DON FRIEDMAN
敬愛するDON FRIEDMAN様、本当にお疲れ様でした!
"CIRCLE WALTZ 21C"
DON FRIEDMAN(p), GRORGE MRAZ(b), LEWIS NASH(ds)
2010年3月 スタジオ録音 (EIGHTY-EIGHT'S : VRCL 18847)


DON FRIEDMANがGEORGE MRAZ〜LEWIS NASHとトリオを組むのは2002年録音の"WALTZ FOR DEBBY"と2003年録音の"MY FAVORITE THINGS"以来ではなかろうか?レーベルも同じEIGHTY-EIGHT'Sだ。"WALTZ FOR DEBBY"(JAZZ批評 119.)は聴き込むほどに味の出てくる1枚で、8ヶ月も後になってから5つ星に昇格させた記憶がある。
FRIEDMANとMRAZは古い付き合いで、1978年録音の"LATER CIRCLE"(JAZZ批評 550.)という傑作アルバムを残している。"CIRCLE WALTZ"を世に出してから半世紀、"LATER CIRCLE"から30年以上が経とうとしている。それだけ息の長いピアニストと言える。FRIEDMANは1935年の5月生まれだから、今年、75歳になっている。老いてますます盛ん!91歳まで現役バリバリでピアノと過ごした第2のHANK JONES(JAZZ批評 629.)を目指して欲しいものだ。
@の"SPRING SONG"とDの"CIRCLE WALTZ"がFRIEDMANのオリジナルで、それ以外はあまりにも有名なスタンダード・ナンバーがずらりと並んだ。

@"SPRING SONG" FRIEDMANのオリジナルであるが、何故か日本的な味付けがなされているメロディックな曲。75歳になっても衰えを知らない煌びやかなピアノタッチが素晴らしい。
A"WHEN YOU WISH UPON A STAR" 
誰でも知っている曲だけど、演奏スタイルは極めてオーソドックス。心地よいブラシ・ワークに乗って軽やかにピアノが踊る。
B"CHELSEA BRIDGE"
 バラード演奏からイン・テンポに移行し、MRAZのソロを挟んでテーマに戻る。
C"EVERYTIME WE SAY GOODBYE" 
1曲目から順に4ビート、ワルツ、バラードと続いて、今度はボサノバ調だ。聞き古されたスタンダード中心なので飽きさせない工夫がされている。
D"YOU'RE MY EVERYTHING" MRAZのベース・ソロが入る。流石のMRAZも往年の「凄み」が希薄になってきたかなあ?枯れた味わいといったら良いのだろうか?
E"CIRCLE WALTZ" 世に、DON FRIEDMAN="CIRCLE WALTZ"と言われるほど強い印象を残したオリジナル。
F"IT'S ALL RIGHT WITH ME" 
2ビートのテーマで始まりアドリブはアップ・テンポの4ビートを刻む。
G"RUBY, MY DEAR" 
今度はT. MONKの曲だ。よくぞまあ!これだけの有名曲ばかりを集めたものだ。
H"AUTUMN LEAVES" 
さらに続けと、今度は「枯葉」だ。こういうのはサービス精神豊富と言うのだろうか?
I"A MINOR CONUNDRUM" 
このアルバムの中で、唯一、聞き慣れない曲。
J"I REMEMBER CLIFFORD"
 最後はB. GOLSONの書いたバラードをピアノ・ソロで終わる。

これだけの有名曲を集めたのは見事と言うしかない。そういうスタンダード中心のアルバムの中にFRIEDMANの代名詞とも言うべき"CIRCLE WALTZ"を持ってきて、タイトルも"21C"と入れるあたり、プロデュースする側の意図が透けて見える。
最近紹介したSTEVE KUHNの"I WILL WAIT FOR YOU"(JAZZ批評 642.)と共通するのはベテラン・プレイヤー3人を集めてスタンダード・ナンバーを演奏させていること。彼らにとっては目を瞑っていても演奏できるナンバーばかりだろうけど、そこには緊張感や新鮮味という刺激はない。
敬愛するDON FRIEDMAN様、本当にお疲れ様でした!   (2010.10.11)

試聴サイト : http://www.hmv.co.jp/product/detail/3877582



独断的JAZZ批評 655.