独断的JAZZ批評 766.

AVISHAI COHEN
腕白小僧が妙に優等生になってしまった感じ
"DUENDE"
NITAI HERSHKOVITS(p), AVISHAI COHEN(b),
2012年3月 スタジオ録音 (EMI : 5099962415729)


イスラエル出身のベーシスト、AVISHAI COHENがリーダーのアルバムとしては"GENTLY DISTURBED"(JAZZ批評 543.)を紹介しているが、そのアルバムはオリジナリティと質の高い躍動感に加え、スリリングな展開が絶品だった。変拍子もあるし、小節という枠に捉われない自由な発想がユニークでもあった。
翻って、このアルバムは、そのCOHENが心底惚れ込んだピアニスト、NITAI HERSHKOVITSと組んだデュオ・アルバムである。超個性的なベーシスト、COHENが心底惚れたピアニストの邂逅にどう反応するのか楽しみでもある。

@"SIGNATURE" 3分足らずのリリカルなCOHENのオリジナル。COHENらしからぬと言えばその通り。多分に叙情的である。そのピアノを背景にソロを執るCOHENのベース・ワークが素晴らしい。
A"CRISS CROSS" 
T. MONKの曲。いかにもMONKらしいテーマに乗ってアルコを奏でる。ピチカートでは太い音色で4ビートを刻む。
B"FOUR VERSES / CONTINUATION" 
クラシカルなイメージの曲。美しさと哀愁のこもった演奏だ。COHENはベーシストとしての力量を遺憾なく発揮している。
C"SOOF" 
見事な二人のアンサンブル。愛を囁き合うかの如くの二人の会話だ
D"ALL OF YOU" 
COLE PORTERが書いた、誰もが一度は聴いたことのあるスタンダード・ナンバー。COHENのベース・ワークが素晴らしい。それに比べるとHERSHKOVITSのピアノの線が細いかな?もっとCOHENとバシバシやりあうと面白いのだけど・・・。
E"CENTRAL PARK WEST" 
JOHN COLTRANEが書いた曲。しっとりとした美しいバラード演奏。
F"ANN'S TUNE" 
これも耳あたりのよいワルツ。途中でビートが変わり、そして、ワルツに戻る。
G"CALM" 
ピアノのアルペジオが似合うような美しさと哀愁のこもった演奏。
H"BALLAD FOR AN UNBORN" 
ピアノ・ソロ。クレジットによれば、弾いているのはCOHEN。

トータル35分弱というのはいかにも短い。どの曲も2分から5分どまり。その分、濃縮されているかというと、割にあっさりしている。COHENらしい灰汁の強さや毒気の部分が影を潜めている。やけに清新な感じなのだ。相棒のHERSHKOVITSの影響が色濃く出ていると言ってもいいだろう。言葉を返すと、腕白小僧のCOHENが妙に優等生になってしまった感じと言えるかも。
それと、ピアノのHERSHKOVITSがもっとCOHENと丁々発止のバトルを繰り広げているとさらに良かった。少々、遠慮していたかも。もし、第2弾が出るとするならば、より突っ込んだ二人のバトルが聴けるのではないかと期待感が高まった。
なお、録音が素晴らしい。アコースティック・ベースの音色が生々しく録れている。   (2012.08.21)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=XG-81iAjGEk&feature=relmfu
         http://www.youtube.com/watch?v=DyV0EzWJQt0&feature=relmfu



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