「難しい」 十数年にわたる私の花粉症は、杉の季節だけでなく、毎年6月頃まで続きましたし、年がら年中鼻は ズルズルするほど、ひどいものになっていました。ですから、杉茶で杉の花粉症が治まるなら、 その後のヒノキやイネ科のものも飲んでみたら良いのではないかと考えたのは、私の中ではごく自然の 流れでした。 イネ科の植物は、何という植物が原因だろうかと、早速、インターネットで検索をしました。あちこち 調べているうちに「薬草コム」というホームページに出会えました。吾が家にも、「民間薬療法」と いう本がありますので、これまで、時々読んでいましたが、こんな本など比較にならないほど、 あらゆる草の効能が、そこには書かれておりました。それらを、全部読んでみましたが、「あの草も、 この草も、あんな木にも、こんな実にも、こんな効能があったのか」と、驚きの連続でした。 改めて家の「民間薬療法」の本も読み直してみますと、「薬草の中には強すぎて、飲みすぎると逆に 害になってしまうものもあるので、健康の為に飲むのであれば、百種類位の草を集めて、色々なものを 少しずつ入れて飲むのが良いでしょう」と書かれていました。「薬草コム」に書かれているもので、 家の庭を眺めれば、庭だけでも10種類以上あります。「そうか、花粉症だけにこだわっていないで、 百草茶にしよう。」と、この時決めました。 庭の柿の葉からはじめて、ドクダミ、オオバコと、取っては洗って干していきましたが、庭から外に 出たとたんに、大問題に突き当たりました。私の住んでいる所はまだまだ田舎で、山も川も田んぼも 畑もあるので、道端で草を取るくらいは簡単かと思いましたが、そうはいかないことが分かったのです。 田畑のそばは農薬がかかっているかも知れません。排気ガスの多い所も嫌です。さらに怖いのは、 除草剤でした。歩いてみて分かりましたが、除草剤というのは、思いもかけない所にまで撒く人達が いるのです。さらによく観察してみると、近所の畑などで、柿の木や栗の木が植わっている所でも、 除草剤は平気で使われていることが判明しました。 健康の為に飲もうと思っているのに、汚染されたものを使っては意味ありませんから、田畑のそばでは 取らないことにきめました。ほとんど車も通らない山道の道端や、安全を確認出来る河川敷きなどを 選んで集めるのですが、それでも、絶対安全とはいえません。欲しい草はその辺にいくらでもあるのに 、どこからでも取ってくる訳にはいかず、草を集めるのも結構難しいことが分かりました。 さらに丁度この頃、中国から輸入された椎茸に、基準以上の残留農薬があって、輸入禁止という ニュースが流れました。昔、椎茸栽培のお手伝いをしたことがありますが、その頃の 栽培しか知らない者にとっては、あんなものに農薬を使うこと自体が信じられないことでしたから、 中国という国も何をするか分からない国だなと思いました。漢方薬に使う物は、大体中国から輸入 されているものが多いと思われるので、買うのも安心ではないなと感じました。 結局、自分の家のものが一番安全だということになりますので、よく使いそうなものは庭に植えること にしました。吾が家の庭のものは、何十年も一切消毒をしたことがなく、完全無農薬で、無肥料(これは 可哀想)ですから、柿の木など、ほとんど実がなりませんが、これからは、葉の方を煎じて飲むのに 使えます。 滋養強壮になりそうなものを中心に、夫の為にはセキやタンに効きそうなもの、私には便秘や健胃に 役立ちそうなものを意識して、あちこち歩き回りました。以前、鳥の写真を撮りに行った山や川へ、 今は薬草集めに出かけているという訳です。 |