独断的JAZZ批評 822.

RAFAEL SANTANA TRIO
これがSANTANAのスタイルだと言われれば、「そうですか」と引き下がるしかない
"PLAYA DEL AIMA"
RAFAEL SANTANA(p), JAVIER MAYOR(b), JUANMA URRIZA(ds)
JULEN IZARRA(ss on D, ts on H)
2012年12月 スタジオ録音 (ERRABAL JAZZ : ER-061)

RAFAEL SANTANAはスペインの若手ピアニストだという。初めて聴く。
スペインのピアニストというと、前掲のINAKI SALVADOR(JAZZ批評 821.)、INAKI SANDOVAL(JAZZ批評 401.)、さらには、MARTI VENTURA(JAZZ批評 287.)やIGNASI TERRAZA(JAZZ批評 192.)などもそうだ。ヨーロッパの影響を受けながらも独自のスタイルを身に着けたグループが多い。
SANTANAは本アルバムで色々なスタイルにチャレンジしている。ピアニスト・INAKI SALVADORとのデュオが
FK、サックス奏者のJULEN IZARRAを加えたトラックがDHGではフルートなどの管楽器5種を加えたオクテットの演奏が含まれている。

@"PLAYA DEL ALMA" タイトルはマジョルカ地方の海沿いの美しい街並みを言うらしいが、白い砂と青い空をイメージさせる美しい曲だ。
A"CAPELLI D'ANGELO" 
「天使の髪」という曲。愛らしい曲だが、途中、テンポ・ダウンして多ビートにシフトする。
B"AD BEDUL" 
今度はボサノバ・タッチ。どの演奏もそこそこ耳に心地よいのだけど、何かスパイスが足りない・・・そういう感じ。
C"SEPTIMA OLA (INTRO)" ピアノによるイントロ。
D"SEPTIMA OLA" JULEN IZARRAがソプラノ・サックスで加わる。途中から8ビートの演奏にシフトする。
E"ISOBARAS" 
捏ね繰り回したようなテーマだけど、アドリブではミディアム・テンポの4ビートを刻む。
F
"LES LUMIERES TAMISEES" INAKI SALVADORとのデュオ。哀愁たっぷりのリリカルなワルツ。
G"LA LEYENDA DE BERSONNIK" このトラックのみフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット(バスーン)などが加わる。さながら小オーケストラのよう。
H
"A ESCAPE LIBRE" IZARRAがテナー・サックスで加わる。アップ・テンポの4ビート。躍動感あり。
I"MORPHING (INTRO)" 
ピアノのイントロ。
J"MORPHING" 
スロー・ロック風の佳曲。MAYORのベース・ソロが良く歌っていていいね。MARTI VENTURAのアルバム"PAS DEL TEMPS"(JAZZ批評 287.)に挿入されている"NATURE BOY"に雰囲気がよく似ている。スペインの土の匂いがする。
K
"PLAYA DEL ALMA" INAKI SALVADORとのデュオ。これも非常にリリカルな演奏だ。

本アルバムではありとあらゆるスタイルが披露されている。ピアノ・デュオあり、カルテットあり、オクテット(8人編成)あり、クラシカルな演奏あり、ボサノバ・タッチがあり、スローロック風があり・・・あれやこれやのてんこ盛り。
1枚にあれもこれも詰め込み過ぎて何となく分かり辛いアルバムになってしまった。これがRAFAEL SANTANAのスタイルだと言われれば、「そうですか」と引き下がるしかない。一度、純粋なピアノ・トリオだけを聴いてみたいと思った。   (2013.09.25)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=xLX2f27vfi4



.