディアを賑わせています。かたや外国に出稼ぎに出る若い人も多くいるようです。日本の賃金は他の国と比較して概して低い水準とされていますが、このような状況が続きますと、日本の将来が不安になり出ていく優秀な若者が増えていくかもしれません。同じように稼げなくとも国内勤務のメリットを多く生み出して若者を不安にさせないようにしたいものですね。