独断的JAZZ批評 765.

PHRONESIS
他に類を見ない個性的なピアノ・トリオ、PHRONESIS
弾けるリズム、躍動するアンサンブル、そして、3者の緊密感と一体感
"WALKING DARK"
IVO NEAME(p), JASPER HOIBY(b), ANTON EGER(ds)
2011年11月 スタジオ録音 (EDITION : EDN1031)

デンマークのベーシスト・JASPER HOIBYがリーダーで、ピアノにイギリスのIVO NEAME、ドラムスにスウェーデンのANTON EGERを配するトリオ、PHRONESISの第4弾となる。
第1弾ではピアノに"OLD NEW BORROWED BLUE"(JAZZ批評 555.)で一躍名を馳せたMAGNUS HJYORTHを擁したが、それ以降はIVO NEAMEに代わっている。ドラムスはMAGNUSとも"PEAPLE ARE MACHINES"(JAZZ批評 562.)で共演しているANTON EGER。
このPHRONESISは他に類を見ない個性的なグループで、毎日聴くには疲れるが、時に聴くと超刺激的で脳天を打たれたような感動を覚えるはずだ。メロディアスであったり、リリカルな部分、および、4ビートの演奏は皆無といってよい。
「気力、体力、そして、感性」が充実しているときにお聴きいただきたい。


@"WALKING DARK" 
先ず、難しいリズムのテーマで、口ずさむことはとても困難。しかし、ピタリと寸分の狂いもなく奏でられるアンサンブルが見事。躍動する3者のアンサンブルが凄い。
A"PASSING CLOUDS" 
B"DEMOCRACY" 
リズムがあるような、ないような混沌とした状況から徐々にイン・テンポに移っていく。太くて逞しいHOIBYのベース・ソロがフィーチャーされる。
C"SUEDE TREES" 
ピアノとベースのユニゾンで始まる。この跳ねるような躍動感が堪らない。EGERのドラミングも聴きもの。
D"UPSIDE DOWN" 
これまた踊るように躍動するベース・ワークが素晴らしい!シングル・トーンのピアノにベースが絡むところがいいね。
E"CHARM DEFENSIVE" 
重厚な響き。何かが始まりそうな予感。
F"LIPWASH-PART T" 
G"LIPWASH-PART U" 
このHOIBYのベース・テクニックというのは半端なく凄い。ピアノとのユニゾンも難なく弾き倒す。
H"ZIEDING" 
決め事が寸分の狂いもなくビシッと決まるのが凄い。
I"THE ECONOMIST" 
躍動するド迫力のリズム!この曲こそ、このPHRONESISの真骨頂だろう。このタイトルはイギリスの雑誌「エコノミスト」を指しているのだろうか?最後を締めるEGERのドラミングが素晴らしい。
J"AMERICAN JESUS" 
K"EIGHT HOURS" 
比較的おとなしくて聴き易いチューン。EGERのブラシ・ワークがいいね。

「他に類を見ないピアノ・トリオ」と表現したくなるほどの個性的なグループ。弾けるリズム、躍動するアンサンブル、そして、3者の緊密感と一体感。全ての曲が彼ら3人のオリジナルで変拍子も多用している。ハードコア・アコースティックとでも呼びたくなる唯一無二のピアノ・トリオだ。
前作の第3弾ではドラムスにMARK GUILIANAが叩いていたが、この第4弾ではANTON EGERに戻っている。EGERのドラミングはパワーフルで思い切りのよい叩きっぷりが身上だ。やはり、HOIBYにとって、EGERとの強烈リズム・セクションは外せないところだろう。
第1弾"ORGANIC WARFARE"(JAZZ批評 541.)、第2弾"GREEN DELAY"(JAZZ批評 567.)はいずれも5つ星だったが、このアルバムもまた、より研ぎ澄まされた音宇宙ということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2012.08.05)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=Y1mNpYGkFSQ&feature=related
         http://www.youtube.com/watch?v=Ctj_3ktcFEM&feature=related
         http://www.youtube.com/watch?v=BaaIqu5y-1A&feature=related



.