独断的JAZZ批評 345.



JEFF HAMILTON
お待たせしました、ハード・バップ・ファンの皆様!
痛快、痛快、また痛快!のハード・バップを聴かずに何とします?!
"LIVE ! "
LARRY FULLER(p), LYNN SEATON(b), JEFF HAMILTON(ds)
1996年5月 ライヴ録音 (MONS RECORDS MR 874-777)

ピアノ・トリオのアメリカ的 “ノリノリ” エンターテイメント
JEFF HAMILTON 、LYNN SEATONとLARRY FULLERの組み合わせが面白い。
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JEFF HAMILTONというドラマーは自信に満ちたブラッシュ捌きやスティック捌きでピアノが安心して弾けるドラマーだ。傑作も多い。今までに紹介したアルバムでは、"THE BEST THINGS HAPPEN WHILE YOU'RE DANCING"(JAZZ批評 214.)や今回もピアノで参加しているLARRY FULLERがリーダーとなった"EASY WALKER"(JAZZ批評 286.)等がある。
また、忘れてならないのがこのアルバムと同じ年、1996年に録音されたPETER BEETSの"FIRST DATE"(JAZZ批評 182.)。BEETSのデビュー・アルバムといも言えるもので、HAMILTONの力強く安定したバックアップを得て伸び伸びとスウィングしている。BEETSのアルバムはこれまでに5枚ほど紹介しているが、一番のお気に入りがこの"FIRST DATE"。機会があれば聴いてみて欲しい。

さて、このアルバムであるが、ドイツでのライヴ盤である。
ベースには熊のような容貌のLYNN SEATONが参加。このベーシストは音楽院で教鞭をとるだけのことがあり、柄に似合わず独楽鼠のような高速のアルコを得意としている。"PUTTI' ON THE RITZ"(JAZZ批評 313.)というコマーシャル・ソングのようなタイトルのリーダー・アルバムもある。
ピアノのFULLERが活き活きとした演奏をしており、明らかに"EASY WALKER"より乗っている。勿論、大御所のHAMILTONが乗っていないわけがない!


@"BUT NOT FOR ME" 
ドラム〜ベース〜ピアノと順にイントロに入り、ベースがテーマを執り、サビをピアノが執る。これだけで期待感が沸々と沸いてくる。案の定、快い4ビートで酔わせてくれるだなあ。ウン、参った、参った!
A"APPLE HONEY" 
超高速のブラッシュ・ワークが唸り、ベースが咆える。FULLERのピアノも余裕を持ってスウィング。FULLERってこんなに上手いピアニストだったか!SEATONのアルコ弾きがまた凄い!まるでバイオリンのようにベースを弾いてしまう。命名!「熊男の独楽鼠奏法」。
B"TIME PASSES ON" 
HAMILTONの書いた哀愁を帯びた美しい佳曲。ヘエー!こんなこともできるんだあ!

ここから3曲、S. MONKの曲が続く。これがどれも素晴らしい。こういう演奏でこそMONKの曲も活きてくるというものだ!
C
"BESHMA SWING" HAMILTONのドラム・ソロで幕を開ける。
D
"52nd STREET THEME" 
E"WELL YOU NEEDN'T" 

F"A NIGHT IN TUNISIA" 
ドラムスのソロ。メロディは一切ないが、紛れもなく"A NIGHT IN TUNISIA"のメロディが太鼓から聞こえてくる。
G"YESTERDAYS" 
GROOVY!
H"SKJ" 
最後を締めるゴリゴリのブルース。イェイ!

力強い磐石のバックアップを得てLARRY FULLERが良い味出している。僕は、このFULLERのピアノを見直したね。

お待たせしました、ハード・バップ・ファンの皆様!
痛快、痛快、また痛快!のハード・バップを聴かずに何とします?!
「manaの厳選"PIANO & α"」に文句なしに追加した。
   (2006.06.10)