NICOLA SABATO
机を叩こう、コップを鳴らそう、ひざを叩こう、指を鳴らそう!
"LINED WITH A GROOVE"
IGNASI TERRAZA(p), DANO HAIDER(g), NICOLA SABATO(b), JEFF HAMILTON(ds)
2006年5月 スタジオ録音 (DJAZ RECORDS : DJ 738-2)


リーダーのベーシスト、NICOLA SABATOは1973年生まれの今年、36歳。イタリアの父とフランスの母の間に生まれ16歳ごろから音楽を始めたそうだ。
アルバムには"FEATURING JEFF HAMILTON"とあるが、全編にわたってHAMILTONとの暖かな交流がある。JEFF HAMILTONといえば、"LIVE !"(JAZZ批評 345.)や"THE BEST THINGS HAPPEN..."(JAZZ批評 214.)で痛快で、自信に溢れたブラッシュ捌きやスティック捌きを披露してくれた。
ピアノはスペインの盲目のピアニストIGNASI TERRAZAが弾いている。過去には"IT'S COMING"(JAZZ批評 192.)を紹介しているが、バルセロナの空のように青く澄み切った演奏は記憶に新しい。このHAMILTONとTERRAZAが参加しているとなれば、ノリノリの演奏が期待できるというもの。

@"GEORGIA ON MY MIND" いきなり来ました!甘さの欠片もない、スイングしまくりの4ビート。サビの部分はSABATOのソロで対応。そうだよね!HAMILTONとTERRAZAだと、こうなって当たり前という気もする。良かかりし時代の空気を伝える演奏に哀愁すら感じる。
A"THE BEST THINGS IN LIFE ARE FREE" HAMILTONのブラッシュ・ワークで始まる。アドリブでのTERRAZAのシングル・トーンが気持ちよい。
B"TIME AFTER TIME" 今度はSABATOがベースでテーマを執る。柔らかくて暖かみのある音色でこういうジャズにはぴったりと嵌っている。一杯、グイッと煽ったら指でも鳴らしながら聴きたいね。
C"SNUGGLIN'" このアルバム、唯一のSABATOのオリジナル。ボサノバ調のリズムに乗ってHAIDERのギターがで軽快にアドリブを執っていく。
D"EAST OF THE SUN (AND WEST OF THE MOON)" ギター・カルテットならではの軽妙な演奏スタイル。ベースはグイグイ4ビートを刻んでいくし、ドラムスはサクサクと小気味良い。机を叩く、コップを鳴らす、ひざを叩く、指を鳴らす・・・いろんな方法でリズムを刻めば楽しみが倍増すというものだ。
E"WHIRLYBIRD" アップ・テンポで始まり、高速の4ビートが心地よい。いいねえ。全ての邪心を捨ててこの音楽に身を任せよう。ここにあるのは心地よいスイング感。軽快至極のブラッシュワークを経て終わる。
F"O.P." 4者のアンサンブルが素晴らしい。スカッと爽やか、一点の曇りもない。
G"LINED WITH A GROOVE" 
H"THE NEARESS OF YOU" ベースがテーマを執るスタンダード・ナンバー。暖かみのある太い音色だ。
I"WEE (ALLEN'S ALLEY)" 
J"SHINY STOCKINGS" この曲はFRANK FOSTERの曲でELVIN JONESとRICHARD DAVISの双頭コンボ・アルバム、"HEAVY SOUNDS"(JAZZ批評 357.)で演奏されている。機会があれば聴いて欲しいアルバムだ。ここでは、SABATOの実に潔いベース・プレイが聴ける。これを聴きながら思い浮かべたのがBREND HEITZLERの"BASS TRIO"(JAZZ批評 179.)で、ここではHEITZLERの正々堂々としたシングル・トーンの"GEORGIA ON MY MIND"が聴ける。両者とも、小手先ではない正々堂々としたベース・プレイに好感が持てる。ベースとドラムスのデュオ。

変に小手先のテクニックで誤魔化したりすることがない誠実なアルバムだ。正々堂々とストレート勝負で好感が持てる。明るく爽やかで、スイングすることに一点の曇りもない。どの曲も一緒になって、机を叩こう、コップを鳴らそう、ひざを叩こう、指を鳴らそう!これぞリスナーがCDと一体になれるアルバムでしょう。   (2009.01.23)

試聴サイト :
 http://www.myspace.com/nicolasabato



独断的JAZZ批評 531.