戦略労務第352号(2022/9)

イントロダクション

 このところ群馬県内はまずまず涼しいのですが、この先まだ暑い日があるようです。お彼岸過ぎまでは仕方ありません。近い将来にマスク無しの生活が戻って来ると信じて頑張りたいと思います。新型コロナ感染者数は減少傾向にありますが、終息までにはもう少しの辛抱が必要なようです。
「戦略労務」第352号をお届けします。今回は雇用保険料率等についてのお知らせです。

top△

★雇用保険料率の改定について

 令和4年度の雇用保険率は10月から0.4%引き上げられることになっています。

 一般の事業では、令和4年10月から13.5/1000に変更(労働者負担5.0/1000)
 農林水産業等は、令和4年10月から15.5/1000に変更(労働者負担6.0/1000)
 建設の事業では、令和4年10月から16.5/1000に変更(労働者負担6.0/1000)

 今般10月からの引き上げ分は失業等給付分となります。したがって、今回の分は労使折半なので給与からの保険料徴収率が変わります。変更時期は令和4年10月以降に確定した賃金からです。すなわち給与の締切日が10月以降の分からということです。お間違いのないように。

★健康保険被扶養者資格再確認について

 本年も被扶養者の方が現在もその条件を満たしているかの再確認があります。事業主の皆様には、「被扶養者状況リスト」をお渡ししますので、被扶養者の資格をご確認いただき、本リストに確認結果をご記入のうえ、協会けんぽへご提出をお願いいたします。
 被保険者の方に、その被扶養者がすでに就職等して新たな被保険者証の交付を受けていないかの確認をして下さい。健康保険被保険者証が重複して発行されていても当然には判明しません。健康保険料率にも影響してくるものですから慎重に確認してください。
 被扶養者状況リストは10月中に送付され、11月末日が提出期限となる予定です。

★社会保険料削減の誘惑

 社会保険料削減、社会保険料適正化などの表現を用いてファクスやDMで事業主を誘うコンサルタントは後を絶ちません。違法とは判断されていませんが脱法行為と言えるでしょう。
 そのカラクリは、簡単に言うと役員報酬を株主総会決議で定額同額給与の大部分を事前確定届出給与に変更し、月々の役員報酬を少なくして、標準報酬月額を最低にし、その分を役員賞与で受け取るという方法です。賞与にかかる社会保険料は、厚生年金保険では月間150万円までが対象とされるので、賞与で役員報酬をたくさん受け取った場合、確かに社会保険料が安くなります。
 そして、老齢厚生年金受給者であれば全額ストップとなっていた「老齢厚生年金」も受給できることになります。コンサルタントの言うメリットを挙げてみましたが、もちろんデメリットもあります。
 社会保険労務士は、合法的な社会保険料の節約を提案することはともかく、立場上積極的に上記のような方法をお勧めしません。ただし、会社が存続していることが関与の前提ですから、事業主様のお考え次第で相談には応じるつもりです。

top△